アイロンかけてあげる | 50才の恋愛日記☆プラスワン

 

 

 

 

 

「葉子、何食べたい?」

 

「このピーマン美味しそう

チンジャオロースにしようよ」

 

「了解ー」

 

 

龍一の家には調味料が塩と胡椒と醤油と砂糖とホンダシしかないから

いつも味付けはクックドゥに頼っている

 


私はこういるいわゆる『何かの素』というのは割高なので使った事がなかったから

龍一の家でいろんなバリエーションを試してみて

味のクォリティの高さにまぁ驚いた

 

 

簡単やでー

 

 

「今日は僕が作るよ。葉子疲れたでしょ。」

 

「私が作る」

 

「いいの?」

 

「私が作る」

 

「じゃあお願いしようかな。」

 

 

 

「お菓子買っていこう。」

 

「うん、アンドーナツとかかりんとうとか食べなさい」

 

龍一はカロリー表示を見ながら菓子パンを2つ選んだ

 

 

なんでこんなに甘いもの食べても太らないんだろう?

外食するときは必ずご飯大盛りだし、家でも私がてんこ盛りにご飯をよそっているのに

体質かなぁ

 

 

帰り道

 

 

「あっそーだ龍一、靴貸して」

 

「どうして?」

 

「火曜日クライアントさんのところに行くの忘れてたの」

 

月曜日も泊まって火曜日の朝は龍一の家から出勤する予定なのに

私はジーパンにスニーカーを履いていた

こないだはわざわざ服を取りに家に戻ったけど

もしかしたら龍一の靴とかパンツとか履けるかもしれない

 


「サイズが合わなかったら

また葉子の家に洋服取りに行けばいよ」



いやよ

洋服取りに行ってスマホを失くしてすっかりトラウマ

もう龍一に長時間運転させたくない

 



「この靴履いてみて」

 

 

龍一は黒いレザーのスニーカーを出してきた

 

 

「レザーで落ち着いてるしスニーカーっぽくないね

でも、こっちのVansでいいよ」

 

 

Vansの黒い新しいスニーカーを持ち上げた

 

 

「ダメだよ。そんな2000円のスニーカーじゃ。こっちのレザーは2万円だよ。

見る人が見たらちゃんと分かるんだから。」

 

「龍一、2万円のスニーカーなんか買うの」

 

「親がいいものを長く使えって。」

 

「龍一はお坊ちゃまだな

ねぇ、パンツも貸して」

 

「これ履いてみて。」

 

白い細いストライプの入った黒い細身のパンツを出してきた。

 

 

身長もほとんど一緒なのでピッタリだ

上は白いシャツを着ていたのでこれでバッチリ

 

 

「シャツ、少し皺になっちゃった」

 

「僕がアイロンかけてあげる。」

 

 

 

私がご飯の支度をしている間

龍一は鼻歌を歌いながら楽しそうに

シャツとパンツにアイロンをかけた

 

 

 

ふふふ

お母さん

 

 

 

この部屋、何もないのに

アイロン台とか毛玉取り機はあるんだよな