【問題】
お寺の境内を見てみますと、かなり大きなケヤキの木が
植えてあるところが多くあります。
例えば清水寺では多く植えてあり、それは景観のためと、
あと一つある重要な目的のためなのですが、ではその目的とは何でしょう?
【答え】
建替えの時の材料にするため
【解説】
多くの社寺林には木が数種類か植えてあります。
スギ、ヒノキ、マツ、ケヤキ、イチョウなど。
これらは数十年間隔か百年ぐらいの間をおいて神社や寺院の建替えが行われます。
そのときの用材を外部から調達しなくてもよいように、
将来計画の植樹がなされているわけです。
ちなみに、その境内の中でも、よく見かけるのがイチョウです。
また、お寺の周りが森になっていることって多くありませんか??
その理由とは・・・
⇒延焼防止のため
針葉樹林は、生木のままでもたやすく燃え拡がるが、広葉樹林は炎を喰いとめる。
関東大震災では、樹木がほとんどなかった本所の被服廠跡地では
3万8千人が焼死したが、樹林に囲まれた深川の清澄公園には炎が入らず、
2万人の避難者が助かった話は有名。
イチョウという木は水分を豊富に含んでいることが知られています。
すなわち難燃性の樹木ということです。
それこそ紅葉・落葉し完全に乾いているように見えていても
燃やそうとすると白い煙を発生させます。
燃えにくい樹木を敷地内に植えることで、建物に火災が発生しない願いが
掛けられているのです。
江戸は火事が頻発した街だったが、火炎がイチョウの木に迫ると、
太い幹や枝から水を噴き出して枝葉へ火が燃え移るのを阻止するといわれてきました。
例えば関東大震災のとき、浅草寺の境内に生えていた何本かの大イチョウが、
火事の炎で枝葉がまさに焼かれようとしたとき、
いっせいに噴水のように水を散布して延焼を防いだという伝説が残っている。
実際に浅草へ避難した人々の目撃談が残るが、
そのおかげで焼死をまぬがれたと証言する人さえいる。
東京大空襲でも、同様のことが起きたと言われています。
1945年(昭和20)3月10日、御茶ノ水の湯島聖堂(昌平坂学問所)に焼夷弾が
落ちて大成殿が炎上したとき、東側の神農廟に接して植えられた
大イチョウの木々に火が燃え移った。
ところが、炎が幹を包まないうちに、イチョウの木が「自己消火」を始めたという。
ちなみに、松もよく見かけますが、
その役割とは??
松は、やせた土地でも根を張ることで土地を支えてくれます。
昔は今よりも治水が十分でなかったため、川の氾濫などが起こるため、
寺社仏閣は周りより少し高い位置に建てるなど、
土地を維持するための方法がとられていました。