「葉子さんと一緒に歩くと見慣れた町が違う景色に見える」
りゅういちは
嬉しそうだ
私は
私はパートナー探しから
どんどん遠ざかっている
36才の男性からのメッセージは途絶えてしまった
歩きながら
りゅういちと初めて会う約束をした時の会話を思い出した
「りゅういち君はどうして50の私と会いたいの?
年が近い女の子がたくさん登録してるでしょ」
「年は関係ない。僕は住んでいる場所だけ検索条件に入れてプロフィールを1人ずつ見ていったんだ。葉子さんの写真とプロフィールを見つけて葉子さんにイイねした。毎日メッセージしてるうちに葉子さんの事をもっともっと知りたいって猛烈に思ったんだ。年が離れてるってだけで、この気持ちを無視するのは馬鹿げてる。年が近ければ好きになれる?葉子さんだって年齢だけでは好きになれないでしょう?24と50の恋愛は、世間では普通じゃないのは分かる。でも、世間の当たり前って、本当に正しいの?僕は疑い深いんだ。僕は自分で確かめて納得したい。僕は僕の欲求にしたがって葉子さんに会っただけだよ。そして葉子さんを初めて見た時確信した。葉子さんは、僕の周りの年が近い女の子の誰よりも僕にとっては魅力がある。僕は、葉子さんに、確実に恋愛感情を持っている。」
りゅういちは文学少年らしく理屈っぽく言ったけど
りゅういちが言うことは
もっともらしく聞こえる
若くて時間がたくさんあるから
少しぐらい寄り道したり迷ってもいい
私はいい年して何やってんだ
手近な男でてっとり早くいまここにある寂しさを紛らわしてるだけ
サイトにいけば
年が近い
でもメッセージでイマイチ気が合わない男性が何人かいる
実際に会ったら劇的に気が会っちゃう可能性もあるわけで
でもやっぱりメッセージで盛り上がらないと会う気が起きない
私は時間がないのに迷走しっぱなしだ