以下は、現在進行している米国を中心とする民主国群と中国との対立に関する、私的な考察である。中国が先進諸国の経済ネットワークの中に組み込まれており、この“戦争”には政治的にも経済的にも非常に重大な局面を迎える可能性がある。そこで、現在の経済体制が出来た経緯と今後の行方について、ネット検索を少し行ったレベルの新たに知識を加えて考えてみた。政治と経済には素人の考察です。

 

1)グローバル化と中国

 

米国を代表とする民主国家群は、中国の異質な政治体制を軽視し、市場経済を取り入れたというだけでWTOに加入させ、殆ど全ての領域でサプライチェーンの中に組み込む地球規模の経済圏を作った。所謂グローバル化である。その結果、世界のその他先進国の製造業などを錆びつかせることになった。

 

中国企業は、農村戸籍(補足1)の人たちなどを奴隷的低賃金で使うので、何でも安価に出来る。その立地の有利さを求めて世界から企業進出が進んだ。中国共産党政権は、海外企業の進出を、中国との合弁企業設立を条件に許可した。企業収益は、中国共産党及びその幹部と海外グローバル資本に分配された。その一方、中国は企業のノーハウや知的情報などを取り込み、自国企業を高能率で立ち上げた。(補足2)

 

海外企業のコピーから出発し、高いエネルギーの国民性もあり、更には、国家からの保護を得て、それらは急成長した。経済規模を大きくした中国共産党政権は、国家本来の“遺伝子”の発現として、一帯一路構想を世界覇権戦略とし、手始めに線上の途上国を借金漬け外交で支配した。

 

中国共産党政権は、南シナ海の岩礁を埋め立てて中国の領土とし、空港を建設して軍事基地化した。国際法や法治主義の原則など、近代の欧米文化の基礎を無視して、東アジアでの覇権確立を目指した。更に、この国家戦略に協力させるため、全ての個人は先進的監視システムの対象とし、個人毎の信用スコアを先進デジタルシステムで管理している。

 

海外在住者でも、国防動員法を根拠に、滞在国の法を無視するかたちで国家への協力が要請される。(補足3) 中共は、このようにして巨大な”覇権モンスター”に成長しつつある。

 

この羽化の段階になって、民主国家群のリーダーである米国が事の重大さに気がついた。民主党の中には、既に中国と密接な関係がある人も多く、また、中国の強い反発の想定したためなのか、政権の末期のオバマ大統領には効果的な戦略は立てられなかった。

 

トランプ大統領になり、米国は直線的に中国制裁(トランプのディール)を始めた。その強烈な政策に、中国共産党政権は本質(共産党独裁政権の遺伝子)を顕にして対決せざるを得なくなった。その結果、そして香港問題もあって、米国議会にもトランプ以上に反中国の雰囲気が出来上がったようである。

 

中国の世界覇権に不可欠なファクターは、中国製造2025や世界の5G通信網の中国(ファーウェイ)による建設であり、それは米国を含めて全ての先進諸国の経済と情報を支配するためである。今中国を止めなければ、世界は中国に支配されることになるとトランプは言った。

 

米ソ冷戦のときに樹立した米中関係は、密接な経済関係に発展した。しかし、ソ連崩壊(1991年12月)後には、経済に関しては徐々にデカップルの方向に調整されるべきだった。それは天安門事件(1989年6月4日)の制裁の延長上でなされるべきだっただろう。中国の国際社会復帰への重要な役割を日本がしたのだが、それは、厳しく歴史の再評価の対象にされるべきである。(補足4)

 

2)中国共産党政権の崩壊

 

中国共産党政権(中共)は崩壊するだろう。そう予言するのが、中国人ユーチューバーのMOTOYAMA氏である。8月10日の「ファーウェイ最後のスマホについて、生態系について」というタイトルの動画で、ファーウェイは小さな中共であると言っている。https://www.youtube.com/watch?v=3Xq_1EKLJQA&t=200s

 

つまり、ファーウェイの今後が中共の終焉の縮図だというのだ。5G通信をファーウェイに独占的に依存すれば、機密情報が漏洩すると考えた米国により、対中国制裁の中心のひとつとなった。

 

その結果、ファーウェイは、スマホの中心的ICチップの供給を絶たれ、今後ハイスペックの製品は作れなくなる。そして、小さい国内のスマホ生産なら可能だが、先進5G技術を駆使するタイプのスマホは作れないだろうという。(補足5)

 

現在、ファーウェイがスマホや5G通信のトップランナーなのは、世界規模のサプライチェーンが確保されてこそのことである。その世界の経済システムを政治的或いは資本的支配下におく米国に逆らっては何も出来ないという製造業の本質を、中国の最高幹部は理解していなかったのかもしれない。

 

更に米国の制裁によりファーウェイは、すでにGoogleの主要サービスへのアクセス権を失った。また、マイクロソフトも中国へのサービスを中止することになるようだ。それらを含んだClean Network(クリーンネットワーク)Initiativeは、中国のスマホメーカーが米国のアプリをプレインストールまたはダウンロードできないようにする米国の政策である。https://www.youtube.com/watch?v=RpQBPyR4TBE

 

MOTOYAMA氏は、大幅に縮小して生き残るか、消滅するかの何方かだろうとファーウェイの将来を予想する。そして、それが中国の将来の姿だということになる。大躍進運動でもそうだったが、ミクロな知識なしに、マクロな戦略を立てても成功しない。それが独裁政権の大きな弱点なのだろう。

 

米トランプ大統領の元首席戦略官のスティーブ・バノン氏は7月20日、米FOXニュースとのインタビューで、トランプ大統領は中国共産党に対して「一貫性のある計画」を持っており、それによって中国共産党を解体していくとの見解を述べた。

 

これは現在政権の外にいるバノン氏が観測し、分析したことだろう。ロバート・オブライエン国家安全保障担当大統領補佐官、クリストファー・レイ連邦捜査局(FBI)長官、マイク・ポンペオ国務長官、そしてウィリアム・バー司法長官という「四騎士」を配置しているという。https://www.epochtimes.jp/p/2020/07/59953.html 動画は:https://www.youtube.com/watch?v=qogurlwHWGc

 

4人の方のスピーチは、上記記事に引用されている。上記記事では南シナ海が戦争の最前線と予想されている。更に香港問題と、そこでの中国共産党政権の姿勢は、その本質を何度も民主国の民に刷り込んだ。それでも中国は香港の人権活動家の周庭氏を逮捕した。

 

香港の国家安全法が成立した以降周庭氏は、民主団体は解散し何も運動をやっていない。明らかな事後法による逮捕だろう。MOTOYAMA氏は、中国の司法の特徴の一つが「推定有罪」だとしている。民主的な先進国全ては、「推定無罪」「事後法では裁かない」が司法の原則である。どうして、司法の考え方も180度違う国の経済を、WTOに加盟させて大きく育てたのか? 

 

補足:

 

1)中国では、農村戸籍の8億人以上(約6割)は、都市戸籍(約4割)に変更できない。出稼ぎ労働者は、農村戸籍に大きな供給源をもち、賃金は安く抑えられる。

 

2)現状の世界の“グローバル経済”システムは、労働者への利益分配が抑えられた発展途上の国を必須のプレイヤーとする。更に、搾取される側を身分制度として温存し利用する“共産党支配”の中国を主な参加者とするので、本来有るべき姿のグローバル化経済とは言えないと思う。

 

3)北京オリンピックでの長野での聖火リレーの中国人学生らによる暴動は、国防動員法のテストだったという説がある。日本の警察は、中国の反応を恐れて、彼らを逮捕しなかった。http://mickymagicabc.hateblo.jp/entry/2018/01/25/095226 

9日のテレビそこまで言って委員会で、前防衛大臣は、現在日本の最大の脅威は、①にバイオテロ、②にサイバーテロだと言った。数十万人もいる在日外国人による組織されたテロも非常に恐ろしいが、現役政治家には言えないのかもしれない。https://www.data-max.co.jp/2014/06/27/post_16458_hmg_02.html

 

4)この中国を主プレイヤーとするグローバル経済の歴史的出発点は米ソ冷戦にある。米国は、1971年のキッシンジャー訪中、翌年のニクソンの訪中により、敵対勢力を小さくするために中国と国交を回復し、自由主義圏の国際社会に招き入れた。1989年の天安門事件、1991年のソ連崩壊のときに、中国の体制変革が起こるべきだったという意見が多い。ニクソンの政策は、本来の目的を達したからである。この件、日本は中国の孤立を防いぐべく努力した。中曽根康弘から、天皇訪中を実行した宮澤喜一らの自由民主党政府である。歴史の流れを全く理解しない、低レベルの官僚政治家が、今日の世界の終末に繋がりかねない米中対立の原因の一つになったのだろう。

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2019/09/blog-post_78.html

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12615863570.html

 

5)最新のICチップは、米国のインテル、韓国のサムソン、台湾(メディアテック)などでのみ製造でき、中国本土では作れない。MOTOYAMA氏は、それが製造出来るようになるには数年かかるので、それらとの取引から締め出されたなら、今後ファーウェイでは5Gのハイスペックスマホは作れなくなるという。

(8月13日、5:10一部編集)

1)再びハイドロキシクロロキンが脚光を浴びるのか?有害説はワクチン利権で流された?

 

香港から米国に亡命したウイルス学者の閻麗夢博士は、中共の高官は新型コロナ肺炎(COVID-19; 以下新型コロナ)の予防のため、ヒドロキシクロロキンを服用していることを明らかにした。https://www.youtube.com/watch?v=umK0_TFS7l4

 

更に、ヒドロキシクロロキンは2005年のSARSに非常に効果があったことなどから、これを何故新型コロナの治療に使わないのか不思議だと言っている。ヒドロキシクロロキンの効果は、偽の臨床データにより隠されているようだ。上記引用動画は8月8日に大紀元によりアップされた。

 

閻麗夢博士は、一流の学者であることの他、新型コロナ肺炎に関しては世界的なので、上記は一考に値すると思う。最後のブログで書いたヒドロキシクロロキンが有害だとするThe LANCETの論文が利用したデータに、信ぴょう性がないとしているのである。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/05/blog-post_24.html

 

韓国では、Korea Biomedical Review に掲載されているように、新型コロナ治療のガイドラインの中に取り入れられている。韓国の低い致死率は、ヒドロキシクロロキンの効果再を示している。http://www.koreabiomed.com/news/articleView.html?idxno=7428

 

ワクチンが仮に出来たとしても、抗体依存性感染増強(ADE)により、反って酷い状態になる可能性もある。もう一度、中国などで数十年ウイルス病治療使われてきたというヒドロキシクロロキンを、対策の一つとして考えるべきではないだろうか。ヒドロキシクロロキンを有害だと攻撃する論文には、その服用を勧めたトランプ大統領に対する反感が背後に隠されている可能性がある。

 

この件、真実は閻麗夢博士の発言の通りである。有害説は、ワクチン利権とも関係があると、水間条項TVは放送している。https://www.youtube.com/watch?v=4njsNHgb4xw&t=4s 

 

2)日本で新型コロナの集団免疫が成立しているという珍説

 

日本は、新型コロナウイルスの第二波に慄いている。入院加療を要する人数も過去最高になり、死亡者も今後再び大きく増加する日が来るだろう。そんな中、日本は既に新型コロナ肺炎(COVID-19、以下新型コロナ)の集団免疫を得ているという珍説を持ち出している人がいる。

 

元自民党議員の松田学氏である。この方は、4月に13日のチャネル桜の動画で、同級生の東大医学部卒の臨床医の考えだとして、新型コロナを非常に軽視する発言を行っている:https://www.youtube.com/watch?v=TDnyYYtTd4Q

 

①「新型コロナによる被害とされているケースには、土着のコロナウイルスによる風邪が重症化したケースがものすごく多いと思う」を紹介している。② PCR検査は新型コロナの病原ウイルス(SARS-C0V-2)に厳密な選択性を示さないと考えられ、土着コロナウイルスによって陽性になる場合も考えられる。最近、芸能人やスポーツ選手にたくさん陽性者が見つかるのは、土着ウイルス(通常の風邪のウイルス)が検出されているだけです。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/04/blog-post_15.html

 

今回は、土着の風邪という話への言及は避けて(或いは、忘れて)、日本人は既に新型コロナに集団免疫を達成しているという主張をしている京大の上久保靖彦氏を招いて、新型コロナは放っておくべきだという考えを、youtube動画で配信している。https://www.youtube.com/watch?v=Mr05_0_OkD4&t=1160s

 

上久保教授は、昨年10月ごろに、新型コロナのS型が日本に来て、既にその集団免疫を獲得した。その後、K型が中国から大量に持ち込まれ、その集団免疫も既に獲得した。その結果、武漢で発生し、欧州で猛威をふるった強毒性のG型が、日本では流行らなかったというのである。それも患者の免疫検査などの実地調査は一切やらず、新型コロナの疫学データと自分のモデルの数式(再生産係数などをもちいた線形計算式)で導いた結論である。

 

集団免疫をつける方針は、スウェーデンが高齢者や基礎疾患の人は隔離した上で行った。しかし、3月に始まった流行から5ヶ月間たっても、未だ大量の感染者を出している。つまり、集団免疫達成は、それほど簡単ではない。K型が1−2ヶ月で日本に集団免疫を植え付けたとか言うのは全くのインチキに聞こえる。

 

松田学氏の新型コロナ肺炎の軽視は、経済優先すべきという姿勢とは思えない。何故なら、国益を新型コロナと経済活動という二つの変数の関数として考えている形跡は全くないからである。それよりも、日本の新型コロナ被害に対する中国の責任を無視すべきという政治的プロパガンダのような気がする。断定はできないが。(9時15分、編集あり)

 

1)のタイトルに一文追加; 1)の最後に水間条項TVの解説を引用。(8月10日追加)

 

1)核廃絶を直接的に訴えるのは宗教行為である

 

昨日の「核廃絶の思いを継ぐときだ」という題で書かれた毎日新聞の社説は、核廃絶から遠い現状をうれえる内容である。そこでは、殆ど意味のない批判と称賛を書いている。批判とは、トランプ大統領の核兵器に対する現実的姿勢に向けられ、称賛は被爆者の悲惨な体験を国連で語るなど、核廃絶を主張する活動に向けられた。

 

トランプ発言は、核兵器の国際政治に関する現実的機能を認識した上での発言であり、その評価はスピーチ全体を国際政治の視点で語るべきである。被爆者の体験談を紹介するのは、核兵器の悲惨さを小学校などで教育する上では良い。しかし、現実の政治を考える立場の人に、核兵器の悲惨さを語る必要はそれほど大きくはないだろう。(補足1) 

 

核廃絶は現実問題としては不可能である。「世界平和のために核廃絶を目指す」という方針は、従って間違いだろう。この75年間、米ソの間でも戦争は起きなかったのは、核兵器の脅威を米ソの指導者達が知っていたからである。少なくとも米ソの軍事衝突が無かったのは、彼らが核兵器の存在を前提に国益を考えたからである。

 

核兵器を高く評価しているのではない。核兵器を手にしたのは人類の運命であると言っているのだ。叶わぬ核廃絶を直接的に叫ぶのは、自分の誕生とその運命を呪う無意味な行為に似ている。核兵器の存在を条件に、国際平和を考えるのが現実的姿勢であり、未来における人類の生存をより確かにするだろう。世界の指導者達はすべて、核兵器の存在を条件に国際政治を考えている。

 

その国際政治の現実の中で核廃絶を訴えるのは、或いは一般人に訴える運動を喚起するのは、核兵器の存在を条件に国際政治を考えている人たちの戦略の一つである。つまり、以前にも書いたが、核兵器の存在を前提に考えるのなら、核保有国はその利益をなるべく独占したい。そのためには、自国は密かに核兵器の高性能化を目指し、他の工業的能力に優れた国々には核兵器を保持させないことを国際戦略としている。(補足2)

 

そのためには、被爆国日本の体験を国際社会で事あるごとに語ってもらい、能力の高い国々、ドイツ、日本、韓国、台湾、等の国に対して、核兵器保持の企みを潰すべきである。実際、米国、ロシア、中国は核兵器の高性能化を目指している。毎年、広島と長崎の原爆の日には、人類すべては原爆投下の被害を思い出すだろう。しかし、それは国際政治において利用されることはあっても、核廃絶には全く役立つことはない。

 

昨日、ロシアのラブロフ外相は、広島原爆の日に合わせて平和記念式典の参列者向けに声明を出し、米軍の原爆投下を「武力の誇示であり、民間人に対する核兵器の軍事実験だった」と批判した。この声明も、被爆者の体験を語っている日本に向けて、何らかの国際政治上の目的をもった発言である。それは、日米の連携を妨害する意図もあるだろうし、米国の対中政策に日本を協力させないための雰囲気作りの可能性もある。

 

2)核兵器による国際政治の変化と理想論の中に巣食う悪意

 

「世界平和実現」という問題の立て方も完全な宗教的行為か、或いは、世界の混乱をむしろ利用する人々の企みの一つだろう。平和というのは紛争のない状態であり、個々の紛争を解決することにより達成される。従って、「平和を目指す」という標語は、偽善者のものである。本来は具体的な「XXの紛争を解決する」で無くてはならない。

 

そのためには、具体的な問題を抱える当事者を特定し、その問題の発生のプロセスを明らかにし、双方の見方の相違部分を明確にすることが最初の紛争解決のプロセスである。その次に、相違部分の解消を試みる。そこに超えられない壁がある場合は、あるところで戦争によって解決するのが、近代の国際政治文化であった。(補足3)

 

しかし、核兵器の出現は、紛争当事国二つともに核兵器を保持する国なら、戦争を出来なくした。そこで、問題解決の時間軸を大きく伸ばし、紛争の範囲を拡大することで、紛争の希薄化を図ることになる。つまり、戦争にチャンスを与えられないのである。(補足3に引用のルトワックの書物参照)

 

その一つは、第三国や国際機構を巻き込む形で地理的に拡大すること、経済や金融、など、より全体的総合的な形に拡散させることで、対立による局所的な圧力の解消を図ることや時間稼ぎをすることになる。この時間軸の拡大、地理的分野的拡大により、紛争当事国の内部変化を含めた歴史の大きな流れのなかで、解消されることに期待するようになった。

 

その一つの例が、米ソ冷戦とその解消である。長時間の対立ののち、ソ連の崩壊という形で冷戦は終了した。しかし、このような解決が何時も可能だとは限らない。今回の新冷戦も、最終的には当事国どちらかの内部崩壊という形を取る可能性が高い。それは現在のところ、米国なのか中国なのか分からない。この問題は、別の機会にしたい。

 

もし、紛争当事国の一方が核兵器保持国であり、もう一方が非保持国の場合、戦争にはならないが、核保持国の一方的な要求に非保持国は従う以外に道はないだろう。つまり、核兵器はそのように国際政治の中で重要な位置を占め、現実に機能している。

 

それは、17世紀に成立した主権国家体制の部分的崩壊を意味している。核兵器の誕生と高性能化により、非核保有国は主権国家としての存立の危機に立たされていること、その危機にどのように対峙すべきか、という難題を投げつけられたことを肝に銘じるべきである。「核廃絶」なんて、叫んでいる悠長な情況にはないのだ。

 

選択肢は現状二つしかない。一つは北朝鮮の取った戦略であり、自前で核保持を目指す道である。もう一つは、主要核保有国の傘下に入り、半ば衛星国的な同盟国として存在する方向であり、それは部分的な主権の放棄を意味する。

 

現在、我が国は米国の傘下に入っている。米国は、主要核保持国の中で、もっとも近代的な国家形態をもつ、世界最大最強の国である。北朝鮮の困難な情況を見れば、更に、中国やロシアといった独裁国との比較を行えば、米国の傘下に入ることが賢明な選択であることは明らかである。

 

この状況で、中国と米国の新冷戦において、日本がとるべき外交方針は、米国を支持し米国の方針に役立つように振る舞うことは言うまでもないが、そのために米中両国の内部情況を出来るだけ深く知る方法を手にいれる必要がある。それは、この新冷戦も何方か一方の崩壊という形で終了する可能性があるからである。

 

崩壊する方は、必ずしも中国とは限らない。中国には共産党独裁という強みがあり、米国には最強の軍事力と世界の金融を支配するという強みがある。しかし、米国には、多民族国家であることと、民主主義政治をとるという二つの弱みがある。今回は核軍縮という視点からの議論なので、これで終わる。

 

補足:

 

1)核兵器の悲惨さは、あの戦争全体の中で評価すべきである。例えば、20歳前後の学生が、片道の燃料だけを充填した飛行機にのって、敵戦艦に体当たりするために空母から飛び立つ姿の悲惨さ、その特攻隊の若者の笑顔の集合写真などを含めて、総合的に評価する際の一つとすべきである。https://www.chichi.co.jp/web/20191211_simahama/

更に、もっと遡って、あの戦争の原因は何だったのか? あの時代のアジアは、そして世界は? その全ての歴史の中で考えるべきである。敢えて例え話を書く。名作映画の一場面を紹介することに意味あるのは、殆ど全ての人がその映画全体をよく知っている時である。我々日本人は、日本政府の隠蔽により、あの戦争の全容は殆ど知らない。江戸時代末期からの近代史を一応学ばなければ、あの戦争は全くわからない。核廃絶を叫ぶ前にするべきことは、その日本の近代史の学習である。

 

2)オバマ米国大統領は2016年5月27日、広島を訪問し核兵器廃絶を訴えた。その一方、同年1月オバマ大統領は30年間で一兆ドル(年間平均で3兆円以上)を投資して、核兵器の更新を計画した。https://business.nikkei.com/atcl/report/16/040400028/060800007/?P=4

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2016/08/blog-post_6.html

 

3)この事に言及したのが、エドワード・ルトワックの「戦争にもチャンスを与えよ」という本である。尚、「戦争は外交の一形態である」は、クラウゼヴィッツの戦争論の中の一環した見方である。