米国で人気のyoutuber であるナポリターノ判事が、今や日本でも有名なシカゴ大のネオリアリズム派(補足1)の政治学者であるミアシャイマー教授にインタビューした非常に重要な動画がyoutubeにアップされている。それを視聴して、今後世界はたいへんなことになると思った。
トランプは日本では今年の初めまで反グローバリズムの騎手のように思われ期待されてきた。それゆえ、何故ネオコンたちを閣内に入れたのかは疑問だった。しかし、この動画を視聴してそんな疑問は雲散霧消した。彼はグローバリストや反グローバリストなどと云う言葉自体も十分には分かっていない可能性大だからである。
トランプは、ウクライナ戦争を何時もバイデンの戦争であり、自分(トランプ)の戦争ではないという。自分が米国大統領になった瞬間から、米国が関与する戦争は自分の戦争であることすら分かっていないのだ。(補足2)動画の日本語への吹き替え版を下に引用する。オリジナルは、https://www.youtube.com/watch?v=SibRpRo5-lAにある。
https://www.youtube.com/watch?v=RHEfXp20Xho
トランプ政権を知るには最高の動画なので、是非繰り返し視聴してもらいたい。話題はウクライナ戦争やイスラエル・イラン戦争から相互関税等に亘り広範であり、すべてを短時間にまとめることは不可能なので、ここでは最重要なトランプという人物についての評価を紹介し本記事を終わる。
ミアシャイマー教授によれば、トランプは自分を天才だと思っている。そしてルールつまり法令すら、自分には不要だと思っている。彼は何か重要事項を決定するときでも、その分野の優れた専門家に話を聞いてから決定するべきだとは考えない。天才の自分には、自分の直感がベストなのだ。そして、そのように、例えば相互関税の税率などが決定されたという。
更に、この動画の最後にミアシャイマー教授は次のように語った。
ここに無法な大統領がいます。これは国全体にとって恐ろしいことです。外交政策の問題そのもの、テロリストそのもののことなどはさておき、ホワイトハウスに嘘をついてもいい、法律など気にしない、事実を捏造してもいいなどと考えている人物がいるということは、本当にひどいことです。そして、私たちはその代償を払っているのです。
最後に一言:
最近米国はブラジルに50%の関税を課すと発表した。その理由はなんと彼と仲良しだった前大統領を起訴したからだという。また、ナポリターノ判事は今回の関税の根拠は国際緊急経済権限法(IEEPA)と大統領の緊急事態宣言に基づいているが、貿易赤字はこの30年間づっと続いていることなのだと指摘している。
何もかも滅茶苦茶である。そう考えれば、原口一博氏や石田和靖氏がボロクソに言う石破政権のトランプ関税に関する交渉も簡単にゼロ評価すべきではないのかもしれない。
補足:
1)国際政治におけるネオリアリズム学派とは、国家と国家の関係は本来野生の関係であるとして国際政治を分析する学派である。この考え方では、国際法でもなんでも、条約は強国による弱小国の支配の道具ということになるだろう。
2)ナポリターノ判事はこの動画収録時に、現在ウクライナ戦争は誰の戦争かと問うアンケートをとった(21 分あたり)。80%以上は、ウクライナ戦争は現在トランプの戦争であると答えた。視聴者は米国でもやはり高い見識をもっている。