投資コラム チャートを読み解く「ドル円」 | 外科系集中治療医による新NISAの記録

外科系集中治療医による新NISAの記録

新NISAとともに成長するpompoko2525の愛と勇気と成長の物語

休日の投資コラム。

今回はチャートを読み解く「ドル円」についてのまとめ。

(詳しくは前の記事も見てください。)

 

本ブログを始めるに際してこんなことを書いた。

チャートの上下には理由がある」と。

 

自分はICU(集中治療室)にいる時間が長く、患者のチャートの変化にも日々注意を払う。

血圧が下がったな、心拍数があがったな、なんでだろう?といった具合に。

 

同じことが投資のチャートにも言える。今回は「ドル円」チャートについて書いていこうと思う。

 

海外資産に投資をするとき、「為替」の話題は避けては通れない

1ドルいくら?という話である。

 

さて、基本的な話であるが、

1ドル120円が130円に変わることを、ドルが高くなった(ドル高)=円が安くなった(円安)

1ドル120円が110円に変わることを、ドルが安くなった(ドル安)=円が高くなった(円高)

という。

 

通貨の価値・値段の上下は何で決まるのか?

答えは単純。「どれだけその通貨に人気があるか」である。

もうちょっと詳しく言えば、「その通貨の供給に対して、どの程度の需要があるか」である。

 

ハワイに行きたい、iPhoneが欲しい、COACHのバッグが欲しい...人間の欲望にはきりがない。

そうなると当然米ドルが必要になる。1万円札を差し出しても売ってはくれない。

米国株を買うにも、米国債を買うにも米ドルが必要になる。

 

魅力的な商品が欲しい、素晴らしいサービスを受けたい。そう思うからその国の通貨を欲しいと思い、値上がりにつながるのである。

 

そんな前提を踏まえて、下のチャートを見てみよう。

 

 
本記事のメイン。ドル円チャートである。
もともと100-110円台でよこばいであったが、2022年初頭よりぐんぐんとドル高が進み現在に至る。
 

2020年のコロナショックにより、米国では経済政策として多くのドルを市場に投入してきた。

コロナからの回復により、弱体化した経済は次第に回復の兆しをみせてきた。

ところが、コロナ時代の大量のドルが市場にまわったことで、今度は過度のインフレが引き起こされた

 

モノ・サービスの値段がどんどん上がっていく....。このままではイカンだろ。

ということで米国の中央銀行(FRB)が金利を上げて、行き過ぎたインフレを引き締めようとしたのである。

 

 

米国政策金利の推移を表したグラフ。2022年初旬から利上げを開始した。

 

結果として何が起こったか。

米国債の金利が大きく上昇した。10年物、30年物で4-5%の水準である。

 

一般的に国債は安全資産に分類される。株式・社債などと比べて。

国が借金返せなくなる(債務不履行、デフォルトという)ことなんて、普通の一般企業に比べたらまずないだろう。

ましてや世界一の経済大国アメリカである。お金を貸しても、将来必ず返ってくるだろう。

という安心感が国債の安全資産たる所以である。

 

そんな米国債の利回りが4-5%という高水準になったのである。

その結果、米国債は超人気となり、世界中のマネーが米国債へ、そして米国債を買うための米ドルへ集中した

それがこれまでのドル高・円安の理由の一つである。

 

こうすることで、過度なインフレが抑制され、いわゆる適正なインフレ率に調整される。

昨年後半までFRBは順調に利上げを維持してきたが、そろそろ大丈夫だろうと年末に判断した。

2024年からは段階的に利下げを行いますよ」と発表したのである。

 

だから、これからは米国債の利回りも徐々に低下し、人気も収まってくるだろう。

そうすれば今まで、円安が続いていたが、これからは円高に傾くだろう。と皆想定している訳である。

実際2024年初頭は、円高ムード一色だった。これからドルの値段は130円台に落ち着きますよ...と。
ところが、未だにドルは140円台後半で推移している。何がおこっているのだろうか。
 
その原因の一つがおそらくは「新NISA」。すなわち、米国に莫大な金を投資し続けている我々の存在である。

貯蓄から投資へ」という政府のスローガンの一環として、「新NISA」も大々的に進められてきた。

そして、間違いなく貯蓄は投資へと向かった。その行先は米国株を中心とした外国株である。

多額の円が海外へ流れ、それがまた今年に入ってからの「円安トレンド」を後押ししているのである。

 

投資系YouTuber、ブロガーなどのインフルエンサーによって、特にS&P500・全世界株式のインデックス投資が昨今のトレンドとなっている。中には非課税枠1800万円すべてを、最速5年で埋めてしまえなどという人もいる。

私だって、これらの投資信託の積み立てを行っているし、何ならそういったブロガーの一人なのかもしれない。

 

しかしどうだろう。

このブログでも度々取り上げているが、米国経済は決して良い状態とは言えない。

例えば、これから先、「米国株」が大暴落したとき。

そして、それに追随するようにドル安となって円高トレンドとなった時。

思い出してほしい、外貨建て資産は「資産額×外貨の額」である。

米国株安×ドル安」となるとうことは、恐ろしい勢いで日本円評価額が低下するということである。

 

繰り返すようだが、自分も主要株価指数のインデックス投資を行っている。昨今のトレンドを否定する気は毛頭ない。

しかし、暴落の可能性があるのも事実である。それも、かなり直近で。

その暴落の果てで、「やっぱり投資なんてしなきゃよかった」とか「現金が一番」などといった、原点回帰になる可能性。実はそれが一番不幸なのではないかと思う。

 

投資はした方がよい。日々勉強。それがこれからを生きる上での必須事項であるとさえ思う。

 

とにかく市場を注視し続けること。これが大切。