ウクライナ戦争の行方をどう捉えるか。それは単なる外交問題ではなく、日本の国家戦略を決める試金石である。米国ネオコン勢力とグローバル資本が進める“戦略的消耗戦”の中で、日本が自らの立場を見失えば、どんな経済政策も無意味になる。本稿では、高市政権に求められる外交的自立の条件を論じる。

1) はじめに

新たに誕生した高市政権は、「安全保障と経済再建の両立」を掲げて船出した。しかし、真の危機は日本国内にはない。世界の構造変化の中で、日本がどの陣営に、どの距離感で立つのか――この判断を誤れば、どんな経済政策も空回りする。

 

現在、世界政治の焦点はウクライナ戦争である。この戦争をどう理解するかが、日本の外交・安全保障の出発点になる。

 

2) ウクライナ戦争の本質──ネオコンの戦略とNATOの拡大

ウクライナ戦争を「ロシアの侵略」とだけ見るのは浅い。この紛争の起源は、1991年のソ連崩壊にまで遡る。その後、米国のネオコン勢力と国際的金融・軍事エリートは、冷戦後の米国覇権下の単極世界を維持するために、かつてロシアの勢力圏だった地域へとNATOを拡大し続けた。

 

東欧諸国、バルト三国、ジョージア、そしてウクライナ。この拡大は、ロシアを「民主化」させるという美名のもとに進められたが、実際には欧米の覇権を支える軍事・金融ネットワークのロシア勢力圏への拡大政策だった。

 

プーチン政権が2000年代にロシアの資源と国家主権を取り戻すと、米国ネオコン勢力は明確に「ロシア体制の転覆」を長期目標に掲げるようになった。つまりウクライナ戦争とは、欧米の金融・軍産複合体がロシアを周縁国の一つとするための代理戦争なのだ。

 

この視点を持たなければ、現在の英・仏・独が自国経済を犠牲にしてまでゼレンスキー政権を支援する理由は理解できない。

 

3) 日本外交の盲点──日米関係は同盟ではなく、主従関係である

高市総理は「日米関係を外交の基軸とする」と述べた。それ自体は現実的な方針だが、問題は「基軸」と「依存」の区別を見失っている点にある。

 

米国は今や「民主主義の守護者」ではない。その外交を動かしているのは、ネオコン系シンクタンク・巨大軍需産業・グローバル資本ネットワークであり、トランプ派とバイデン政権では政策目標が真逆である。

 

バイデン政権:ロシア包囲・NATO再活性化・ドル体制の延命
トランプ派:孤立主義と国内回帰(グローバル化の否定)

 

したがって、日本が「日米関係を基軸にする」と言うならば、分裂する米国の政治構造と路線対立の現実を前提に、日本がどの局面で誰と組むのかを明確にする必要がある。それを曖昧にしたまま「自由で開かれたインド太平洋」だけを唱えるのは、外交ではなく単なる米国追従にすぎない。

 

4) 岸田政権の2兆円支援をどう評価するのか

日本は岸田政権下で、総額2兆円規模の対ウクライナ支援を行った。だが、その成果は何だったのか。日本が主導的外交プレゼンスを得たわけでもなく、欧州各国と同様、米国の戦略に従属する形で財政負担を負っただけである。

 

高市政権はこの2兆円支援の効果検証と外交的成果の評価を行うべきである。これは単に過去の政策批判ではない。日本がどこまで米欧の代理戦略に巻き込まれるのか、ウクライナ以後の秩序再編に、日本がどの位置で発言するのかを決めるための出発点である。

 

5) 今後の日本外交への要望

1. ウクライナ戦争を“代理戦争”として分析する視点を持て
単に欧米が主張する「道義的スローガン」に相乗りするのではなく、地政学と国益の観点から戦争構造を理解すべきである。

 

2. 分裂する米国の政治を前提にした“多軸外交”を確立せよ
 米国の政権交代や国内分断に備え、欧州・インド・ASEANとの複合的外交回路を強化。「日米基軸」は維持しつつも、「米国以外と戦略的に連携できる外交力」を育てる。その視点の先には、対東アジア各国との外交、特に対ロシア、対中国の緊張緩和の為の外交も無くてはならない。

 

3. 支援外交の透明化と成果の検証を行え
 対ウクライナ支援の財政効果、外交的リターン、国内経済への波及を定量的に検証。国会で説明責任を果たすことが、民主主義国家としての基本である。

 

4. 戦争経済ではなく、人間安全保障を基軸にせよ
 緊張する国際関係を勘案して安全保障や経済復興は語るべきであり、ロシアから「石油を買うな」と言われる状況においても、現実的対応を取らなければならない。「世界戦争が起これば元も子もない」というのは直感ではなく現実であり、それを政策に組み込むべきである。

 おわりに

ウクライナ戦争をめぐる世界の動きは、単なる「正義と侵略」の物語ではない。それは、米国ネオコン勢力とグローバル資本が、自らの支配構造を維持するための戦略的消耗戦となっている。

 

日本は、もはやその代理戦争に無条件で資金と国益を差し出す余裕はない。高市総理が本当に「国家の自立」を掲げるなら、まずはこの戦争の歴史的構造を理解し、「米国ネオコンたちの道義」ではなく「日本の現実」を基準に外交を再設計する勇気が求められる。

 

(本稿の執筆にあたっては、OpenAIのChatGPTの協力を得ました。)