東京都知事選挙に過去最多の21人が立候補した。その中で、鳥越俊太郎、増田寛也、小池百合子の3名のうちから当選者が出るというのが、ほぼ一致した見方だろう。宇都宮氏の辞退により、鳥越氏が当選する確率が非常に高まったと思う。宇都宮氏の土壇場での辞退は、与党側に候補の一本化をさせないで、野党側のみ一本化するための戦略だったのではないだろうか。

東京は非常に鬱陶しいことになるように思う。昨日のBSフジプライムニュースを見たが、鳥越氏は国政の問題を意図的に都政という地方行政に持ち込もうとしている。そして、安倍政権の全面的非難と言えるような言葉を口にしていた。憲法改正に関する懸念や集団的自衛権行使を可能にした法整備に反対する(補足1)他、安倍政権の経済政策に対しても批判的であり、それ以外の都政上の諸案件は付け足しのように見えた。増田氏は、そのようなことは“国政の場で議論すべきでしょう”と正論で応じていたのだが。。。
 
現在沖縄県と国との間の溝が益々大きくなっており、世界の政治が流動的になっている今、その溝を埋めることが政府の最重要課題の一つであると思う。沖縄県の場合は、先の大戦で地上戦が行われた唯一の県であることや、現在の米軍基地の負担が異常に高いなど、地理的歴史的な特殊事情が重なっている。その対策にエネルギーを注ぎ込むのは国家の当然の仕事であり、対策の方向も非常に困難ではあるが見えていると思う。
 
その様な状況に加えて、東京都のトップが国政へネガティブなアナウンスを頻繁に国内外に向けて行うとしたら、そしてそれを外国が利用することになれば、現在の政権にとって難題が一つ増えるのではないだろうか。例えば、米国の支配下にある横田基地を中心とした空域の返還要求、オスプレイの配備反対など、政府に持ち出す問題はどこからでも作ることができる。本来の目的は憲法9条を守ることであり、集団的自衛権行使反対なのである。本来の目的とずれたところで問題提起される場合、それは嫌がらせであり解決不可能である。
 
困った有力候補が残ったものである。民主主義の限界が、米国、英国、そして、日本で顕在化してきたように見える。男性に人材がいなければ英国のように女性が頑張るしかないのではないか。英国の新しいメイ首相(鉄の女二世)は、自信満々にあのジョンソン氏を外相にして世界をびっくりさせた。英国はさすがだと思う。
 
補足:
1)鳥越氏は、“従来政権が違憲だと言ってきた集団的自衛権行使を、国民の意見を聞くことなく可能にしたのは、おかしい”と、「集団的自衛権行使を争点にした総選挙をすべきだった」という趣旨の発言をしている。しかし、ある一つの政策を争点に総選挙することは、間接民主主義の原則に反する。小泉政権の行った郵政解散もその点は同じである。その危険性は、先ほど英国での国民投票で確認したばかりである。鳥越氏は何もわかっていない。“どこの国が攻めてくるというのですか”というトンチンカンな鳥越氏の発言も、政治家の器ではないことを証明している。セオドアルーズベルトのBig Stick Policyなんて聞いたこともないのだろう。
産経ニュースによると、自民党東京都連は、都知事選において小池百合子氏を応援した場合、除名の対象とするという通達を出した。http://www.sankei.com/politics/news/160713/plt1607130024-n1.html 今日13日のテレビ番組ゴゴスマでも、その通達書のコピーを画面にだし紹介していた。そこには家族が小池百合子氏を応援した場合も、除名の対象となると書かれていた。この通達は、「政治活動における個人の自由」を認めない、前近代的内容のものである。
 
家族という文字がなくても、この通達は問題である。今回の場合、小池氏は自民党の議員であり、増田氏と基本的な政治姿勢に差はない筈である。従って、政治思想や政策が自民党にふさわしくない人を応援したので除名するというケースにはなり得ない。都議連執行部の小池氏に対する私怨が、この通達に反映しているとしか思えない。
 
東京都議連とはなんの組織なのか? 
政治行動における個人の独立は民主主義の原点である。従って、議員連合という集まりは、政治思想が似た人たちの親睦のための団体であるべきであり、個々の政治行動にまで干渉するような集まりであってはならない筈だ(補足1)。例えば、米国連邦議会では民主党も共和党も、投票の段階では党がしばりをかけることはない。それが民主主義の政党としてあるべき姿だと思う。
 
小池氏が、自民党都議連に相談なく立候補を決めたことについて、自民党都議連からルール違反だと非難された。しかし、立候補は個人の判断でするものであり、相談して許可を得なければならないというのは、おかしい。
石原伸晃都連会長は、独裁者なのか? その取り巻きは、独裁者に阿る人間のあつまりなのか。 


「ゴゴスマ」でも東国原氏が、その組織のルールということばを用いて小池氏にも責任の一端があると発言していた。その様な意見は、組織自体が民主政治にふさわしいかどうかを考えてから出すべきであると思う。
 
組織の許可を得て(通知をして)立候補するのは、組織の支援を得たい場合に限られるべきである。従って、立候補の通知あるいは相談をしなかった場合の制裁として、最大のものは”組織として応援できない”ということだと思う。この“立候補の際に通知しなかった”件については、小池氏は東京都議連に進退伺を提出しているのであるから、十分対応すみだと思う。それ以上の縛りを組織が行うのは、ヤクザの組織ならともかく、現代の政治団体のすることとは思えない。
 
追加であるが:
今回のような政策に関してテレビの前で議論を行うのは非常に良いことだが、議論だけで終わっては何にもならない。例えば8000人の待機児童解消などと言っても、そして其のためのアイデアを思いつきで出しても、最終的に結果を出さなければ何にもならない。知事在任中の業績評価、及び立候補時点での公約との対応関係などを、任期終了後に情報公開すべきである。それらがなければ、知事としてのビジョンと行政手腕とについて投票前にテレビ等で議論しても何にもならないと思う。
鳥越氏の都知事選立候補の会見をテレビでみた。参議院選挙で改憲派とみなされる人たちが2/3を占めたので、東京都知事選に急遽立候補を決めたそうである。

「戦後70年平和な時代を過ごしたが、そろそろそのような話が出てくると思う。」「都知事選挙であるから、国政の問題を議論するということはないが、改憲反対の意思を反射として起こしたい」というような発言があった。

この反射という言葉の意味が非常にわかりにくい。しかし、鳥越氏の意図は明白である。つまり、”憲法改正に反対する”とアナウンスする立場として、東京都知事という椅子を利用したい”ということである。なんという動機不純の立候補だろうか。

その動機との関連で、 「改憲の問題については何もすることはできないが、現在中国なり韓国なりとの関係がギクシャクしていることを考え、首都東京として、それらの国の市民と交流などやれるかもしれないので、そのようなことも考えている。」つまり、日本の首都東京の都市間交流のなかで、憲法改正に反対するということだろう。

鳥越氏の憲法に関する見方は、「日本の平和の必要条件(あるいは必要十分条件)は、憲法9条を含む”平和憲法”を維持することである」という考えだと思われる。まあ、毎日新聞社元記者なら当然かもしれないが。

その動機以外については、ほとんど何の考えもないようだ。都知事選の争点をどう考えますか?という質問にたいしては、「未だ残念ながら自民党の方々の公約を読んでいない。関心がなかったからあまり読んでない。どこに自分の考えと違いがあるのかは読んでから考えたい。」とおっしゃる。

「争点になるかどうかわからないが、政策として将来に対する不安、年金、介護、育児などの問題を考えたい。2025年以降日本は大介護時代に入る。果たして今のような政策でうまくいくのか?自治体としてもそのような問題を考えて先手を打っていくということは大事である。」この将来への不安は、だれもが言うことであり、選挙戦の争点にはならないことは明らか。五輪についても「予算を抑える方向でやりたい」というのも、大方共通だろう。

舛添氏の決めた都営地の韓国人学校への貸し出しについては、「具体的には詳細を知らないので明確には答えられない。しかるべく都民の方に納得していただけるような策を立てる」 と仰っている。舛添都政上で最も話題になった大きな問題についても、何もご存知ないのである。

その一方、 「横田基地へのオスプレイの配置については、基本的には危険な飛行物体であると考えているので、出来るだけオスプレイの飛行は控えてもらいたいと考えている。更に、横田基地周辺の航空管制も日本に取り返す方向を希望する」とおっしゃる。

①改憲には反対である、②横田基地でのオスプレイ配備はなるべくやめてほしい、③横田基地周辺の航空管制を日本に返還してほしいなど、すべてほとんど国政の問題ではないのか。そのほかは、今から考えたいというのが、鳥越氏の東京都知事選出馬改憲の言葉であった。

このような動機不純で立候補した候補に一票を入れるほど、東京都民はXXなのだろうか?