1)林千勝氏の対米戦争に対する理解:

 

昨日、非常に興味ある講演をyoutubeで聞いた。近代史研究家の林千勝氏による「近衛文麿にみる大日本帝国敗北の教訓」である。近衛文麿は、風見章などの共産主義者(或いは社会主義者)を利用して、大日本帝国を敗戦に導き、昭和天皇の退位から近衛家支配の日本を考えていたというのである。

 

この内容は既に、林氏による「近衛文麿の野望と挫折」に書かれているだろう。その書評にも興味ある意見が書かれているので、参照すべきだろう。

 

林氏の講演では、近衛文麿は日本で共産革命を起こそうとした訳ではないが、革命を目指す風見章ら共産主義者を、上記近衛の野望の為に利用したというのである。その状況証拠として、敗戦後に天皇退位を画策したり、占領軍に取り入ろうとしたなどの不可解な行動があるという。林氏は、近衛は自殺したのではないと言っている。

 

 

つまり、東京裁判で近衛の考え方を聴取して裁くことになれば、それは米国の東京裁判のシナリオに狂いを生じるというのである。Fルーズベルトの側近であったアルジャー・ヒスだけでなく、Fルーズベルト自身にも、共産主義の影があったからである。

 

ゾルゲ事件の尾崎秀実(コミンテルンのスパイ)は、近衛の側近であったことまでは周知である。日米ともに、その中枢が共産主義により深く染まっていたのである。(補足1)林氏のモデルなら、尾崎秀実の正体は、近衛文麿も承知の上だった可能性が高い。

 

近衛文麿の自殺で、東京裁判は米国のシナリオどおりに行われることになった。それを可能にした近衛文麿の自殺は、上に書いたように、実は自殺ではないと林氏が言う。勿論、本来は気の弱い近衛文麿だろうから、自分のシナリオが潰れたことを知れば、充分自殺の動機となった可能性もある。

 

戦争をしないとの公約で大統領になったフランクリン・ルーズベルトにとって、真珠湾攻撃はまるで自分たちが仕組んだような効果を発揮し、(補足2)対日戦争を可能にした。その結果、日本の敗戦は確実だと、政府や軍の重鎮だけでなく当の山本五十六も理解していた。山本五十六は、「半年や一年は暴れてみせる」と言ったのだが、戦争に勝てるとは言っていないのである。

 

昭和12年から14年にかけての日本陸軍などの解析では、米国との戦争は無理だと結論付けていた。更に、打開策を検討した陸軍は、秋丸機関(陸軍省戦争経済研究班)をつくり、英米に勝てる戦略を練った。その結果、主戦場をインド洋にし、英国を叩くことを主な戦略として戦う案を作ったという。

 

米国は当時厭戦の国であり、Fルーズベルトは世論を説得することに手間取り、なかなか動けないだろう。そこで英国を叩いてしまえば、尚動きにくくなるだろう。もし、米軍が太平洋に出て来た場合は、マリアナ諸島あたりで待ち受ける戦略を取るというのである。勿論、日本優勢の間は講和のチャンスがあるかもしれない。

 

また、満州から中国の本土(漢民族による元々の支配域)へ侵攻することには、軍の首脳には反対意見が多かった。東南アジアへ進むことが主目的であったにも拘らず、支那事変の泥沼にはまったのは、何故なのか。象徴的なのは蒋介石が逃げ込んだ内陸部の都市である重慶の爆撃だった。

 

これは国際条約に違反する民間人虐殺であり、米軍が終戦近くになって行った日本の大都市爆撃に対する躊躇を取り除いただろう。その動機は、蒋介石を叩くことで中国の共産主義運動の応援になるからでは無かったのか。(補足3)何故、負ける戦争に日本は突っ走ったのか? その謎に答えるには、以上の疑問を含めて、戦後歴史の総括が必要である。

 

その一つのモデルとして、この林千勝氏のモデルは非常に有用であると思う。ただ、その総括をしないのは、現在の日本政府は戦前の日本の延長上にあることである。何度も書いてきたが明治以降の近代史の総括が、日本復興の近道である。

 

2)ここで一言:

 

 日本文化の欠点は、このような全く新しい見方が出てきた場合、それを100%否定する勢力と熱狂的に賛同する勢力に分かれ、その間には感情的対立しか生まれないことである。採るべきは科学的な姿勢であり、それは、自分に反対の言論を歓迎する姿勢である。両者の議論が、自分やその議論の相手を、目標に対する正しい理解に導くからである。

 

日本のyoutube動画、具体例を出して恐縮だが、例えばチャネル桜の議論や松田政策研究所チャンネルの議論(補足4)などを視聴すると、それらは議論というより仲間内の談笑に近いことを強く感じる。

 

林千勝氏のこのモデルは、正しいかもしれないし、正しくないかも知れない。しかし、今後の議論の出発点になり、日本の歴史研究を、あの対米戦争に対する合理的な理解まで進めて欲しい。更に、日本国民の多くが、その成果を踏まえて当時の世界と大日本帝国を理解することにより、日本の将来の方向を探しあてて欲しいと思う。

 

日本文化について、あのカルロス・ゴーン氏が言っていた言葉が印象にのこっている。「フランスでは、トップが何かを決めた時、議論が起こるが、日本ではトップが何かを決めたら、議論は終わる」恐らく、議論が終ったあとに間違った方向に進むのだろう。オープンな議論こそ、国家を正しい方向に進める。

 

(18時、少修正あり)

 

補足:

 

1)当時の国際共産主義運動を、現在の共産主義に対する評価を念頭に評価するのは間違いである。当時は、将に、国際共産主義運動の黄金期だったので、その雰囲気とソ連革命や毛沢東の台頭などを念頭にして、当時の日本や米国での共産主義運動を考察する必要がある。

 

2)米国ほど秘密の多い国はない。それは権力の二重構造が原因だろう。9.11の爆撃を告げられたジョージ・ブッシュJRの、何も無かったかのように落ち着いた行動などもその一つである。

 

3)毛沢東は、日中国交回復の際に、日本に礼を言ったことはよく知られている。軍人の一部は、終戦後も共産軍に参加して、蒋介石と戦ったこともその理由だが、毛沢東が言ったのは、それよりも支那事変全体に関してのものだろう。

 

4)ここでの新型コロナ肺炎を日本の風邪と同等と見る多くの番組には辟易とした。反論を書いたが、現在ではその動画は削除されている。

 

今朝6年以上前の記事が閲覧されていた。読み返して、皇室のあり方が議論されている今、再録が適当かと判断した。一部編集してリブログする。 尚、小沢一郎氏の言葉に対する竹田恒泰氏の反論は、youtubeによるアカウント削除のため、閲覧できなかった。

 

1)小沢一郎氏が韓国の大学で、「日本国天皇の出身は朝鮮半島である」という内容の話をしたという。確かにネットで検索すると小沢氏の講演が出てくる。https://www.youtube.com/watch?v=xyz7pZ7_HP8 それを見た人が竹田恒泰氏に質問をした。それに答えた竹田氏の反論が以下のサイトにある。https://www.youtube.com/watch?v=XVcnFykUCCc
 
小沢氏は話の中で、桓武天皇の生母が百済の王女であったということを言っている。https://ja.wikipedia.org/wiki/桓武天皇 これは今上天皇(現在の上皇様)ご自身の発言にあったというから、それを含めて国民は知っておくべき事実だろう。
 
上記サイトで見られる動画は小沢さんの講演のほんの一部であり、どういう趣旨での発言かわからない。江上波夫氏の日本人騎馬民族説を紹介して、天皇家と大陸の関係を匂わせているが、竹田氏の反論にあるように、天皇家が騎馬民族であったということは言っていない。
 
竹田さんは、天皇家が朝鮮半島出身であるという説と、日本人の騎馬民族起源説を同一視して反論しているが、桓武天皇の生母の話は無視している。この方の天皇家の起源についての話は、従って注目に値しない。
 
2)江上波夫氏の日本人騎馬民族起源説は独創的であったが、竹田さんの発言の通り、現在では否定されている。一方、岡田英弘氏の「日本史の誕生」(筑摩書房、2008)によると、百済には大勢の倭人が暮らしていたという。また、同書には、“隋書によると日本列島の西部に秦王国という名の国があり、そこでは中国語が通じた”という記述がある。
 
大和朝廷は百済と同盟関係にあり、白村江の戦いで唐と(唐に支配にされた)新羅の軍と戦ったことでも解るように、当時は現在のような国境はなく、中国、韓半島、日本列島の間の人的交流は、今日想像する以上にあったのだろう(1)。
 
“倭国と日本国の間”に何があったか一般には明確にされていない。それに関して前掲書では、唐の脅威に備えて天智天皇が諸王国を統一し日本国を作ったと記している。解りやすいモデルだと思う。つまり、倭国と日本国の間には、現在の日本人の祖先の重要な部分を倭人としても、それ以外の諸民族も日本国建国に参加したということが隠されているのだろう。
 
1500年以上前には、朝廷や我々の祖先が韓半島に居たとしても何の不思議もない。そしてまた、当時の韓半島の住人と現在の韓国人を同一視するような議論は、意味がないだろう。
 
補足:
1)交通手段としての船の性能規模は現在よりはるかに劣るだろう。しかし、海を渡るのは、魏や隋に倭人が朝貢に行ったのだから、それほど困難ではなかっただろう。更に、個人の生存は現在より遥かに困難だったのだから、生き残るために海を渡る人が大勢いても不思議はない。

表題の文章(I)を書いて半年以上経った。ここで、もう一度この問題を考えてみる。新事実も出ているので、もっと説得力のある議論が出来るかもしれないと思ったからである。その第一報は次の記事である。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12629638596.html

 

1)共産中国の独占資本主義

 

中国の資本主義経済体制の本質は、中国共産党が中国株式会社を経営して利益を上げることである。そして、その利益を最大化する時の条件(束縛条件)は、共産党政権の力及びその支配域が減少しないことである。「労働者である国民個人の人権、欧米文化としての法の支配、民主主義の知恵」などへの配慮は不要であることは、香港やウイグルなどの件で明らかである。

 

この方式は、鄧小平以来の高度成長期には成功してきた。ただ、経済力がつくに従って、現場上層の共産党員による私的利益追求がひどくなった。一般に、中国人は公(おおやけ)を信用しない。一族の繁栄は、地方や中央政府(つまり中国共産党)の中に出世する人物を輩出し、そこから冨の流れを得ることに掛かってくる。この中国のコネと賄賂の文化は、小説ワイルド・スワンズのあちこちに書かれていることである。(補足1)

 

中国を世界の工場とし、国民を奴隷のように、そして一部は本当に奴隷にして働かせ、冨を築く方法は、高度成長期を経て行き詰まってきている。その原因は、上記腐敗もその中に入るが、第一に周辺国と比較した場合の人件費の高騰である。(補足2)この高度経済成長の後期に現れる“泥沼”を乗り切るには、中国人民大学翟東昇教授の講演にあったように、世界に冠たる産業を何か急いて築き上げることである。

 

その際、欧米文化の「法の支配」などには拘っている余裕はない。知的所有権は無視して、技術の差は盗み(補足3)で埋め合わせて、5G技術など先端産業で世界シェアを取ることである。更にそれを盤石にするのは、それらのバックグラウンド技術を、中国製造20251000人計画で作り上げるのである。民間企業的なファーウェイなども盗聴でも何でもして、親会社の中国共産党のために働くのである。

 


https://www.youtube.com/watch?v=C-M00hLqxg0

 

高度成長期が終わり、先進国の中で確たる地位を得るには、本当は、その国のこれまでの歴史と文化が重要になる。国民が知恵や真理を愛すること、公のルールに敬意を持つことなど、“ソフトなインフラ”が、ハードなインフラである道路や鉄道網、エネルギー設備、それに上下水道などの整備に加えて必要である。

 

中国は、時間のかかるソフトなインフラの整備を無視して、国家権力による強制と洗脳でそれに代えようとしたのである。そのような西欧文化が数百年かけて築いた文明を、数十年でスキップしようとしたことが、欧米と衝突する原因となったのである。その中国の姿勢は、トランプ政権の米国が明確にしたことであり、トランプ政権の大きな成果の一つである。(伊藤貫氏による:https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12654696184.html

 

一定期間内に高度成長から先進国として離陸しなければ、再び後進国に逆戻りする危険性が高くなり、習近平政権は内部から潰れる。また、習近平は広範な政治的バックグラウンドが無いので、問題をチャイナ7の合議制で解決する鄧小平以来の伝統に拘れば、江沢民が後継と考えた李克強などとの知的ゲームに巻き込まれることになり、失脚する可能性が高くなる。

 

つまり、習近平の独裁政権への移行は、高度成長期の終わりであったこと、強固な政治的背景を持たない人物がトップになったことが原因だろう。(補足4)そのため、独裁化には腐敗追放で政敵を次々と葬り去るという方法をとったのである。だれもが腐敗している中で、腐敗を口実に政敵を追放すれば、共産党全体に亀裂を生じるのは当然である。その亀裂をも、強引に権力で縫い付けるのである。(補足5)

 

このやり方は必然的に、鄧小平体制から毛沢東体制へ、そして、中世の王朝中国に向かって歴史を逆行することになる。欧米の歴史が築き上げた国際秩序や人権重視の政治文化を無視して、国家の権力と領域を拡大されては、周辺国はたまったものではない。例えれば、フビライ・ハンの中国が、大きな経済力と軍事力を持って地球上を闊歩すれば、世界にとっては大きな脅威である。

 

世界は現在、自由主義陣営と共産党中国との深刻な対立、新冷戦になっている。経済的に中国と太く結びついてしまった今、距離をとることは経済的に大きな損失を伴う。その一方、中国に世界制覇を許しては、ウイグルやチベットのように、或いは、それ以下に扱われるだろう。何方に転んでも、無事には済まないのである。

 

2)米国のリーダーシップと先進国諸国のとるべき姿勢

 

法の支配と個人の人権を重視する先進国は、人類のこれまでの歴史を護るという自覚と、それを貫徹する覚悟をもつべきである。米国はそのリーダーとしての責任を果たすべきである。そのためには、米国は自国内の混乱の原因を探し出し、それを先ず克服すべきである。

 

バイデン政権にそれが出来るのか、かなり疑問である。何故なら、米国の民主国家体制も中国の体制のように、国家資本主義化していることが考えられる。その中心勢力に担がれたのがバイデンだからである。

 

昨年から今年の大統領選挙をめぐる民主党系勢力とトランプ側勢力との戦いでは、本来重視されるべき事実と論理が軽視され、途上国の選挙のように観えた。もし、トランプが伝家の宝刀である戒厳令を発布し、もし部分的な軍政が布かれた場合、将に内戦になっていた可能性すら存在する。

 

一例を上げる。先の選挙で大きな役割をしたのがBLM運動である。BLM運動は、黒人差別撤廃という人権問題としての運動では無かった。BLM運動の本体は、ベネズエラやキューバで共産主義の教育を受けた4人の女性が設立したblack lives matter global networkである。BLM global network の共同運営者であるパトリッセ・カラーズ(37)が今年3月、約15000万円の豪邸を購入していたのである。https://news.yahoo.co.jp/articles/5d34ba558fd044c4c53758c875366493b5ffc740

 

場所は「居住者の大多数が白人であるロサンゼルスの高級地区」である。そして、彼女が2016年から配偶者とともに複数の不動産を購入しており、総額320万ドル(約34000万円)にもなることも報道された。つまり、BLM運動は人権問題の仮面をかぶり、多くの黒人を中心とした人権派を巻き込みながら、中心部分はある勢力の傭兵だったのだ。その「お金の出どころ」はいったいどこなのか?

 

その他、大手マスコミが歪めた情報を流し、プラットフォームであるはずのyoutube、ツイッター、フェースブックなどが、トランプ派の情報発信を妨害したのは、自由と人権、法治の国の選挙とは思えない。その米国の姿は、共産党政権の本質と良く似ている。違いは、中国の共産党に相当する部分が米国では表面に出ていなかったことである。昨年の選挙に絡んで垣間見たその正体が、上記BLM運動や、ユダヤ資本の方々が語るポリティカル・コレクトネス、それに追随して金儲けに走るGAFAMなどである。

 

米国の分裂とは、アメリカ社会全体が真実よりも自分の利益を優先する(中国同様)何でもありの資本家たち(米国のエスタブリッシュメント)と、フロンティア精神と自由と人権を重視する古き米国との分裂である。前者の勢力は、建国時の精神や文化を破壊するためと安い労働力を得るために、大量の移民を入れて米国を変質させることを目指した。それがホンジュラスから大量の移民キャラバンを支援したユダヤ資本らが考える米国を変質させる手法だろう。それに追随しているのが、GAFAMである。彼ら新しい巨大資本には、古き良き米国に共鳴する部分がある筈である。

 

上記先進民主国のリーダーとして米国が本来の役割を果たすには、先ずこれらの混乱を修復をしなくてはならない。その意味では、現在バイデンが唱えている米国の統一は正しい方向である。しかし、バイデンは米国を分裂させた側の代表であり、当の本人にはリーダーになる資格はないだろう。そして、トランプは中国の本性と米国の原点を明確にした功績は大きいが、分裂する米国のもう一方の当事者であり、歴史的役割は終えた。

 

つまり、天才トランプの役割は終わり、これからはポンペオなど共和党の若き(と言っても壮年だが)中心部分に座る方々の時代である。彼らが先進諸国のリーダーとなり、中華秩序の暗黒の未来から、世界を救うべきである。トランプさんは、自分の役割が終わったことを理解し、彼らの背後で力添えをすべきである。MAGAの標語はもう賞味期限ぎれであることをトランプは知っている筈である。

 

3)中国の今後の方針と民主主義国家の対応

 

先日紹介した中国人民大学翟東昇教授は、「中国が世界の工場として稼いだ資金は、米国などの国債の購入となった。先進国は債務を際限なく膨張させることで対応できた」と発言した。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12666893508.html

 

国家の債務超過は、物価上昇を誘発するが、それは債務の一部帳消しに等しい。そして、中国がデジタル人民元を発行して、世界の決済通貨にするという計画は、中国共産党政権が潰れない限り可能だろう。世界経済の中で、確固たる技術を背景にして先端工業製品や医薬品などを供給する能力があれば、政府の債務超過はあまり問題ではない。為替レートと物価が適当にその帳消しの方向に動いてくれるからである。

 

習近平政権の中国製造20251000人計画の背後に、このシンクタンクの学者のような人が戦略を練っているのだろう。彼らは、ベースに何も置かずに戦略を練るので、日本にはない大胆な発想と実行力を発揮する。

 

中国は、今回の新冷戦で一端世界の権力から遠ざかるかもしれない。しかし、アフリカや南米などの発展途上国を纏めることで、デジタル人民元の決済圏を形成するだろう。そして、再び米国圏に挑戦することになるだろう。中国国債が優良資産(補足6)なら、無限に発行可能である。その便利さは、自然と利用者を増加させ、それにより信用も自然にできるだろう。つまり、中国共産党政権が盤石であれば、デジタル人民元は貨幣の3要素を保持できるだろう。これが現在の債務超大国の米国に学んだことである。

 

その中国にとってあまり良くないシナリオで歴史が進む前に、「中国の経済停滞は世界にとって脅威である」という論理(補足7)で、中国の手先となって働く人達が多く現れ、今回の新冷戦も有耶無耶になる可能性も残されている。つまり、中国からのデカップルには不況と戦う覚悟が必要であるのだが、株式会社の経営者にはそのような長期の視野を持つ者が非常にすくないのである。

 

これまでの人類の歴史を破壊しないためには、それ(デカップル)は乗り越えなければならない山上の関である。その結果生じる不況は、市井の一般人には全く理不尽に感じるものだろうから、先進国のトップはそれを充分理解し、民主政治の中で国民を説得しなければならない。中国首脳が独裁の有利さを強調するのは、堕落した愚民の指導は、民主主義体制では極めて困難だからである。

 

ニュージランドはこの1月に中国と自由貿易協定を結んだ。外相は、5アイズは情報の共有であり、政治の共有ではないと言ったという。オーストラリアが説得に乗り出すというが、首相が事の重大さを理解していない可能性がある。https://www.youtube.com/watch?v=30WM0GT8Fk4

 

また、ドイツとフランスは16日、バイデンの主催する会議に先立って、中国と気候変動会議に開催した。現在のドイツは、社会主義国家の延長であり、中国に理解を示すEUの中心になっている。フランスのマクロンも経済のことで視野が短くなっている可能性が高い。https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000213189.html

 

終わりに:

 

民主国の足並みを揃えるのは、繰り返すが、バイデンレベルがリーダーの米国大統領なら、容易ではないだろう。次回の米国の選挙では、もし米国がFRBなどを牛耳っている一派なら、ポンペオなどを落とすために、共和党からはトランプを応援する可能性がある。賞味期限切れの利用であり、内戦覚悟の最後の手段である。

(11:10 最後の節は、大胆な終末論なので、「終わりに」と別項目にした。;13:30編集あり)

 

補足:

 

1)政治的プロセスにおいて多少の金の動きは、中国の文化であることは、数年前までは、元富士通総研の柯隆氏がテレビなどで言及していたことでもある。

 

2)国民を奴隷のように働かせるというのは、国民の福祉が最優先ではないという意味である。国民の生活向上は共産党支配の中国の力の基礎となるので、その意味で国家の目的である。更に、賃金の上昇は内需の拡大となり、バランスのとれた経済発展にも必須である。

 

3)半導体チップでの集積度は、素子のパッキングの細かさで決まる。4nmのチップが可能で世界シェアの殆どを抑えるのが、台湾のTSMCと韓国のサムソンである。中国が台湾を吸収したい大きな理由の一つは、TSMCを手に入れることだという人も多い。

 

4)胡錦濤は後継に李克強を考えていたが、それを防ぐために江沢民が習近平を担ぎあげたという。胡錦濤までは鄧小平の威光を背景にした政権だったが、習近平は始めて鄧小平時代が完全に終わったあとの政権となったという。https://www.musashino-u.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00017977.pdf&n=06_%E5%8A%A0%E8%97%A4%E9%9D%92%E5%BB%B6%E5%85%88%E7%94%9F.pdf

 

5)汚職追放は、重慶の薄熙来の手法である。薄熙来が習近平とトップの座を争う競争に名乗りをあげたものの、勝てそうにないので、腐敗追放を看板に掲げて国民の人気を取った。これがかなり成功したので、そのモデルに倣ったのだろう。因みに薄熙来も巨万の冨を裏で稼いでいたことは明白であり、その後自分自身の失脚の原因とされた。

 

6)youtube動画MOTOYAMA氏は、日本の年金基金の半分は高利の中国国債で運用されていると言っている。これは未だ裏をとっていないが、MOTOYAMA氏の言うことだから、確かだろう。

 

7)「中国の国家資本主義が脅威でない理由 ~世界経済に深刻なダメージを与えるリスクはむしろ中国の長期停滞」キャノングローバル戦略研究所研究主幹、瀬口清之氏の文章は、中国文化とその危険性を全く無視する中国のスパイのものような感じがする。https://cigs.canon/article/20190926_6004.html