金太郎通信



 
川鍋暁斎(かわなべきょうさい)と言えば、私には

建築家ジョサイア・コンドルの絵のお師匠さん、という認識でした。




 今回、初めて暁斎の「作品」をまとめて観て、

当時随一の人気画家だった理由がわかった気がします。




 画家には、横山大観、黒田清輝のような、アカデミックな絵もあれば、
この暁斎のように、版画で広く売り出され、
庶民の楽しみとしての売れっ子、という絵もあります。

 どちらも素晴らしいし、観ていて楽しい。




 暁斎の絵の印象は、弾むような動きが感じられ、

手や足の指まで躍動している…力が入っている!と感じました。

 足の指の関節がきゅっと曲がって、踏ん張る役者、

能、狂言の舞台が生き生きと蘇ります。




 下絵をまとめたものや、能装束の端切れを張り込んだものも

ありましたが、

目を惹いたのは合作している浮世絵でした。




暁斎、歌川芳虎、二代目歌川広重の3人で、

人物や背景を描き分ける…

とっても楽しい趣向で、庶民が喜ぶこと請け合いでしょう。



 当時は演目のあらすじを庶民も

けっこう知っていたのでしょうか。

双六などもありました。




 もっと内容を把握していたらより楽しかったのにと、

「能や狂言」に不案内なことを

ちょっと反省した展覧会でした。