最近、急激に増えているのがDHCと呼ばれる地域冷暖房です。
地域冷暖房は、通称がいくつかありますがとりあえず地冷と言いますね。
地冷とは、熱エネルギーを送る事業者の事をさし、電力やガスに並んで供給事業者の一つとなり
業界では第三の供給事業者ということで言われます。
法律も、電気事業法などと同じように事業法があります。
日本で最初の地域冷暖房は、大阪万博だったそうです。
最近の大型オフィスビルの建築の場合、通常地下5階とかに大型倉庫みたいな空間を設け、
20トン~30トン 5台くらいの大型ボイラーとターボ式大型冷凍庫3台くらいと吸収式冷凍庫を
2・3台くらいは、どこでも備え付けられていますが、そこで作った熱エネルギー(蒸気と冷水)を周辺のビルに、配管を通して供給する事業を行っています。
事務所というより、完全に熱工場になります。
法律上も、プラント扱いになりますので、冷凍やボイラーだけでなく ちゃんと
公害系資格保有者もいます。
では、なぜ最近流行っているかというと、
ここ何年も、CO2削減や大震災以降の使用電力の削減という大きな時代の流れがあるために、
CO2を出さないビルや省エネビルというセールストークで、テナントを集めやすいことも
影響しているみたいです。
特に東京都の場合、そういった省エネビルの表彰や等級付けを行っていることも影響があります。
その他、ビルのオーナーにとっても
ボイラーや冷温水機などの施設を持たない方が建物の効率や設置や維持管理費の大幅削減などが受けています。
そのかいあって、最近はあちこちの再開発ビルで、どんどん地冷が増えています。
また、地冷の場合、道路下を通して大掛かりな配管工事などが必要なこともあり、どの地冷もワンブロック程度(大型ビル5・6棟)しか供給できないことも増えている要因です。
そのため、大規模な再開発の場合 ブロック毎に地冷プラントをいくつも設置しています。
繰り返しますが、だから、結構地冷プラントは多いです。
その為、自分が働く会社も、3分の1の設備員は、ビル管理ではなく地冷プラントで
働いています。
冷水は、ターボ式冷凍機をメインで送り、大型で効率の悪い吸収式は夏季に稼動させます。
ターボ式冷凍機は、応答も効率もいいのですが大きな電力を消費しますので夏場の繁忙期は、
効率は悪くても、電力使用量の少ない吸収式冷凍機を使って冷水を送ります。
蒸気は、0.8Mパスカルくらいの蒸気を送りますが、吸収式冷凍機の蒸発熱源としても使いますので、稼動台数に変化はあっても夏でもちゃんと稼動させます。
また、地冷の料金体系は、蒸気と冷水をそれぞれ送りますが、それは各々のビルで熱交換に利用され、環水としてプラントに戻ってきますので、その環水管に流量計を付けて 環水量によって
料金を課金しています。
ただ、エネルギー供給事業として法律に基づいて行っているため、電力やガス同様、安定供給が絶対条件になっているため、間違ってボイラーを止めましたなどというようなケアレスミスは絶対に許されませんので、監視モニター室には緊張感が漂っています。