1)東アジアの国々では、公の空間でも論理が感覚に優先しないようである。その一つの具体的現象として、これらの国々では法治主義がまともに機能しない。法を運用するのには、論理に最高の価値を置くことが肝心である。そして、法が実情に合わなくなれば、いい加減な解釈で誤魔化すのではなく、法を改正することが大事である。
 
それらの国々として我々に身近なのは、韓国であり日本である。ほかの国々も同様だろうが、この二つの国について考えてみる。この表題を思いついたのは言うまでもなく、昨日の韓国大統領弾劾罷免の決定である。昨夜のBSフジでのプライムニュースでは、韓国に詳しいゲスト二名の意見はともに世論に圧された形で憲法裁判所が弾劾妥当の判決をだしたと発言していた。
 
それ以前に韓国の論理軽視感覚や感情重視の国柄は、対馬の仏像の件もそうだが、 親日とラベルされた者の財産を没収する法律”が韓国に存在するという信じられない事実で明らかである。この様な法律を定め運用しながら、日本と国交を結び外交をおこなっている無神経さ、更にそれを国内問題であるからと特に外交上の障害と考えない日本の無神経さは、当に両国には法を制定し用いるだけの論理や知性がないと言える。
 
日本での例をあげると、”平和憲法”の現実無視条文とその非論理的解釈だろう。憲法前文や憲法9条の条文は、人類の歴史など無視して理想論を書いている。その第9条第二項を無視して、自衛隊という名の軍隊を持っている。更に、それが問題になった最高裁判所では、論理に従って違憲判決を出して行政に憲法改正を促すという司法の役割を放棄し、自衛隊合憲という判決をだしている。昨日の件で韓国を笑う日本人が多いだろうが、そのような人々は天に唾するという言葉を思いだした方が良い。
 
2)日本に関して言えば、その原因は言語の出来が悪いことと、そのために言語を軽視する文化が定着したということである。韓国のことについては韓国語を知らないので考察の対象外であるが、ほぼおなじ分析で解釈可能だろうと想像する。この件、何度も同じことを書くので抵抗を感じるのだが、敢えて繰り返す。
 
その一番わかり易い例は、読経の文化である。死者の霊を慰めるのか極楽往生を助けるのか知らないが、例えば三回忌などの法事のときには、坊主と親族が経を故人の位牌の前で上げる。しかし、その内容については坊主以外はほとんど理解していないし、坊主の理解も怪しい。
 
一般に“言語の出来が悪い”とは、読んだだけで、或いは、聞いただけでは、語られた文章の内容(論理)を瞬時に理解できないことを意味する。その結果、日本の文化の一つとして、文章を先ず暗唱させる教育が古来行われてきた。江戸時代には寺子屋で論語などを暗唱し復唱する姿がよくテレビドラマなどで出て来る。


そこでは、意味の理解は次の課題であり、最初に暗唱することが必須である。これほど愚かな教育があるだろうか?記憶力の悪い子供は、その文章に関してその時点では門前払いに等しいのである。そして、その内容についての解説や生徒同士の議論で理解を深める教育は、皆無である。
 
3)もう一つ、元々単独に書く予定だったのだが、ここで例として上げる。最近のテレビのワイドショーは、森友学園の国有地不正取得の問題で独占されている。そこで屡々話題になったのが、そこが経営する塚本幼稚園の運動会での異様な宣誓の場面である。例えば、そのなかで「有事法制国会通過よかったです。安倍総理がんばれ」と園児に言わせている。その場面については、出演者が声を揃えて異常だと言うが、もう一つの「教育勅語の暗唱」については誰も何も言わない。
 
一昨日だったか、籠池理事長が自分の幼稚園の優れた教育について記者団の前で自己宣伝をする場面があった。そこで、教育勅語の中の文章を引用して、(教育勅語などを暗唱させることを含めて)学園の教育のどこが悪いのかと居直っていた。それについて、現場およびスタジオで、誰も何も言わなかった。一般紙(新聞)も、この事件が明らかになって以来、教育勅語を幼稚園児に暗唱させることの異常性についてあまり書いていないのではないだろうか。
 
この異常な事態は、日本国は韓国同様、ナショナリズムの空気が醸成されてきていること(補足1)の証明でもあるが、日本国は文章に人を支配する力がない国だからでもある。


戦後日本の政治は、皇国史観から抜け出した筈である。その皇国史観を真正面から唄い、それを子どもたちの人格の中に叩き込むのが塚本幼稚園の教育勅語暗唱教育である。それは、人格権の侵害であり、憲法違反である。そのような教育をしている本人を前にして、記者やレポーターと呼ばれる人たちは何も言えないのである。
 
現在、天皇と国民の関係は、君主と臣民の関係ではない筈である。そして、教育勅語の中の「一旦緩急あれば義勇公に奉じ、以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」という文章を現代語にすれば、「戦争になれば、勇ましくあなたの命を捧げて、永遠に続く皇室の運命を助けなさい」という位の意味になる。それを現代の幼稚園児に暗唱させ教える異常さに、どこのメディアも何も言わないのである。
 
補足:
1)天皇を元首とする憲法改正案が自民党でつくられている。安倍内閣の下で憲法改正が議論されるとした場合、その草案がたたき台になるだろう。その憲法草案作成の中心になったのが、日本会議という自民党国会議員の主要メンバーが参加する団体だ。
追加(3/14):THAADシステムはミサイルを撃ち落とす能力はあまりないとのことです。地域の軍事バランスを崩すという中国とロシアの意見は、THAADシステムによる地域でのミサイル攻撃攻撃能力増加にもあると思われます。この件、十分な情報が無かったため、見過ごしました。この情報は以下の記事にあります。http://www.globalresearch.ca/the-korean-crisis-and-the-thaad-missile-deployment-a-growing-tinderbox-in-the-south/5579048

1)北朝鮮のミサイルを対象にして、米国からTHAADシステムが韓国に導入されようとしている。このことに中国は激しく反発していることが、非常にエゴイスティックであると一昨日非難した。しかし、何か別のメカニズムで中国が不利になることがないのか、素人であるが考えてみた。
 
あるサイトに、THAAD用に米国の高性能レーダー(AN/TPY-2)が韓国に設置されると、中国のミサイルに対する米国の探知能力が飛躍的に向上すると書かれている。つまり、中国と米国の戦略兵器のバランスが崩れ、中国は高性能のミサイルの開発を急ぐ必要に迫られることになるというのである。http://tanakanews.com/170314korea.php
 
上記記事には専門的な記述であり分かりにくいが、ざっくり言うと中国から米国に発射されたICBMが韓国で探知され、より確実に撃ち落とされるという意味だろう。そのうち、日本にも配備されるとの話もあり、何段にもTHAADが配備されると、中国の現状の戦略核兵器が、対米国という意味では無力になるというのである。

そうなると、米国に対して屈辱的な外交しかできなくなる。現在のような世界の二大覇権国として振る舞うには、戦略兵器において米中間のバランスを維持する必要がある。それには、中国は極超音速ミサイルや多弾頭型のミサイル(MIRV)を急いで開発し、それらに置き換える必要がある。
 
それには多大の経費を必要とする。従って、財政に対する重荷を覚悟してミサイル開発を急ぐか、北朝鮮に本気で核開発を止めるように圧力をかけて、THAADの配備を止めさせるか、どちらかが必要になる。しかし、北朝鮮に圧力をかけ、北朝鮮が暴発したり崩壊したりすれば、難民が大量に中国になだれ込み、非常に深刻な事態になる。どちらにしても大変なことになるので、韓国に強く反対の意思表示をしたのだというのである。
 
2)以上の筋書きが正しいとすると、米国がTHAADを米国内のみに配備しても、中国から発射されたICBMを撃ち落とせないと中国は考えていることになる。
 
ICBMは、地球の裏側まで届かなくてはならない。そのため、かなりのエネルギーで上空に打ち上げる必要がある。詳しい計算は簡単ではないが、恐らくロケットに地球周回のエネルギー程度を与える必要があるだろう。そうすると爆撃地点に高速、例えば7キロ・毎秒(第一宇宙速度程度)くらいで落ちてくると思う。真上からに近い角度で、そのような高速で落ちてくる物体を打ち落とすのは至難の技だと思う。
 
例えば、元外交官の孫崎享氏は、迎撃ミサイルでは撃ち落とすことは無理だと言っている。https://www.youtube.com/watch?v=fgEgdXuXsvk 


また、北朝鮮からソールを攻撃するには短距離ミサイルで十分であり、その防御にほんとうにTHAADが必要なのだろうか。この点を韓国はどう考えているのだろうか。
 
兎に角、以上の理由から、米国が韓国に配備するTHAADの本当の目的(米国の)は、北朝鮮のミサイルの迎撃でなく、中国の戦略核兵器を韓国で検知し、そこで落とすことだと思う。(補足1)
 
そう考えると、中国が非常にナーバスになるのも分かる。バランスが崩れるのは、米国と中国の軍事バランスであり、地域の緊張を高めるので反対だというのは、お互いに建前で話をしているのだろう。或いは、中国の言う地域の緊張とは、中国が本気で北朝鮮に干渉しなければならず、それにより北朝鮮と中国の関係が緊張するという意味だろう。

補足:
1)ロケットが上昇するとき重い燃料を搭載しているので、最後の燃料を燃やすときに最大加速度になる。従って、上昇中のミサイルの方が、落下するミサイルよりも圧倒的に撃墜が簡単である筈。そして落下して来るときも上空では幾分速度は遅く、着弾するときの速度が最大である。ウィキペディアによると射程200km; 高度は40-150km;弾頭速度2.5 km/sだと書かれている。同じくウイキペディアのICBMの最高高度の1000-1500kmから計算すると、落下してきて射程に入った時のICBMミサイルの速度は、優に4km/sを超えている。それを2.5 km/sの速度の弾頭で撃ち落とすことになり、その難しさが容易にわかる。(補足を3/10/7:00に追加)
1)中国やロシアの韓国や日本へのTHAAD配備に関する声明:
韓国国内へのアメリカのTHAADシステム(Terminal High Altitude Area Defense)配備に対して、中国とロシアが強く反対している。その反対の論理は、“THAAD配備は地域の緊張と軍拡競争を誘発させるもの”である。ロシア系の日本語サイトで紹介された、ロシア外務省声明を引用する。
 
このような行為は、米韓がいかに根拠を並べ立てようが、グローバルな戦略的安定に、最も否定的な影響を及ぼすだろう——米政府は、グローバルな戦略的安定の忠実な支持者であるとよく言いたがるにもかかわらず。またこの行為は、地域の緊張を高める危険をはらみ、朝鮮半島の非核化をふくむ複雑な諸問題の解決をいよいよ難しくする”と述べている” https://jp.rbth.com/politics/2016/07/09/610097
 中国の考えもほとんど同じである。稲田防衛大臣の声明によれば、現状では日本にその計画はないにも拘らず、外交学院国際関係研究院の周永生(ジョウ・ヨンション)教授は、日本がTHAADを導入するのではないかと疑って、以下の声明を出している。
日本はすでにパトリオットミサイルを保有しており、THAADは必要ない。日米がTHAAD配備で一致すれば、北東アジアの一部の国の利益を脅かす可能性が高い。THAAD配備による日米同盟の強化は中国とロシアの安全や利益を損なうことになる。中露は、自国の防衛力を高めることで対抗するしかないだろうhttp://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20161124/Recordchina_20161124022.html
2)これら両国の意見はどういう意味だろうか:
THAADは防衛システムであり、攻撃システムではない。それにも拘らず、ロシアの外務省や中国の関係者の声明では、地域の緊張を高めるというのである。
つまり、“自国の軍事力が隣国の国民を皆殺しにする能力を維持することが、その地域の政治的安定に必要である”と勝手に言っているのである。その論理の身勝手さに気づいてこのような発言をしているのだろうか?
ただ、この論理がほぼ正しい場合も存在する。それは、そのような発言をする国が、①政治的にも経済的にも周囲に比べて安定しており、他国を危険に陥れる可能性が無いこと;更に、②異常事態が生じたとしても、他国民に犠牲を強いてまで自国民が生き残るという利己主義を持ち合わせていないと断言できる場合;である。
中国とロシアに、上記①および②を主張する資格があるだろうか。中国にとってのウイグルやチベット、旧ソ連(ロシアはその中心だった)にとっての東欧や中央アジア諸国などを考えれば、そのような主張にふさわしくない国と言えるのではないだろうか。また、経済状況を考えても、両国は日本や韓国に比べて、現状安定しているとは言い難い。
つまり、ロシア経済は、石油や天然ガスの輸出に頼っているのだが、価格の低迷でこの数年苦境にある。中国経済も、鬼城(33億人が住めるくらいだそうだ)の建設でGDPを押し上げているが、外貨の逓減は経済危機の危険性を暗示している状況である。勿論、そのような主張にふさわしい国があるのかと問われれば、それにもNOと答えざるを得ない。
国際社会は、有史以来弱肉強食の関係が支配してきた社会である。現在も、多少の国際法や国際機関があるものの、中国やロシアはそれを無視する傾向にあるのは周知の通りである。その両国が、隣接する小国が攻撃兵器ではなく防衛兵器を整備するだけで、上記のような攻撃的な批判をする姿勢を見ればわかるように、100年前同様現在も弱肉強食の世界であると断言できる。
そのような世界において、国境が人類を区分けする最も明確な壁だとすれば、自国民が今後生き残るための最も重要な手段は、他国を圧倒する軍備を持つことである。中国やロシアの声明は、上記のような理由から身勝手にすぎると言える。しかし歴史を考えれば、特別に非難すべきことではなく、真理を再確認しただけのものである。従って、その声明を出す権利は当然あるが、それ以上の暴力的手段を取るのは自分の論理を自分で否定することであると、特に両国には自覚してほしい。(つまり、地域の緊張をたかめているのは、中国やロシアである)