医療コラム 医師の働き方改革 現場の肌感覚で書いてみようと思う 中編 | 外科系集中治療医による新NISAの記録

外科系集中治療医による新NISAの記録

新NISAとともに成長するpompoko2525の愛と勇気と成長の物語

3連休の2日目。

本日も休日コラム。「医師の働き方改革」の続き。

 

前回は主に「精神論」について書いたと思う。

「死に物狂いで働け」「寝ないで頑張れ」と、時代遅れの老人のように。

でもそれが経験を積むうえで大切なのだと締めくくった。

 

まあ...正直こんなことを書きたいのではない

このブログは新NISAを主軸とした、「お金」がメインテーマなのだから。

全くないとは言わないが、医師の道徳とか美徳とかそういったことについて深く掘り下げるつもりはない。

 

ちょっと世界に目を向けてみよう。

死に物狂いで働いているのは日本の医者だけではない。

 

たとえばアメリカ。

研修医はレジデント(resident)ともいう。これは本来「住人」という意味である。

その名が象徴しているように、基本的に彼らは病院に住み着いている。

経験を積むために日々一生懸命頑張っている。出し抜いてやろうとギラギラしている。

都心の有名な病院になればなるほど競争は熾烈になり、過酷な環境であるにも関わらず限られたレジデントのポストに何十倍、何百倍の応募がくる。

勝つためには手段を択ばない。日本みたいな「儒教思想」「平等思想」はないから、勝ち上がるために何でもする。

テストの点数は1つの判断材料にすぎない。「コネ」も「カネ」も使う。

良い「コネ」に辿り着くのも努力の内なのである

 

そんなアメリカの研修医たち。もちろん私と同じ領域で働いている人もいる。

ある病院では研修医のシフトが36時間勤務・12時間休みなのだという。

合計10時間くらいの手術+術後管理24時間で36時間連続勤務なのだろう。

でも散々説明してきているように、医療は「緊急・想定外」がつきものである。

手術の遅延・予想外の合併症など、こんな鬼畜なシフトでも収まらないことがよくあるのだという。

 

シフトに収まらない分は残業となる。そして驚くべきことに、研修医たちが喜んで残業を引き受けるのだという

なぜか。それは、しっかり残業代が支払われるからなのだそうだ

過酷な労働・環境に身を置きながら研鑽を積む。そして、それに見合った報酬を受け取ることができる。

 

ん...何かおかしくないか?

 

過酷な環境で長時間労働をしなければならない。それは、日本もアメリカも同じ。否、世界中の医師がそうだろう。

医療職というのがそもそも「緊急・想定外」と隣り合わせなのだから。

医師の働き方は万国大して変わらないのである。

違うのは、その働き方に見合った報酬を受け取っているかどうかなのではないか。

 

 

日本の医師の年収・労働条件は先進国で最低レベル...。

もちろん、物価の問題もあるから単純に給料の額で比較することはできないだろう。

実際、年収が最低レベルとはいっても、日本国内では高収入の部類に入る。

そういった反対意見はよくよく存じあげているつもりだ。

 

だが、単純に考えれば、医師の働き方を変えていくためにまず行うべきは、働きに見合った報酬を保証することであり、実労働時間を減らすということではないように思う。

というか、実労働時間を減らそうと決めたところで患者はどんどんやってくる。

そういった患者を「時間外だから」という理由で追い返すのだろうか...。

「医師の負担を軽くしますよ」という制度を作って、「政府も努力しているんですよ」とアピールしているだけではないのか...とすら勘ぐってしまう。

 

では、なぜ働き方に見合った報酬を支払うことができないのか。

その答えが「保険診療」なのである。

私たち医師の多くは「保険医」であり、簡単に言えば政府に雇われているのである。

 

当直明けで疲れた...。続きはまた明日。