ざっくりといえば、国が税収で補えない出費を要するときに発行する債券のこと。
要するに「国の借金」である。
国は必要な金額を手に入れ、貸し手は元本が返済される日(償還日という)まで一定の利息を受け取ることができる。
例えば100万円で10年間、年利5%の債券であったら(そんなすばらしい日本国債あったら買いたいが...。)
1年毎に5万円が手に入り、10年後に元本100万円が返ってくるという感じである。
国債を発行することで、国は予期しない突然の出費を乗り越えることができる。
戦費を調達することもできるし、災害の復興支援金を集めることもできる。
借金=悪ではない。むしろ世界の経済を成立させる上でなくてはならない存在である。
だが、借金だから返済しないといけない。それは一国であれ例外ではない。
ギリシャが財政破綻したのは記憶にあたらしい。
財政赤字の進行から、2010年初頭に債務不履行の危機感が強まりギリシャ国債は暴落した。
日本だって例外ではない。
アジア太平洋戦争中の戦時国債、および戦後復興のための国債発行によりハイパーインフレとなった。
財政上不安定な状態で国債を乱発すると、国全体の経済がますます混乱することになる。
だから、国債をどれだけ発行するのか、そういったコントロールは非常に大切なのだ。
(「どれだけ国債を発行しても財政破綻しない」という、いわゆる現代貨幣論についてはいったん置いておく。)
ここに国債を用意した。目に焼き付けておいてほしい。
国債は大きく3つの要素に分けられる。
①元本、②償還日、③利率
である。
機関投資家のあなたは、この2024年に出された「10年物国債」を手に入れた。
これから10年間の間、2034年に元本100万円が返ってくるまで、毎年元本の0.6%、すなわち6000円を手に入れることができる。
購入してほんの数日後、皆さんは急遽まとまった現金が必要になった。
そこで、この国債を売却することに決めたのである。
ところで、この国債っていくらで売れるんだろう?
チャートを見ると、10年物国債の「利回り」が0.7%になっているケド...。
まずは、「利率」と「利回り」の違い。
利率とは、債券の額面金額(元本の100万円)に対して毎年受け取る利息の割合。
利回りとは、利息や売却益も含めた総収益の1年あたり、元本あたりの割合。
ということ。
既に市場での10年物国債の利回りが0.7%となっている。
新規発行される国債も「元本100万円で年利0.7%」となるだろう。
そうなると、今まで皆さんが保有していた「元本100万円で年利0.6%」の国債は誰も買ってくれなくなる。
じゃあどうすればよいのか。答えは「ディスカウント」である。
新規発行されるであろう国債は、元本100万円で年利0.7%。
ゆえに10年後手に入るのは7千円×10で7万円。
皆さんが持っている元本100万円で年利0.6%の国債は、10年後に6千円×10で6万円。
だから、元本から1万円引いた99万円で販売すればよい。
そうすれば10年後に手に入るのは、6千円×10の6万円と、償還で得られる元本100万円-購入費用99万円の差し引き1万円。合わせて7万円である。結果、利回りは約0.7%となるのだ。
こうして皆さんはめでたく国債を売却することができた。
とはいっても売却価格は99万円。最初に100万円で購入したから、1万円のマイナスにはなったが。
お分かりだろうか。これが良く言われる「国債価格と金利のシーソー関係」である。
金利が上がれば、国債価格は下がる。反対に金利が下がれば、国債価格が上がる。というやつである。
「諸外国の金利上昇で、国債価格が暴落した」というニュースを耳にしたと思うが、これがその正体なのだ。
ほんのわずかな金利の上下で、国債の値が大きく上下する。
だから機関投資家たちは金利のチャートに目を光らせているのである。