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*フランスでの日々や旅の感想、ゆるゆる更新*


もう1週間が経とうとしていますが、
2013年2月10日に高千穂の上田原で行われた
夜神楽を見に行ってきました。

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今回の高千穂行きは、国文学科出身ということもあり
自分の興味がある分野だったので、事前にけっこう勉強しました。
と、言っても図書館で借りた4冊の本のうち、
分厚い論文を除いた、写真をふんだんに使った2冊を読んだだけなんですがね$りんごのゆくえ。


まず、基礎知識として高千穂は宮崎県西臼杵郡にあり、宮崎の中でも北部で大分と熊本に接しています。
福岡からはバスが出ており、3時間半ほどで着きます。
高千穂峡や、そこにある真名井の滝が有名で、古事記にその名が出てくるところから天孫降臨の地として知られています。
そのような高千穂町で毎年11月末から2月初頭まで夜を徹して行われている神楽が高千穂の夜神楽です。
近年、続けることが難しくなった集落も多く、現在では20の集落で日にちをずらしながら週末に行われています。
今回わたしは、今シーズン最後の上田原公民館である神楽を見てきました。
(ちなみに今年の夜神楽日程はココ。)

神楽は民家や公民館で行われるものの、神楽歌に「嬉しさにわれはここにて舞い遊ぶ妻戸も開けて御簾もおろさず」とあるように、神と遊ぶために窓などは開け放します。
そのため鑑賞する際は、基本的には寒さとの戦いとなります。


しかし、なぜ開け放たなくてはならないのに一番寒い時期にやるのか、不思議に思いませんか?

それは、この神楽がもともと「ふゆまつり」の一環として行われているからだそうです。
「ふゆまつり」とは「古い時代の北半球の各地で、冬至を中心として、11月頃から始まって極寒の季節に2ヶ月も3ヶ月もかけておこなれた、とても重要な祭り」で、「弱まっていく太陽の力が底を打って、これからしだいに昼の時間が長くなり、熱と光を回復する時期を選んで、太陽の死と再生を主題にしたさまざまな儀礼や祭りがおこなれる」そうです。
この思想はユーラシアの各地でさまざまに行われ「たとえばヨーロッパの民族で、それは『十二夜』と呼ばれるクリスマスを中心とした祭りにはじまって、早春のカーニバルから復活祭にかけての祭りまで延々と続く、長大なキリスト教の祭礼サイクルとして実現されたが、それにはキリスト教以前からずっと続けられてきた、古代的なふゆまつりのシナリオが、原形として採用されている」と考えられるのです。
(以上、『山と森の精霊』の中沢新一さんの文章より抜粋)

高千穂の夜神楽も全く同じで、天照大神が隠れた岩戸から出てくるまでの一連の「岩戸神楽」を終盤に据え構成されています。
太陽神である天照大神が戸に隠れること(=死)と姿を現すこと(=再生)で春への準備がなされるのです。


高千穂の夜神楽は全部で三十三番。
一番あたり、短くて15分、長くて1時間に及びます。
舞い手は奉仕殿(ほしゃどん)と呼ばれ、交代しながら舞います。



次回は三十三番の内容の説明をします。




バラ参考資料

山と森の精霊 高千穂・椎葉・米良の神楽 (LIXIL BOOKLET)/LIXIL出版

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↑読み応えもあってとてもおもしろいのでオススメ!$りんごのゆくえ。


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