新型コロナ肺炎(COVID-19)の問題を本格的に考え続けて、2ヶ月以上になる。ここで、ほぼ全体が見えてきたように思う。この病気が世界的大問題となった背景には、恐らく、人類の脆弱化と複雑な国際政治があるのだろう。この問題を、一般肺炎による死者数の年間12万人という数字で相対化してきたつもりだが、政治の貧困に対する攻撃により、取り扱いが大きくなり過ぎたかもしれない。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12580811884.html

 

この病気には、本当は集団免疫を得るまで緩やかな規制を続け、高齢者と基礎疾患保有者を隔離する方法をとり、結果としての相当の被害には目をつぶるスウェーデン方式が、賢明な政策だったのだろう。それは、都市閉鎖など力ずくで抑え込んだとしても、集団免疫が出来なければ、第二波と第三波などが来た場合、経済の疲弊による被害の方が大きいかもしれないからである。

 

しかし、世界ではSocial DistanceとかLock Down とか言って、強い規制がCOVID-19に対する正当な戦略であるとの考えが主流である。それは個の主張が極大化した現在、それと反比例的に人間社会が脆弱化したことの裏返しかもしれない。疫病の世界でのパンデミック自体はそれほど大きくは無くても、国際政治の舞台ではズームアップされたり、過度に照明されたりして、狂気の支配が始まっているのかもしれない。ここで、一度全体を振り返ってみる

 

1)第一波流行における中国の責任

 

武漢や重慶など巨大都市では、中国政府はほぼ完全な都市封鎖を行った結果、現在ではこの疫病を完全に抑え込んだとしている。4月27日には、武漢での入院患者ゼロを宣言した。その結果、中国全土での死亡者総数は、最近統計に漏れて居たとして加えた1200名を入れても、4633名(4月29日現在)であり、現在の米国死者数の1/13に過ぎない。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200426/k10012406651000.html

 

中国で発表された、(検出された感染者の数を分母にしての)致死率は、武漢で5%程度であり、他の省では平均して0.8%程度である。(抗体検査などで見積もった)実際の感染者数を分母にすれば、数値は数分の1になるだろう。(補足1)これらの数字から、COVID-19に関する国際紛争において中国がとる戦略が読める。中国は、医療崩壊を引き起こさなければ、中国発のCOVID-19の致死率は小数点以下(%)であり、普通のインフルエンザレベルの病気であると主張するだろう。

 

①インフルエンザが何処で発生しても、その責任追及は国際慣例として行われて来なかった。従ってCOVID-19が最初中国の河北省で発生したとしても、その責任を欧米が提示する様には負いかねると主張するだろう。逆に、それが可能な様に数字を抑えているという見方も存在する。また、②武漢の5%を超える高い致死率は医療崩壊の結果であり、他国に非難されるべき対象ではない。更に、③その後欧米でウイルスに変異が起こって大きな被害が出たとしても、それら変異株がそれらの国の諸条件下で生じたものなら、中国の責任だと攻撃するのは論理的でない。

 

これらは、元のウイルスが天然に発生したウイルスであったなら、ほぼ正当な主張であると思う。更に北京政府は、流行初期に隠蔽したこと、そしてそのために武漢の李文亮医師らを弾圧したことは、全て湖北省地方政府担当者の犯罪行為であったとするだろう。ただそれも、「流言飛語により医療崩壊を起こす危険性を察知してのことであり、弁護の余地もある」として、トカゲの尻尾切が可能である。

 

中国政府は、通常のインフルエンザレベルの風邪の流行の原点になった責任は、都市封鎖により制圧したことで完全に果たしたと主張するだろう。4月下旬以降、旧満州地方でのCOVID-19の流行は、上述のように外国から持ち込まれた変異株によるものであり、この流行第二波においては中国は被害者であるとの主張し、その声は時間を経るに従って大きくなるだろう。

 

以上のような戦略で、中国はその責任を最小限に抑える戦略をとると思う。それに同調する国として、セルビアやエチオピアなどの親中国家が準備されている。

 

元の数値はジョン・ホプキンス大の発表しているデータから取った。https://coronavirus.jhu.edu/map.html

 

2)COVID-19流行第二波による被害とウイルスの変異株について

 

最初の流行(第一波)を、2−3ヶ月かけ都市をロックダウンして抑え込んだ場合、大きな集団免疫は出来ない。そこで、経済活動を再開すれば、一定期間後に第二波がくる可能性が大である。それは、特効薬やワクチンができない限り必然だろう。変異株が生じた場合、その被害は更に深刻になるだろう。

 

既にこの第二波が中国で起こり始めているようだ。(上のテーブルの黒龍江省や内モンゴルのデータを見てもらいたい。)欧米からの逆輸入による第二波に関しては、中国は被害国であるというのが、中国の考える歴史の筋書きだろう。勿論、それは事実かもしれない。ただし、COVID-19パンデミックに人為的要素が無い場合に限られる。

 

欧米では第一波が既に大流行となり、模範的な対策を取っているドイツやスイスでも検出感染者数を分母にすれば、致死率は5%を超える。フランス、イタリア、スペインなどでは、10%を大きく超えるだろう。それは韓国の2.5%、中国の武漢以外の0.8%より遥かに大きい。

 

この欧米での深刻な被害の理由は、変異株によるのだろう。最近のProNAS(米国科学アカデミーの論文誌)に掲載された論文では、幾つもの変異株とその変異ルートが記載されている。そこではメインな変異株として、A, B, Cを上げている。Bは東アジアでメインであり、Cは欧米及びブラジルで猛威を振るっているもののようだ。そして、Cは中国本土諸省では見られなかった変異株であると書かれている。(補足2)https://www.pnas.org/content/117/17/9241

 

つまり、中国が考えた通り、欧米での大流行は、変異したウイルスによるのであり、中国本土で発生したオリジナルなウイルスではない。最近、国立感染症研究所の報告によれば、4月に入って日本で急激に流行拡大しているのは、欧米から流入したものだと言う。多分、上記タイプCが日本でも猛威を振るっているのだろう。https://www.youtube.com/watch?v=pDLXTTKRRB4

 

この変異の速さと、ウイルスの凶暴化は、どのように説明されるのだろうか。更に、変異を続ければ、仮に一旦集団免疫ができたとしても、それは変異株には万全でない可能性がある。人類にとって、最大の危機なのかもしれない。 

 

中国は、国家の威信を掛けて、COVID-19を抑え込んだ。それは、上記のように欧米からの賠償要求を斥けるため、或いは、最小限に抑えるためには、相当役立つだろう。ただ、医療崩壊がなかった武漢以外の省での都市のロックダウンは集団免疫が出来ないので、第二波の流行を考えれば良い策ではなかっただろう。

 

それも中国は十分知っていた筈である。それでも尚、武漢以外の大都市、例えば重慶などを都市封鎖したのは何故か?

 

最初から、何処かに不自然なものがある。中国の主張する流行のモデルと異なり、最初の発病者が武漢の海鮮市場とは無関係のところで生じていること、P4研究所のGoogle地図上での消滅(https://www.youtube.com/watch?v=Cm0lZ8uDYRE; 12:00ころから川添恵子さんが言及)、更に、最初にこの病気に対する警告をネットにアップした李文亮医師らへの武漢政府の弾圧など(死後北京の中央政府は表彰したのだが)、賠償問題とは別に中国には説明する道義的責任がある。

 

3)治療法の無いパンデミック疾患は、集団免疫ができるまで続く?

 

集団免疫の話では、国際政治評論家の田中宇さんが、昨日配信のメルマガで議論している。(http://tanakanews.com) 田中氏の引用文献によれば、このSARS-CoV2ウイルスに対して免疫を持つ人は、河北省武漢でさえも人口の3%に過ぎないとのことである。もし3%が感染者だったとすると、河北省人口7470万から計算すると、本当の感染者を分母にした致死率は0.2%となる。武漢を含む河北省での流行でも、インフルエンザの倍程度の致死率だったのだろうか?

http://www.wsj.com/articles/wuhan-starts-testing-to-determine-level-of-immunity-from-coronavirus-11587039175

 

スウェーデンは、最初からCOVID-19の脅威を正しく理解し、弱者を隔離する方法(感染者の隔離ではなく、感染の可能性が大きい無感染者の隔離)を採用した。国家と国民の間に信頼感のある国でのみ可能な方法だろう。そして、世界で唯一、集団免疫を正面から目指す戦略を取っている。田中氏の記事によれば、近くほぼ集団免疫60%を達成するそうである。

 

米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペインなどの殆どの欧米の国々は、強い規制を敷いた。その結果、これら西欧諸国は恐らく5月中に、流行第一波をほぼ抑え込むだろう。これらの国々は第一波の対策で経済的に疲弊しており、第二波や第三波の流行では、ロックダウン戦略を取れず、第一波以上の被害を出す可能性がある。

 

集団免疫を得るまでの最終的な被害者数は、たいして変わらないかもしれないが、経済的損失とそれによる自殺者などの被害を考えると、スウェーデン方式を採用した場合が最小の被害となる可能性が大きいと思う。(補足3)

 

日本は、スウェーデンに近いレベルの緩やかな規制で対処してきた。しかし、その被害は隠れているのではないかと米国から指摘され、現在その規制を強化している(米国により強制されている)と田中宇氏は解説している。(補足4)

 

COVID-19を“武漢風邪”レベルという、与党有力議員(松田学氏;https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12589838716.html)の発言から察すると、日本政府は、集団免疫を達成する方針だったのかもしれない。しかし、それをスウェーデンの様に、国策として正面に掲げると、英国同様、世論に潰される。それをどう実現するかを専門家会議で考えた結果が、クラスターを追いかける戦略(https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/03/blog-post_16.html)だったのだろう。

 

そして、それを正当化すために、最初専門会議の副座長が言った言葉は、「感染者の80%は他人に感染させない」という不思議な台詞である。ドタバタした結果、人的被害を相当拡大することになったのだろう。(補足5)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00011.html


イギリスのジョンソン首相も、最初は集団免疫を作る方向で、多少の犠牲はやむを得ないとは言っていた。しかし国民の非難などがあったのだろう、数日でギブアップした。

 

第二波や第三波は秋以降にくるだろう。繰り返すが、高齢者と基礎疾患を持つ「弱者」のみを隔離し、その他は各自の判断で、感染者がいる空間での活動を許した方が、最終的な被害を考えれば最良の戦略だったのだろう。大きくなった個人の声と、複雑化し狭くなった国際社会の政治という不利な環境で、全体としてみれば民主主義体制を採る国家とその民は、近代文明誕生後の最大に危機にあるのかもしれない。

(午後4時に全体を編集しました。)

 

補足:

 

1) 致死率は死亡者が分子にくるのは自明だが、分母に検出された感染者を置くのか、推測される全感染者を分母に置くのかで数値が大きくことなる。通常最後に残る数値は後者だろう。その場合の分母には、一応疫病が終わったのち一定数の抗体検査から全体の感染者数を計算し、それを置く。例えば、ニューヨーク州での死者数は23,500人ほどであるが、最近行われた抗体検査での感染率13.9%で全感染者を推定すると270万人になる。そうすると、致死率は0.9%以下に落ちる。これでもインフルエンザの9倍程の致死率である。疾病流行の途中なので、本ブログでは一貫して前者の定義を用いてきた。ここでも単に致死率という場合は、分母として検出された感染者を用いた値を指す。

 

2)3月3日に発表されたOxford AcademicのNational Science Reviewに発表された中国の研究者による論文では、主に二つのタイプS(古いタイプ)とL(変異した症状のキツイタイプ)があると言う。類似のものをまとめているので、変異株の数自体は50を超える。Lは武漢で猛威を振るったが、都市封鎖により鎮圧されたようである。このSとLのタイプがあるという結果は日本でも報道された。この論文は、全文PDFで公開されている。

https://academic.oup.com/nsr/advance-article/doi/10.1093/nsr/nwaa036/5775463

 

3) ドイツやスイスでも致死率は患者数の5%程度である。そして、その背後に無症状な感染者が大勢入れば、感染者ベースの致死率は大きく減少するだろう。それでも、集団免疫を目指す方法を取れないのは、20世紀後半から先進諸国の人権意識の高まりと、同時に起こる“命の値段”の高騰だろう。最終的な被害は、スウェーデン方式が最小となると考える人は、知識人の間では多いだろう。

 

4)田中宇氏は、米国にたいする見方が非常に厳しい国際政治評論家である。李氏朝鮮時代の隣国のように、日本では事大主義者(大きな国に従属することが賢明で自然だと考える人)が政治評論家でも主流であるので、タイプが異なる伊藤貫氏同様、日本のマスコミに登場することは殆どない。

 

5)「これまでに国内で感染が確認された方のうち重症・軽症に関わらず約80%の方は、他の人に感染させていません。一方で、一定条件を満たす場所において、一人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されています。」と書かれている。

 

副題:中国は今回の危機を、北朝鮮を利用して逃れる計画なのか? 金正恩重体説は、その準備のために流されたのかもしれない。

 

1)幾つかの国際的情報:

 

①新型コロナ肺炎は、国際保健衛生問題から国際政治問題に徐々に変化してきている。そのなかで起こったのが、今回の金正恩重体説である。金正恩が手術をうけたとか、重体であるとか、そして死亡したという説さえある。北京は数十人の医師や政府要人を北朝鮮に送ったという報道もある。

 

【北京共同】北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の健康悪化説を巡り、ロイター通信は25日、状況をよく知る3人の消息筋の話として、中国が医療専門家を含む代表団を北朝鮮に派遣したと報じた。正恩氏の健康状態は不明としている。

 

3人の消息筋のうち2人によると、代表団は中国共産党中央対外連絡部の高官が率い、23日に北京を出発したという。北京では22日の時点で既に、宋濤中央対外連絡部長が軍病院の医師らを連れて訪朝したとのうわさが出回っていた。情報は錯綜しており真偽は不明。ロイターはまた韓国の消息筋が24日、正恩氏は生きており、近く姿を現す可能性が高いと語ったとも伝えた。(徳島新聞)https://www.topics.or.jp/articles/-/355653

 

②また、重大なのは中国軍30万人が中朝国境付近に集結しているという話である。今日の水間TV(朝霞さんの情報を流している)では、ミサイルや戦車などを丹東に運び込んでいるという。https://www.youtube.com/watch?v=R4THpcpm6Yw

 

また、従来から情報配信人は明確ではないが、秘密情報的なものを流している人のサイトでは、米軍のB5(B51 or B52?)爆撃機や偵察機が朝鮮半島の周りをグルグル動いているという話である。(補足1)https://www.youtube.com/watch?v=5RfwHikvngA

 

③更に、トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領が25日に発表した共同声明を出したと、日本経済新聞が報じている。

 

第2次大戦中に米軍と旧ソ連軍が不戦の誓いを交わした「エルベの誓い」から75周年を祝す共同声明を発表した。誓いについて「我々が大きな目的のために双方の違いを乗り越えて信頼や協力関係を構築できることを示す事例だ」と指摘した。記念日を利用し米ロの関係改善の糸口をつかみたい両首脳の思惑がにじむ。

 

声明は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を念頭に「我々が21世紀で最も重大な課題に直面するなかでファシズム打倒のために戦った人々に敬意を表す」と強調した。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58515520W0A420C2FF8000/(補足2)

 

 

2)それらの相互関連を想像する

 

①と②の関係は、明らかに北朝鮮で何らかの政変を予想して、米国と中国が動いているということである。しかし、その動きが単に金正恩の病気と関連しているという考え方で解釈可能なら、③をここで取り上げない。

 

北朝鮮問題に詳しい筈の韓国が、金正恩重体説を取っていないことが重要である。つまり、北朝鮮情勢についての動きが、中国主導で起こっているという見方をする人がいる。

 

今回のコロナ問題で、世界中から嫌われ者となり、更に、方方で裁判が起こされ、中国が危機的情況に近づいている。そこで、中国は国際社会を混乱に誘導し、その動きを雲散霧消させる戦略をとる可能性があるという考えである。

 

その候補としては、「台湾併合」と「北朝鮮の内乱及び人民軍の投入」がある。後者は、朝鮮戦争の再開、或いは、新バージョンの朝鮮戦争とも考えられる。ただ、金正恩は南に攻め込むことなど考えていないので、中国の一方的介入なのかもしれない。

 

或いは、金正恩が本当に重体であり死亡した場合、中国にとっては渡りに船ということになるかも知れない。軍経験もなく、女性である金与正が、すんなり後継にはなれないだろう。北欧から帰った叔父が後継になる場合は、粛清を恐れる金正日派は、立ち上がる可能性があるというのである。そこで、内乱を防止するか、内乱が起これば鎮圧する役割を中国が果たして、国際社会にコロナ肺炎の借りを返すのである。

 

ただ、その目論見を米国やロシアがそのまま受け入れる筈はない。北朝鮮まで手に入れるというのは、消防士の振りをした火事場泥棒だからである。おまけに、欧米からの請求書を燃やしてしまおうというのだから。

 

兎に角、近々何らかの動きがあるだろう。その時、まともに現象が観測する準備として本稿を準備した次第。本稿はあくまで素人による私的メモです。

 

補足:

 

1)出所不明の情報は、ガセネタである可能性が高いが、信頼度の高い情報源と最終的に接続される説を継続して流しているのなら、重要な情報源である可能性がある。その一つかも知れないと思って、屡々聞いている。

 

2)最近、新聞を中日から毎日に替えた。毎日はこの情報を報じていない。ずっと前から、日本経済新聞が最も政治問題を正しく報道していると思う。

昨日の記事は不十分な内容でしたので、改訂版をここに記載します。昨日の記事は削除させていただきます。

 

1)新型コロナ肺炎:日本のピークは3月だったのか?

 

おととい、「新型コロナ肺炎: NY州での抗体検査結果と集団免疫戦略の合理性」という題で書いた記事の中の最後に、日本、ドイツ、韓国の感染者数の経時変化のグラフを示した。そこで、「日本の感染者数の時間発展プロファイルは、韓国とほぼ同じだったのではないのか?」という推測を行った。下の左図の茶色の曲線である。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12592231578.html

日毎の新規感染者数は累積患者数を示す曲線の傾きになるので、この茶色の想像した曲線は、その最大の傾きが3月上旬(韓国同様)になるように書いた。参考のため、累積感染者数と毎日の新規感染者数の関係を右図として示した。図の無視された感染者は、通常の風邪、インフルエンザ、肺炎として扱われただろう。死亡者の統計も、そのように分類処理されただろう。

 

今朝、上記と類似の内容の記事が既に出ていたことを知った。それはデイリー新潮23日の記事である。それを紹介するヤフーニュースによると、医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は、以下のような考えを披瀝している。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200423-00622629-shincho-soci

 

「国立感染症研究所の『インフルエンザ関連死亡迅速把握システムによる2019/20シーズン21大都市インフルエンザ・肺炎死亡報告』によれば、この冬はインフルエンザが流行しなかったのに、東京では2~3月、ほぼ毎週100人以上が亡くなっています。断定はできませんが、そこに新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった人も含まれているとしたら、2~3月にはピークが来ていたことになる。たしかに韓国や台湾のピークが2~3月だったのに、日本だけズレているのは不自然です」

 

今日紹介するのは、この考え方を支持すると思われる、東洋経済ONLINE発表のデータである。それによると、新規の感染者や重症者の数が、PCR検査人数と強い相関がある。感染者を全て検出するという本来の目的からは、検査数が圧倒的に感染者数よりも大きくするのが普通である。検査数は、週末には殆どゼロであるにも拘らず、本日の新規患者数は100人を切りましたなどと何食わぬ顔でテレビで発表している。その異常さに言及するには、言葉は見つからない。

 

因みに、完全な相関とは、感染者数が検査数に比例する場合である。つまり、感染者数は、検査数に完全に依存し、検査数に単に比例定数Cをかけた数になる。この情況は、感染者が検査で発見される人数よりも遥かに多く、検査の及ぶ範囲に均一に分布している場合である。

 

強い相関とは、そのCは一定ではないが、検査数の増加により緩やかに減少するような場合である。この情況は、検査で発見される人数よりも可なり多い感染者が、検査の及ぶ範囲に均一に分布している場合であり、今回のケースに相当する。(補足1)

 

上の図は、東洋経済ONLINEから取って並べたものである。①新規感染者数(左上)、新規患者数(右上)と左下のPCR検査人数に共通する最近の3つの山を見れば分かるように、強い相関を示している。更に、②新規重症者数(右下;y軸の最大値は見にくいが25人である)とPCR検査人数との相関も同様である。

 

②の相関は、新規に担ぎ込まれた人が非常に短い時間で重症化していることを示している。つまり、発見済みのクラスターとの関連でPCR検査を受ける人以外は、殆ど重症化して初めてPCR検査の受診資格とみなされているのだろう。その最悪の場合が、最近になって行われる様になった死後のPCR検査である。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200421/k10012398841000.html

 

検査数を現在よりもずっと多くし、医師の病状による判断で完全に決めれば、検査数や新規感染者数に、上図のような大きな増減は無いはずである。また、新規重症者数と検査数との相関は殆どなくなる筈である。そもそも、日毎の検査実施数をデータ化して、記録を残す人は居なくなる筈である。

 

現在、症状が相当あっても、検査を受けられない人が多い情況であるから、少なくとも東京はクラスター潰しをする段階ではないと思う。(補足2)

 

検査数を制限するのは、病院のベッドに収容できる範囲で感染者を選ぶために、有症者でも検査を制限しているからである。つまり、ベッド数の増加や医療従事者の確保の努力を政治主導で行わず、命の選択を保健所にやらせているのだろう。

 

2)PCR検査の地域依存性:

 

PCR検査のあり方がCOVID-19に罹患した人の為に行われているとは言えないと思われる別のデータを示す。それは都道府県別の検査件数と検出された感染者数、およびそれらの間の比率である。元のデータは東洋経済ONLINEである。以下に、感染者の多い9つの東道府県について示す。

 

注目されるのは、感染者数がすくなくなっても、検査数自体があまり減少せず、検出率が大きく減少していることである。このデータは、検査数が伝染病対策としてでなく、他の理由で決められていることを示している。つまり、発表する感染者数を小さくしたいという政治の意図が働いているのだろう。素直に解釈すれば、病院における医療崩壊の防止である。

 

最大の検出率の東京都の場合、今日27日の感染者は39人であり、そのうち38%にあたる15人の感染経路が分かっていないと発表されている。つまり、検査をすれば40%が陽性になり、大抵その半分程は感染経路が明らかでない。それにもかかわらず、相変わらず感染経路に関する調査が、この疫病での保健所の主な業務として行われているのである。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200427/k10012407421000.html

 

兎に角、何故大きな人口を抱え、感染者も多数ある東京都などと、その数分の1の人口の県で、検査数があまり変わららないが、感染率が大きくことなるという上記データを、まともな政策の結果だとは解釈できない。唯一、特に東京における低いPCR検査数は、政治がこの疫病に対する医療体制の整備行わなかったことを誤魔化すために、帳簿上の患者発生数を低く抑えるためという理由が頭に残る。

 

それは政府が、オリンピックを中止したくない為なのか、習近平に対する忖度なのか、その両方なのか分からない。この疫病が発生し、日本で広がり始めたときから、このような事態は予想されていた。本ブログでも2月の10日に「新型肺炎のパンデミックは短期終息しない可能性が高い(追補あり)」の表題で、以下のように書いている。

 

日本では感染率、更にこの病気での致死率が低いということで、それほど神経質にならないでも良いのではないかという論調の意見も聞かれる。未知な病気に対決しているという緊迫感のない対応では、禍根を残す事になりかねないと思う。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12574178074.html

 

補足:

 

1)遥かに多い感染者が、検査の及ぶ範囲内(人数や面積)に不均一に分布している場合、検査数と感染者数の相関は小さいだろう。

 

2)検査実施を医師の判断に任せる場合でも、検査希望数よりも検査能力が十分大きい場合、検査数と感染者数は相関する。あとのセクションの表の数値は、このような情況では無いことを示している。クラスター潰しでの感染者検出率が、医師の判断で行った有症状者の感染率より低くなったところで、重点を後者に置くべきだと考える。