1016日、中国では中国共産党第20回全国代表大会が開催され、次の総書記を含めた党の中央委員会委員が決定される。注目されるのが、改訂された新憲法(補足1)の下、習近平が三度目の党のトップになるかどうかである。

 

その件に関して、何時も視聴しているモトヤマ氏のyoutube動画では、習近平は共産党のトップ(常務委員の第一位、総書記)になれないのではという意見を述べている。最長老の宋平氏(105 106歳)が、中国には改革開放路線しかないと発言する動画を発表したというのである。これは、毛沢東的な社会主義路線に戻りつつある習近平路線の否定である。

 

 

宋平氏は周恩来の元秘書であり、周恩来の死後も高い役職(甘粛省の書記、国家規律検査委員会長官等)についた長老であり、鄧小平に甘粛省書記時代の部下胡錦涛を、2007年には他の長老とともに、江沢民に習近平を、其々次の次の総書記に推薦した。(補足2)

 

このような最長老の意見故、習近平も宋平のこの考えを簡単には無視できないというのである。上海協力機構の首脳会議がウズベキスタンで14日から開催されたが、16日の晩さん会を習近平は欠席して、北京に戻った。https://jp.reuters.com/article/uzbekistan-sco-xi-dinner-idJPKBN2QH0AX

 

コロナ対策だというが、理由は他にあるだろう。

 

モトヤマ氏は、社会主義では国の経済が停滞すると考えて居るようだ。また、仮に開放改革の路線に戻ったとしても、今の政府主導のままでは今後の経済発展は容易ではないと言う。引用はここまで、以下は自論。

 

2)中国(&日本)経済の今後

 

中国共産党の支配の下で資本主義を採用しても、共産党の上層部が権力を金に変換して蓄財する現在の構造が続く限り、これ以上の発展はないだろう。また、宋平にしても李克強にしても、共産党独裁の国家体制を潰す気持ちは無いだろう。

 

モトヤマ氏は中国共産党の指導部は優秀だと言う。確かにそれは事実だろう。李克強や王岐山などは学者としても十分な能力を持っていると言う。日本にはそのような政治家は一人もいない。

 

しかし、それでも共産党体制を終了することは、自分たち共産党の権益を捨てることになるので、やりたく無いし、非常に難しいだろう。中央政治局の常務委員全員の意見が一致するのなら、出来るかもしれないが、そのようなことはあり得ないだろう。

 

もし、誰かが独裁体制を確立して、その後共産党支配を放棄させるのなら可能かもしれない。例えば、習近平が極左思想を披露しつつ、独裁を完成した途端にグラスノスチとかペレストロイカとかい言い出すのである。(補足3)

 

しかし、ガチガチの共産主義に染まった習近平にはあり得ない。兎に角、中国の悩みは続くと思う。

 

国際化した資本主義では、企業は最高の効率と創造性の発揮が生き残る条件である。そのためには最高の人材を幹部に据え、其々の部門の指導層に高い能力を集中させなければならない。それには、上下左右の自由で論理的な情報交換と、そのプロセスでの互いの能力評価がなければならない。

 

それには個の自立と自由、そして、それが可能な言語環境がなければ無理である。日本も中国同様、権威主義の社会であり、言語環境も上等ではなく、個の自立がなかなかできないので、同じデッドロックにある。

 

日本の首脳は中国ほど優秀でない上に、そのようなことに一切気が付いていない。その証拠に、未だに5万円のばら撒きをすると頭の悪い首脳が発言している。https://news.yahoo.co.jp/pickup/6439263

 

(13:50、話の繋がりが良くなるように編集しました。)

 

補足:

 

1)習近平は党総書記の任期を最高2期10年間と定めた憲法を改訂して、その任期制限を撤廃した。この時から、周近平は中国皇帝を目指していると世界からみなされた。 https://www.asahi.com/articles/ASL3C51VHL3CUHBI00D.html

 

2)中国では政権の腐敗を防止するために、現在の総書記が次の次の総書記を決定する方法がとられている。チャイナセブンなどの集団指導体制とこの最高幹部の人事システムを作り出したのは、鄧小平だと言われる。鄧小平は、優れた現実主義者だったのだろう。

 

3)この議論は民主主義が棚ぼた的に実現する道についての話である。棚ぼた方式は、単に混乱に導くだけの可能性が残る。本来、民主主義の実現には市民革命的なプロセスが必要である。つまり、民衆による権力奪取によって実現する。国家の権力は腐敗(権力の集中)を生むので、民主主義は永久革命的に権力の集中を防止しなければならないという人も居る。

棚ぼた方式で民主主義が実現できなかった国としてロシアがある。ロシアはプーチンの独裁であり民主主義ではない。しかし、市場主義を採用しているのは、プーチンが反共産主義だったからである。