この季節になると絶対観に行く「おひなさま」の展示。
今年はここが皮切りです。岩崎家のお雛様を初めて観たのは、まだ静嘉堂文庫美術館が二子玉川にある頃でした。
岩崎家のお雛様は、丸みを帯びた愛らしい「稚児雛」。お内裏様、三人官女、五人囃子、随身、仕丁、そして雛道具たち。
他に、こちらも丸く愛らしい「御所人形」の大パレード。
うさぎ年生まれの当主岩崎小彌太の還暦祝いにと作られた、うさぎの面をおでこに乗っけ、鯛車や宝船を引き、音楽を奏でる総勢60以上の木彫の人形たち。
表情豊かに微笑んで、鮮やかな彩色の着物も繊細且つ鮮やかです。
桜が描かれた仁清の花瓶、河井寛次郎の作品、堂本印象筆の扇。そしてあの「曜変天目」。いつ見ても不思議な美しさに吸い込まれそうです。
今回の特別展示は岩崎家に伝わる打ち掛け。豪奢な日本刺繍、金箔を用いた布地は、きれいに保管されていました。
ここで悪い癖。この「内掛け」って、家が何軒も建つくらい高価なんだろうな、とか。貧富の差のことはこうした美術工芸品とは切り離して考えなくてはいけないんですが。
当時の財閥はそれなりに納税もして、家のために誂えたものであっても、後世「美術品」としての価値あるものとして展示品になっているなら、まあいいのかな、なんて素人考えで思うのでした。
※人形に添えられた春の花も、繊細な細工です。


