いざ、進学!
僕は18年間過ごした大分と別れて、憧れの一人暮らしをはじめるため佐賀へ飛び立ったのでした。
自分だけのお城を手に入れた気分でした。
家族に引越しを手伝ってもらったのはいいけど、いざ帰ると妙にさびしくなってきました。
しかし、一人です。周りには家族も友達もいません。
当時、ようやく携帯電話が普及し始めていただけに、Eメールというものも存在してなく、同じ機種同士のメールでした。
切ない・・・・・・。
ふと、目をやると、母親が帰り際にくれた1枚の封筒が目に入りました。
中には1万円冊が「1枚、2枚、3枚・・・10枚、10万円!?」
はじめてみる大金に僕は手が震えてしまいました。
僕の家は家族が多く、ただでさえ上二人が大学へ進学しているので家計は苦しいはず。
その上、40歳をすぎた母親は看護学校に通っており、実質収入源は父親だけだったのです。
その晩、僕は期待と不安を胸に将来ビックになってやろうと心に近い、初めての佐賀の夜を過ごしました。
明日は大学主催の新入生歓迎会。そこで僕は運命的な出会いをすることになるのでした。
偏差値55の壁
僕は温泉の町由布院の卒業旅行の帰り道で、生物の先生から携帯電話に連絡が入りました。
そう、今日は国立大学後期試験の合格発表。
前期試験でで落ちてしまった僕には後が無かった。4人兄弟の3番目。
兄と姉は大学生で下には来年高校へ進学が迫っていた。
ここで落ちるわけには行かない。
高校は新学校で常に上位をキープしてきたが、国立に受からなければ大学には行けない。
私立大学に行きたいなんて口が裂けてもいえなかった。
僕はバイオ業界で働く父に見せられて、農学部を志望していた。
当時、バイオブームでバイオ関係の学部は軒並み偏差値を上げ、まさにバブル状態であった。
将来は研究員…。いつか、この田舎町から世界へと友達と語りながら帰宅していた。
そんな夢もこの日できまってしまう。
先生 「早く、受験番号を!」
僕 「そんな、心の準備がっ・・・。えっと、1412-23・・・」
先生「・・・・・・」
僕「・・・・・・(T-T)」
先生「・・・・・・おめでとう!」
僕「・・・!まじですか?!、えっ、まじですか!ありがとうございます。」
僕はついに大学入学の切符を掴んだ瞬間でした。
のちに様々な荒波に飲まれるとは知らずに、無邪気によろこんでいました。
続く