ツアーでの開館前入場が出来て、ゆっくりと観られたのは有り難かった。

 

 ここは3回目。初回は交通機関を使ってここ1カ所だけに1日滞在、前回はこのようなツアー、そして今回はカフェに寄る時間もあって嬉しい120分滞在でした。

 

 今年はいわさきちひろ没後50年。「あれこれいのち」と題した特集展示で、中でも触ったり声を掛けたりすると反応する仕掛けが楽しかった。

 

 水彩のやさしい色合い、滲み具合…その画風からは想像できない彼女の生涯は、何度展示を観ても心を打たれます。

 終戦の日の日記、自活したいと疎開先から1人で東京に戻り、絵筆1本で自活。上京後に画家として交流があったのが「原爆の図」の丸木俊でした。

 

 家族が増え、夫と自分両方の親を引き取って、お手伝いさんもいた大家族を切り盛りする中で、それらの様々な「面倒」とともにあるからこそ描ける絵がある、「人間関係を切っていく中では絵は描けない」(要旨)という言葉には、いつも胸を打たれます。

 

 しかし、その多大なストレスや過労からなのでしょうか、彼女は癌で55才で生涯を閉じました。

 安曇野ちひろ美術館のある松川村立の公園には「トットちゃん広場」があり、トットちゃんが通ったトモエ学園にあったような、電車の教室が再現されています。

 青い空と白い雲の下、この可愛い電車で過ごす年代の子どもたちが、ずっと平和でいられますようにと祈らずにはいられませんでした。