ここのところ、この1年の間に出版された「本を紹介する雑誌」というのが出ている。
平積みされていたその雑誌を何気にパラパラッとめくり、ふと目にとまった題名と書評。
『TOKYO BLACKOUT』(福田和代/東京創元社)
“あ、これ読みたいなぁ”と、
同じく周りに平積みされている本類に目を振り向けると、
あら、この雑誌に紹介されている本ばかり。
ワタシみたいに読みたいと思ったお客に
“ここにありまっせ~、ほれほれ”という見え見え戦略(?)に
のせられる自分に少々悔しさを覚えつつ、即購入。
題名通り、残暑厳しい首都東京が、
なに者かに主要送電線を爆破されたことを発端に、
電力会社の努力空しくとうとう大停電にみまわれるというもの。
この一大事に奮闘する電力会社社員、捜査にあたる警視庁、
そして刑事たち。
犯人グループの目的は、一体何なのか。
“高村薫”を思い起こさせるような、
クールで骨太な文章で綴られてゆく。
こういうパニック小説にありがちな「何やら大騒ぎだけど内容が薄っぺら」になっておらず、
よくこれだけの材料と資料を集めて書き上げたなぁ・・・と、ため息が出るような内容。
実際に起こった犯罪をストーリーに絡め、“もし今本当にこんなことが起こったら・・・”と、
空想と現実とがあいまって、ふとヒヤリとする。
最初から1ページ1ページ繰ってゆくのももどかしく、
途中からついザックザックと読み飛ばして最後の部分を読んじゃった~・・・ふぅ。
さ、落ち着いたところで、なんであんな結末になったのか、改めて読み直そう。
・・・となるほどにグイグイ引き込まれ、止まらない。
スリリングな体験(?)をしたい方はぜひ。