副題が「夢と憧れの建築史」。

 嘗て、デパートは庶民の夢の場所。「今日は帝劇、明日は三越」というキャッチフレーズもありました。

 

 今回は、日本の主な百貨店の創業から“店舗の変遷”を、壁面いっぱいの年表にして展示しています。

 

 三越本店(日本橋)は、1914(大正3)年竣工の店舗に、日本最初のエスカレーターが設置されました。

 関東大震災では火災こそあったものの建物は耐え、戦後も駆体は残しての改築や増築…ということは、今の三越は100才を超えているのでした。

 すごい…。

 

 浅草松屋(1931年)は、ターミナルデパートの先駆けで、鉄道の駅の上がデパート、そして「屋上遊園地」も日本初でした。チラシのメインビジュアルは松屋屋上です。

 

 実は、私や兄は、幼い頃ここで遊んでいました。もう少し大きくなってからも通っていたら詳細を憶えていたのでしょうが…。とにかくデパートは遊んで、お子様ランチを食べられる、とびきり楽しい場所でした。

 

 大阪、心斎橋の「大丸」はヴォーリズの様式建築が美しい…意匠を残したまま新装なったのはとても喜ばしいことでした。

 

 戦前の名建築・白木屋百貨店(1928)は、ガラスの壁面を用いたモダンな外装。

 後に、ここは周囲を覆って真っ白な印象の「東急百貨店」になり、80年余りを生き抜いて解体され、今は「KOREDO日本橋」となっています。 

 

 展示の最後の方は、最近のショッピングセンターですが、意匠を凝らしたデパートとは対照的な、箱のような建物、客は車で来るのでした。

 

 チラシの記述(=要旨)「商業や消費活動が、いかに現代の都市形成に深く関ってきたかを再認識する機会になると共に、未来の可能性を考える契機になれば」と書かれています。

 

 私はひたすら懐かしさに浸った、ここの展示でした。

 会期は2月12日まで。日本橋高島屋・入場無料。