休日の投資コラム。
今回はチャートを読み解く「日本株」についてのまとめ。
ちょっと長くなってしまったので、前後編に分けています。
(詳しくは前の記事も見てください。)
不況を打開しようと日本銀行は「金融緩和」、すなわち①金利の爆下げ、②国債の爆買いを行っている。
世界の各国が同じような金融政策を行い、とりあえず現在は世界的なインフレのトレンドとなった。
だから、多くの国々が利上げを行って、金融引き締めを行っている。
その例外が日本。なぜなのか?
その疑問に答えてくれるこの動画。
10年以上前の動画であるがすばらしい。
日本語の自動翻訳がいまいちであるが、図解されているので何となくは理解できるのではないだろうか。
そもそも国債というのは、国の借金である。
国の収入(歳入)が、支出(歳出)に比べて圧倒的に足りないから仕方なく発行しているのである。
動画でも触れられているが、日本の政府債務は対GDP比200%。
先進国の中ではぶっちぎりである。
そんな我が国の財政状況は下の通りである。
2022年度は歳入の30%超が国債。
借金は返さないといけない。せっかく集めたお金なのに、歳出の20%以上が借金の返済に使用されているのである。
まさに火の車。やめたいけどやめられない。そんな状態がずっと続いている。
ところで、動画に出てくるInvestor(投資家)。あれは機関投資家、いわゆる市中銀行や保険会社などを指す。
この動画の主人公は3人。政府・日本銀行・機関投資家である。
三方にとって、この量的緩和政策にはどんな意味があるのだろうか。
〇日本銀行
元気のなくなった経済市場をインフレにしたい...。
金利下げて、国債買って、市場にお金をばらまいてやろう!!
〇政府
税収足りなくて国債に頼らざるを得ない...。
低金利だから国債発行しても返済額が少ない。助かる!!
〇機関投資家
デフレが続いてどこにも投資先がない...。
日本国債を買おう!!買いすぎても日銀が買い取ってくれるし。
おわかりであろうか...。
デフレの状況下において金利の爆下げ・国債の爆買いは三方すべてにwin-winなのである。
日本銀行が機関投資家の国債を買い、お金を払う。
機関投資家は政府の国債を買い、金利を受け取る。
機関投資家は国債を日本銀行に売り、お金を受け取る...。
この無限ループ。まさに「金は天下の周りモノ」である。
結果、日銀バランスシートは大きく膨れ上がった。潤沢な当座預金と共に。
これは錬金術か何か?
少なくとも政府・機関投資家・日本銀行はみんなハッピー。めでたしめでたし...。
とはならないのである。
今や日本もインフレのトレンド。
それではそろそろ利上げしても良いんじゃないか...という話が当然出てくる。
日銀が利上げをするとどうなるだろうか? 量的緩和をやめるとどうなるのだろうか?
政府 あれ?国債の返済額大きくなるんじゃないの?
機関投資家 政府が国債買ってくれない...もうたくさん持ってるからこれ以上買わないでよいんじゃないの?
そう。利上げをすると日本銀行・政府・機関投資家が作り出してきた無限ループが破綻するのである。
日本国債によってなされていた自転車操業が立ち行かなくなってしまう...。
「日本はいつか財政破綻する」という話は何度も聞いたことがあると思う。
国債発行で国の借金が膨れ上がって、大変なことになっている...と。
三橋貴明さんは、そういった主張に真っ向から反論してきた方。「財政破綻なんてするはずない」と。
本当に大雑把に、分かりやすくいってしまえば、前回当ブログで書いてきたこと。
金利の爆下げ・国債の爆買いがなされているうちは、日本政府も日本銀行も機関投資家もみんな幸せ。
日本銀行が機関投資家の国債を買い、お金を払う。
機関投資家は政府の国債を買い、金利を受け取る。
機関投資家は国債を日本銀行に売り、お金を受け取る...。
この無限ループが繰り返されるうちは、どれだけ日銀バランスシートの債務残高が増えていようと財政破綻なんてするはずがない。
それはその通りなのであると思う。
問題なのは、日銀が金融緩和をやめるとき。
すなわち、金利の爆下げ・国債の爆買いをやめるときである。どうなってしまうのか。
ちなみに今回紹介した動画で三橋さんは明確に答えている。
大体22分くらいから。「金利が上昇するときは、財政破綻する可能性がある」...と。
おわかりだろうか。今まさにその状況に直面しているのである。
財政破綻...。すなわち国債価格は暴落し、日本円の価値も併せて暴落。ますますドル高となり、食料・資源・エネルギーといったライフラインの多くを輸入に依存している我が国は万事休すとなる。
こんな状態でも利上げなんてできない。申し訳程度に0.2-0.3%程度上がることはあるかもしれないけれど。
量的緩和もやめられない。機関投資家にはもっと国債を買ってもらわないといけないのだから。
今の日本はインフレの対抗策を失っているのである。
現状が持続すれば、インフレはますます進む。
だから、あくまで一元論的に考えれば、長期的に日本株高はますます進むし、ドル高も改善しないだろう。
この日本の財政状態というのは決してよいものではない。
そのためには、まず国債に依存した財政を抜本的に見直す必要がある。
増税も必要だろうし、社会保障の削減も必要だろう。(一人の医師としてこの辺も今後書いていきたいと思う。)
先の見えない日本社会...。でもしばらくはインフレは続きそうか?きわめて不健全ではあるが。
そんな社会を生き抜くためのヒントとして、本ブログを参考にしてもらえればと思う。