1)西尾幹二さんの講演を少し聞いた。https://www.youtube.com/watch?v=-UXAkzOhXUQ&t=982s その中で興味を持ったのが標題の言葉である。(27分頃から29分頃の言葉)そこで、言われたことを十分理解できたかどうかわからない。想像するに、以下のようなことだったのではないかと思う。
 
人間の自己には二つあり、それは主体としての自己と客体としての自己である。人間はこの二つを持つ唯一の存在である。そして、主体としての自己が客体としての自己を観察し評価できる。しかし、主体としての自己については一切わからない。
 
ここからは私の考えだが、それについて西尾さんが話されたかどうか、確かではない。テンポが合わず、動画視聴を途中で投げ出してしまった。
 
主体が明確であれば、それが記述する客体も明確だろう。しかし、主体としての自己がわからないのだから、結局客体についても何もわからない筈である。唯一わかるのは主体としての自己が存在することだけである。つまり、何かについて説明できたとしても、記述した主体(自分)について何もわからないのだから、それらは全て幻想かもしれない。
 
他人の幻想と私の幻想が同じ場合もあるだろう。社会を作って生きていると称している人類は、皆共通の幻想を持っているのかもしれない。しかし、確かなのは考える自分だけであるから、社会やその構成員と知覚した全てが幻想かもしれない。
 
神が存在すれば、そして神との関係において自分が確かになれば、自己も自己の記述する他も確かな存在となる。しかし、我々は神を知らない。(補足1)死は客体としての自己の消滅だろうが、主体としての自己の消滅でないかもしれない。解脱という解放かもしれない。
 
2)こんなこと考えるのは、明日の飯が保証されている(と信じている)からだろう。常に生きること獲物のこと敵のことを考えている猿に似た動物に主体としての自己とか客体としての自己など存在するだろうか?
 
逆に、人間以外の動物だって、明日の飯が保証されて、数十世代か数百世代経過すれば、我々人間のように自己が二つに分裂するかもしれない。
 
想像を更に膨らませると、人類にとって明日の飯が保証されるのは農業を始めてからだと思う。(補足2)そして、明日が保証された農耕民族で、そして特に定住の傾向が強い民族において、この分裂がより明確になるのではないだろうか。つまり、同じ人間でも異なる文化圏では、この分裂の明瞭さは異なるのではないかということである。
 
自意識過剰とは、この主体としての自己と客体としての自己の分裂が明瞭であり、常に客体としての自己を主体としての自己が観測する結果だと思う。あまり知的でない人で利己的な人は、主体としての自己は明確だが、それが客体としての自己の存在をあまり感じないのではないだろうか。
 
 (コメント歓迎します)
 

補足:

1)神とは創造主という意味であり、神道的な神のことではない。

2)聖書にあるように、善悪を知る木の実を食べた人間は、罰として自分で地から食物を得なければならなくなった。(創世記3章)善悪とは、主体として自己と客体としての自己の分裂がなければ生じない。
安倍総理は異例の厚遇で米国大統領に迎えられた。予め準備されていた一般的な儀式を終えて、場所をフロリダに変えることになった。厚遇は安倍総理への前払金なのだろうか。実質的な交渉が始まるのはこれからであると思う。
 
安倍総理との会見前に、最重要な交渉相手に誤解されては困るので、手を打った。前日に行った中国の習近平主席との電話会談である。そこで、トランプ大統領が一つの中国政策を尊重すると表明したのち、相互訪問と協力関係の構築を約束した。
 
台湾の英文総統にした話はどこへ行ったのか? 中国が会談の大前提としていた”一つの中国政策”に理解を示すことは、国務長官のRex W Tillersonの考えだと、ニューヨークタイムズの記事には書いてある。台湾はbargainingchip(交渉材料)に使われたとある。しかし、この筋書きはキッシンジャーの訪中時に示された筋書きなのではないだろうか?
 
トランプ大統領の顧問であるピーター・ナバロの本「Crouching Tiger (
米中もし戦わば)」の中に、対中国戦略が細かく書かれているが、そのなかには日本や台湾を見棄てることも触れられている。対中国強硬派とされているピーター・ナバロは、その様な政策は中国の脅威をより短期間におおきくするだろうと書いている。ピーター・ナバロはこの部分を書くに際して、誰を読者に想定したのだろうか?
 
短期的には(10年単位で)日米同盟はつづくだろう。しかし、どこかの時点で日本は、今回の台湾のように梯子を外されるだろう。日本は軍事的に独り立ちして、徐々に中国と相互理解を深める政策が取れれば良いのだが、ニクソン、キッシンジャー時代、米中間で日本を軍事大国にしないという合意があったのなら、それは無理だろう。

このままでは出口が見えない。ヒントは、ロシアとの協調関係を築くことかもしれない。ロシアの政権はともかく、ロシアの国民には反日感情はあまりないと思う。
1)アメリカのトランプ大統領が、ロシアのプーチン大統領を高く評価していることに疑問を持つ米国人は多い。報道関係者ももちろん例外ではない。5日放映のFOXニュース(補足1)で、司会者から「プーチン氏は殺人者ではないか?」と問われて、「我々も殺人者だ。無実だと思っているのか?」とトランプ氏が答えたという。
 
これが反トランプの方々にとっては良い攻撃材料となっている。副大統領はロシアと良い関係を築けないか模索中であると言い訳をしているが、トランプ大統領は外交に関しては浮き上がった存在となっているらしい。
 
米国はこれまで、出来もしない理想論を弄び、結局中国に国際慣例を無視した行動を取られ、米国の軍事的脅威として大きく成長させてしまった。これまでの政権と異なり、米国の安全保障体制の構築を、原点から模索しているとき、従来の「プーチンは人殺しではないか」と、オバマ政権時の感覚で発言されてはイラつくのは当然だろう。
 
また、本音の世界では上記トランプ大統領の発言は正しいのだから、嘘だという批判はできない。ベトナム、アフガン、イラク、シリアなどでの米国の軍事介入(戦争)を考えれば、そして、それらが米国民の民主的手続きに従って作られた歴代の政権によりなされてきたのだから、米国人一人一人が殺人者と呼ばれても厳密な意味では正しい。
 
その発言が一人の評論家からのものならともかく、米国の大統領から出たのだから、時代が変わったと考えざるを得ない。世界は本音の時代に入ったということだろう。つまり、従来の骨組みを破壊する“がらがらぽん”の時代には、昔の建前は問題を複雑にするだけで邪魔なのだ。数日前のブログに書いたように、建前が通用するのは政治的安定期であり、建前と本音の二重構造が暗黙の了解として出来上がっている時のみである。
 
2)プーチンに関しては、現在は東ウクライナでの軍事介入があるが、それよりも酷い軍事介入がなされたのが、チェチェン共和国である。(以下、ウイキペディアによる。また、佐藤優氏の以下の動画参照https://www.youtube.com/watch?v=bCsTXQhvMSk
 
20年ほど前ソ連崩壊後に第一次チェチェン紛争が起こった。独立を目指したチェチェンをロシアのエリティン大統領が199412月に4万人のロシア連邦軍を派遣し、一般市民10万人以上を殺害し弾圧した。
 
一旦停戦合意がなされたが、その後1999年8月にコーカサス地方における「大イスラム教国建設」を掲げるチェチェン独立派が挙兵して隣国に侵入する。プーチン指揮下のロシア軍が翌月にチェチェンに侵攻した。長いテロ戦争ののち、2009年5月にロシアは「反テロ特別治安体制」を終了すると宣言し、第二次チェチェン紛争が終結した。ロシア軍によりチェチェンの民間人20万人が犠牲になり、1/4のチェチェン人が殺されたと言われる。
 
このチェチェン紛争に関して、ロシアの反体制物理学者アンドレ・サハロフ博士の未亡人が、米国下院において、第一次チェチェン弾圧はエリティン大統領の再選に必要だったし、第二次チェチェン弾圧はプーチンが世論調査で順位を上げるために必要だったと、証言しているという。
 
なお、チェチェンは、南下してきたロシアにコーカサス戦争の後1859年に併合された。第二次大戦中1944年に、ドイツへの協力を恐れたスターリンによりチェチェン人と隣接民族であるイングーシ人50万人がシベリアやカザフスタンに移住させられ、多くは死亡したという。
 
弱小な民族であるということは、なんという悲しいことか。このような例は世界史に山ほどあるだろう。そして将来、日本が中華圏に飲み込まれた時には似た悲劇が予想される。なんとか現在の厳しい現実(補足2)に国民一人一人が気づいて欲しいものである。防衛省が研究予算をつけることに歯止めをかけるべきだと、机を叩いて主張したバカ丸出しの学術会議の委員をテレビで見て、その危険性を強く感じた。(昨日のブログ参照)
 
3)人間の歴史は虐殺の歴史である。それらが互いに生存を賭けた戦いの中での出来事だとすれば、それが我々現在生き残っている人間の存在条件ということになるので納得するしかない。その場合、そのような行為に及んだ皇帝や絶対権力者は、生き残った側からは英雄となり、ほとんど全滅した側からは悪魔として評価されるだろう。
 
しかし、現在のように一人一人の投票により国家のリーダーが選ばれる時代になってからは、一票を投じた個人の責任まで厳密に考えれば議論できる。
 
つまり、サハロフ博士の未亡人の方が証言したように、国家のリーダーに投じたその一票が殺戮に繋がったのだから、その一票を投じた人一人一人がその殺戮の責任を分け合わなければならない。トランプ大統領はそれを本音としてストレートに言っただけである。それを聞いてオタオタするのなら、そんな質問などしなければ良いのだ。
 
よく引き合いに出されるのが、ヒトラーのホロコーストである。これも国民の一票で選ばれたトップが行ったことであるので、その国の国民の責任であり、ヒトラー個人とその側近に押し付けるのは、卑怯なやり方である。それも戦後制定した法律で、ナチス関係者を探し出して罰する行為は、法の不遡及という人類文化を無視した行為である。http://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42302353.html
 
親日派というレッテルを個人に貼り付けて、過去に築いた財産を没収するというとんでもない法律を作った隣国の場合は、もともと法治国家ではないので、さもありなんと思うが、ドイツがそのようなことをやるのは苦しみ紛れとはいえ、卑怯である。
 
 
補足:
1)FOXニュースは「Fair and Balanced」とWe report, You decide」をモットーとし、中立報道を心がけていると主張している。司会者は全く社是を理解していなかったと考えるよりも、経営者のメディア王と呼ばれるマードック氏の意向により、社是など投げ捨てて反トランプ運動のネタ作りをしたのだろう。FOXニュースの司会者を含めて、米国の知識層は米国のこの100年間の軍事介入の歴史を全く知らない筈が無いからである。しかし、それが反トランプ運動に使えるとするなら、米国民一般はそれを知らないことになる。
2)トランプ政権の顧問ピーター・ナバロの本、「もし米中戦わば」の中にも、日本が中華圏に寝返るシナリオや、米国が台湾を中国に引き渡すシナリオなどが書かれている。いずれの場合も米国の国益に反すると結論されているが、それはナバロ氏個人の結論である。