夢へ向かって

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感謝の気持ち、もう伝えた?

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2025年5月  母の日に

 

 

母が怖かった

 

子どものころからずっとそうだった

 

何がいつ怒りのスイッチに

 

なるかわからなくて

 

顔色をうかがいながら育った

 

 

 

大人になってもそれは変わらなかった

 

母の日になると流れてくる

 

「お母さん、ありがとう」という言葉が

 

どこか遠い国の話みたいに見えた

 

 

小さいころから

 

絵を描くのが好きだった

 

家の近くの河原によく行って

 

デッサンをしていた

 

川の流れや、草や、

 

向こう岸の景色

 

ひとりで黙って描いていると

 

何もかも忘れられた

 

 

 

母が亡くなった

 

悲しかったか

 

正直に言うとよくわからない

 

泣いたかもしれない

 

でも何かが解けたような気もした

 

長い長い緊張が

 

ふっと終わったような

 

 

それから時間が経って

 

今日母の日がまたやってきた

 

 

何も感じない

 

怒りも、憎しみも、

 

もはや悲しみも

 

感情がすっかり疲れ果てて

 

静かになってしまったのかもしれない

 

それが正しいのかどうかもわからない

 

でもひとつだけ

 

不思議なことがある

 

母が亡くなったあと

 

実家の荷物を整理していたら

 

あの河原で描いた

 

デッサンが飾ってあった

 

子どもだった私が

 

ひとりで河原に行って

 

夢中になって描いたやつ

 

誰かに見せた記憶もない

 

褒められた記憶もない

 

ただ描いて置いておいたはずのもの

 

それが壁に飾ってあった

 

母は何も言わなかった

 

ずっと

 

でもちゃんと見ていたんだ

 

そのことが亡くなってから

 

初めてわかった

 

どう受け取ればいいのか

 

今もわからない

 

嬉しいとも悲しいともつかない

 

不思議な気持ちだった

 

 

でも今朝お仏壇に花を供えた

 

母が好きだった甘いものも一緒に

 

 

感謝からじゃない

 

美しい思い出がああるわけでもない

 

ただ今日がそういう日だから

 

そして母がそこにいるから

 

それだけで

 

十分な理由な気がした

 

お花はきれいだった

 

甘いものは母が好きだったやつだ

 

 

 

義母とも複雑な時間があった

 

でも今日は同じようにお花を供えた

 

 

母の日って

 

感謝しなきゃいけない日

 

じゃなくていいと思う

 

 

少なくとも私には

 

ただ覚えている

 

それだけでいい

 

もし同じような気持ちでいる人がいたら

 

あなただけじゃないよと

 

伝えたくてこれを書いた

 

 

 

「初夏の紫陽花」

 

 

 

「天使になったママ」

 

 

 

 

今日のあなたが

 

少しでも穏やかでありますようにお願い

 

読んでくださってありがとうございました

 

 

 

 

 

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