投資コラム チャートを読み解く「日本国債」 前編 | 外科系集中治療医による新NISAの記録

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土曜日の午後。
どこかゆっくりと時間が流れる。
職場にいる自分にもね...。
 
といったところで休日の投資コラム。
今回は「日本国債」のまとめ。
 
「日本株」のチャートを説明する上で、日銀の金融緩和は避けられない。
そうなると、必然的に金利や国債の話になってくる。
それだけ国債、特に「金利」が株価と大きく関係しているということである。
 
 
そもそも日本国債のチャートなんて目にする機会は少ないだろう
国債市場は基本的には市中銀行、生命保険会社などの機関投資家を対象としたマーケットである。
(もっとも個人向け国債というのもあるが...。今回はあまり触れない予定。)
だから一般投資家にとってはそもそも知る必要がないといえばそれまでなのだが。
 
上のグラフの縦軸、0.2、0.4というのは国債の額ではない。「金利」、もっと詳しく言うと「利回り」である。
直近は0.6-0.8に近づいているが、これは年利0.6-0.8%ということ。
1億円で1年間転がして60万円の収入。まさに「雀の涙」。
主要先進国と比較しても恐ろしいほどの低金利であることは、前回の記事で説明した。
 
それでも国債は安全資産。0.1%レベルの上下で巨額のお金が動く。
元本が途轍もなく大きいから、わずかな利回りの上下でも絶対値が大きくなる。
だから、株式市場にも大きな影響が表れるということである。
 
というかそもそも国債とは?

 

 

ざっくりといえば、国が税収で補えない出費を要するときに発行する債券のこと。

要するに「国の借金」である。

国は必要な金額を手に入れ、貸し手は元本が返済される日(償還日という)まで一定の利息を受け取ることができる。

 

例えば100万円で10年間、年利5%の債券であったら(そんなすばらしい日本国債あったら買いたいが...。)

1年毎に5万円が手に入り、10年後に元本100万円が返ってくるという感じである。

 

国債を発行することで、国は予期しない突然の出費を乗り越えることができる。

戦費を調達することもできるし、災害の復興支援金を集めることもできる。

借金=悪ではない。むしろ世界の経済を成立させる上でなくてはならない存在である。

 

だが、借金だから返済しないといけない。それは一国であれ例外ではない。

 

ギリシャが財政破綻したのは記憶にあたらしい。

財政赤字の進行から、2010年初頭に債務不履行の危機感が強まりギリシャ国債は暴落した。

日本だって例外ではない。

アジア太平洋戦争中の戦時国債、および戦後復興のための国債発行によりハイパーインフレとなった。

 

財政上不安定な状態で国債を乱発すると、国全体の経済がますます混乱することになる

だから、国債をどれだけ発行するのか、そういったコントロールは非常に大切なのだ。

(「どれだけ国債を発行しても財政破綻しない」という、いわゆる現代貨幣論についてはいったん置いておく。)

 

ここに国債を用意した。目に焼き付けておいてほしい。

 

国債は大きく3つの要素に分けられる。

元本、②償還日、③利率

である。

 

機関投資家のあなたは、この2024年に出された「10年物国債」を手に入れた。

これから10年間の間、2034年に元本100万円が返ってくるまで、毎年元本の0.6%、すなわち6000円を手に入れることができる

 

購入してほんの数日後、皆さんは急遽まとまった現金が必要になった。

そこで、この国債を売却することに決めたのである。

 

ところで、この国債っていくらで売れるんだろう?

チャートを見ると、10年物国債の「利回り」が0.7%になっているケド...

 

まずは、「利率」と「利回り」の違い。

利率とは、債券の額面金額(元本の100万円)に対して毎年受け取る利息の割合

利回りとは、利息や売却益も含めた総収益の1年あたり、元本あたりの割合

ということ。

 

既に市場での10年物国債の利回りが0.7%となっている。

新規発行される国債も「元本100万円で年利0.7%」となるだろう。

そうなると、今まで皆さんが保有していた「元本100万円で年利0.6%」の国債は誰も買ってくれなくなる

 

じゃあどうすればよいのか。答えは「ディスカウント」である。

 

新規発行されるであろう国債は、元本100万円で年利0.7%。

ゆえに10年後手に入るのは7千円×10で7万円。

皆さんが持っている元本100万円で年利0.6%の国債は、10年後に6千円×10で6万円。

だから、元本から1万円引いた99万円で販売すればよい

そうすれば10年後に手に入るのは、6千円×10の6万円と、償還で得られる元本100万円-購入費用99万円の差し引き1万円。合わせて7万円である。結果、利回りは約0.7%となるのだ。

 

こうして皆さんはめでたく国債を売却することができた。

とはいっても売却価格は99万円。最初に100万円で購入したから、1万円のマイナスにはなったが

 

お分かりだろうか。これが良く言われる「国債価格と金利のシーソー関係」である。

金利が上がれば、国債価格は下がる。反対に金利が下がれば、国債価格が上がる。というやつである。

 

「諸外国の金利上昇で、国債価格が暴落した」というニュースを耳にしたと思うが、これがその正体なのだ。

 

ほんのわずかな金利の上下で、国債の値が大きく上下する。

だから機関投資家たちは金利のチャートに目を光らせているのである。

 
長くなったので後編に続く。