「ベロがあれであれな事は知ってるよね??」

東京は目白の古着店BAROの店員Y氏から突然謎のメッセージが届いた

その後Y氏のメッセージは続かなかった

胸騒ぎがして急いでお店のブログを探しに行くと6月いっぱいで閉店、の一文(だけを見た)
…今日、6月28日…?

最寄りの無印良品へ向かうため電車に乗っていたところを目白に方向転換

ネガティブな想像で頭をいっぱいにしてお店に着いて事情を聞くと、マスターは元気で、お店は建物の老朽化のため移転と知って脱力した

「あれであれ」じゃ分からないでしょうが…!!
と時間差で黒岩五郎風に少しキレた

しかしながら目白からBAROが無くなるというニュースは結構ずっしりと来た

ここ1年半ぐらいすっかりご無沙汰していてSNSも殆どやっていない私は全く事情を知らなかった

BAROは私が人生で初めて行った古着屋さんだった

学校のお洒落な同級生Kさんに連れて行ってもらって初めてBAROに行ったのが二十歳そこそこの頃(ダフトパンクのOne More Timeとかm-floのcome againが流行っていた)

古着の原体験
恋愛でいうところのファーストラブ、初めて付き合った人、みたいな存在

BAROの服と記憶あれこれ
初めて買ったのはストライプのジャケット
フランキーB.のデニムスカート(ビスチェっぽくしてみた)と、ごんぶとベルト
サイズの小さいパンツが沢山あって助かった
西池袋で働いていた時にお昼休憩の1時間を使って買いに行ったスニーカー
急いでかっこんだお弁当をお腹の中でシェイクしながら走り、時間ギリギリで汗だくで戻ってきた私を職場の人たちは不思議そうに見ていた

仕事の帰り時間までに売れてしまうのが怖かったのだ(多分大丈夫だっただろうけど)
値札を読み間違えて会計の時ビッチョリ脇汗をかいた思い出
ビンテージのアクセサリーと眼鏡がここまで豊富なお店をまだ他に知らない
買い逃したスプーンリング、欲しかったなぁ
オリジナル商品

BAROで良いものをたくさん見たから、こんなに古着が好きになったのだと思う
最後に買ったのは憧れのFilsonの帽子とスマーフのベッドカバー、10年前に買ったのと同じアスピリンケース
髪を後ろで結んで被ったら凄く合いそう
楽しい夢が見れそうやでぇ
新しく渋谷に出店したお店の名前はDESTROYED、と聞いて
「渋谷を破壊する」みたいなパンクなメッセージ!?と思ったけど古着用語で「ボロボロな」という意味だとマスターが教えてくれた
(でも本当はダブルミーニングなんじゃ…?とまだ少し疑っている)

ていうかDESTROYEDのオープンは一年前
隣りの靴修理店glueのYさんは結婚
西池の美容室kautiのオーナーMさんは着々と店舗を拡大中

激動の世界情勢に頭がクラクラしながら、帰りがけに寄った姉妹店のDron-Paで全く変わらない(ように見える)Kさんに会ってようやく落ち着きを取り戻したのだった

ダニエル太郎似のnice guy豊島区代表、BAROスタッフA君に会えなかったのが残念だった
よく店番をしていたクロ
近くの歩道橋
ありがとう、BARO

ともあれ人は変わらなくて本当にホッとしました
今後もDron-PaとDESTROYEDに期待しています

最後に
あんなに通っていたのに途中まで(7年間ぐらい)お店の名前「ベロ」を「バロ」だと思っていてすみませんでした




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追記
 
BAROが閉店してから二日後

職場で1年ぐらい毎日顔を合わせて働いている女の子が出し抜けに、自分も同じ学校の卒業生でBAROの常連客であることをそっと告白してくれた
最終日にお店で話をしていて私も常連であることが分かったらしい
(制服を着て仕事をするので全然気づかなかった)

「この世界の片隅に」の最後の台詞みたいな気分だった

BAROが私の人生に与える影響は、もしかしたらまだ続きがあるのかもしれない、と思った