はじめに: 

 

この50年の地球大気の温暖化(地球温暖化という事が多い)は事実である。しかし、その主原因が化石燃料消費による大気中二酸化炭素(CO2)の増加であるという学説は未だ定着していない。更に、例えば今後の20年間、大気温度が0.5度上昇したとしても、化石燃料消費を大幅に削減しなければならないかどうかは分からない。

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2014/08/blog-post_26.html


 

今日は以上の問題点に関連して、2,3の興味あるデータを紹介したい。

A: 藻類や菌類を含めた植物による光合成で固定・吸収されるCO2の量は、約4500億トンという話が一つ。そしてこれは335億トン程度の、年化石燃料消費で発生するCO2の量よりはるかに多い。そしてもう一つは、B:宇宙線が減少すれば地球は温暖化するという地球物理学者の説である。


 

ACO2の収支について

 

化石燃料からのCO2の増加が最近の地球温暖化の原因になっていると主張するなら、CO2の収支に関連する天然及び人工のプロセスについて、定量的に考察しなければならない。

 

先ず、CO2の産生だが、全世界で化石燃料の消費により一年で335億トン(2018年)のCO2放出されると文献に示されている。https://www.jccca.org/global-warming/knowleadge04 その他に、火山活動、動物の呼吸などでCO2が発生するが、それは大した量ではないだろう。
 

次に大気圏及び水圏からのCO2の吸収だが、草木や藻類による光合成により固定化(吸収のこと)される二酸化炭素の量は年間2580億トンであると、ウィキペディアに書かれている。https://en.wikipedia.org/wiki/Biological_carbon_fixation 

 

また、欧州分子生物学機構の研究雑誌 (EMBO reports)に掲載された総説「炭素固定:科学者たちは、気候変動を緩和するために大気からCO2を回収する自然の能力を利用する方法を模索している」と題する論文がある。そこには、植物の光合成系が "年間4500億トンのCO2固定を行っている”と書かれている。https://www.embopress.org/doi/full/10.15252/embr.201847580
 

更に、水中カルシウムによる炭酸カルシウムなどでの固定化も相当あるだろう。地球上の石灰岩が植物起源の炭素が岩石となったものであることも考えれば当然である。(ウィキペディア参照)

 

これらを考えれば、自然現象としてCO2を大気中から取り除く能力は、人間が発生させるCO2の量よりはるかに大きい。世界の海や淡水に棲む藻類などが大量にCO2を固定化(つまり吸収)することを考えれば、植物の光合成やその人工的類似反応で、余分のCO2を吸収することは先進国の技術投資でかなりのレベルで出来るのではないだろうか。

 

たとえば、東京湾岸では大量のCO2が植物により吸収されているという東京海洋大学の報告がある。この沿岸の植生を利用したCO2吸収は、現在の地球環境問題の一つの具体的解決策だろう。このようなCO2吸収を全世界で合算すれば、相当大きな値になるだろう。

https://www.kaiyodai.ac.jp/topics/news/201703140900.html

 

CO2削減対策のために発展途上国に年間1000億ドル(COP26の決定事項参照)の援助をするよりも、その金を先進国でのCO2固定化の試みに投資する方がよほど実りが多いだろう。兎に角、植物による毎年4500億トンという巨大なCO2吸収を前にして、335億トンの化石燃料の消費で人類が危機にあると言うのは何か変である。

世界の一般市民に向けてCO2による気候変動を大きく宣伝するのなら、IPCCは上記CO2の収支などを分かりやすく定量的に説明すべきである。


 

B宇宙線が減少すれば地球は温暖化する
 

宇宙からくる放射線(宇宙線)の量が、地球表面の温度を決めるという説があり、それが科学者の間で一定の支持を受けている。それは、宇宙線が大気中を通る時に大気分子をイオン化し、それを核として雲ができ、その雲が太陽光線を反射するというプロセスである。

 

この効果は常に存在し、それが減少することで、地球が温暖化するのである。平均としての雲の量を、宇宙線の量が決めるというのは、スベンマルク効果として知られている。

 


 

上図は2007年までのスベンマルク効果について、ネットから拝借したものである。https://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=340555 

以前からこの考え方が、地球温暖化及び寒冷化の有力な説として、2014年からブログに紹介してきた。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2014/01/blog-post_23.html

 

非常に不思議なのは、上記記事に引用した丸山茂徳東工大教授(補足1)の動画や赤祖父俊一アラスカ大教授(補足2)の動画が削除されていることである。両者とも地球物理関係の学者であり、彼等の意見を真正面から論破しなければ、この問題を人類の危機として、世界の政治活動に反映するべきではない。(補足3)

 

この銀河宇宙線が大気温度に大きな効果を持つという一つの証拠が、2019年に神戸大により示された。 宇宙線が増加した78万年前の地磁気逆転の途中に、雲による“日傘効果”がシベリア高気圧を強化して、冬の季節風が強まったとする証拠を見つけたのである。これは、銀河宇宙線が地球の気候変動に影響する証拠の一つである。ただ、この種の論文はIPCCに無視されているだろう。(補足4)
 

それと関連して、小惑星衝突によって地球が寒冷化し、その結果恐竜が絶滅したとする説がある。地球大気中にチリがばら撒かれ空中に浮遊した結果、それを核にして雲ができ地球表面を覆うことで、地球が凍りつくのである。同様の効果は火山爆発によっても生じる。例えば、フィリピンのピナツボ火山の爆発(1991年)に伴って火山灰が大量に降り注ぎ、地球が0.4度程寒冷化したという

 

 

 

おわりに:

 

20世紀までの人類の歴史では、「力は正義なり」とバランスをとるように「ペンは剣よりも強し」という考え方が存在した。その“ペンと剣の戦い”の結果として現在文明と科学や民主主義という現代文化が形成された。しかし、21世紀に入り、“金(金融)”という毒ガス的なものが、“ペンと剣”を背後から羽交い締めにした結果、“ペンと剣の戦い”は昔ばなしのように現実の世界から消え去った。

 

その結果、人類は「科学と民主主義」という20世紀の奇跡的文化を失いつつある。それは左翼思想と世界経済を牛耳ている金融資本家とが結びついた結果である。その21世紀の新しい支配者として浮上した勢力の中心的な武器が、地球温暖化問題である。著名な科学者たちがこの問題で異端者となる図式は、まさに象徴的な現象である。

 

現在世界に蔓延しているものとそれの誇大宣伝は、もう一つの武器なのかもしれない。


(7:00,8:50編集あり)

 

補足:

 

1)丸山茂徳氏は、「地球温暖化「CO2犯人説」は世紀の大ウソ」など多くの本をこのテーマに関連して書いておられる。

2)赤祖父俊一氏は、著書「正しく知る地球温暖化 誤った地球温暖化論に惑わされないために」で、現在進行中の地球温暖化の大部分は、地球の自然変動である可能性が高いと主張されている。

3)最近、渡辺正東大名誉教授も、“地球温暖化騒動”を人類に対する陰謀として告発する本を書いておられる。

4)地球環境研究センター(CGER)の野沢徹氏(現在岡山大)がこの問題について一般市民の質問に答える形で言及している。温暖化の科学 Q12 太陽黒点数の変化が温暖化の原因? - ココが知りたい地球温暖化 | 地球環境研究センター; この方は、このような効果はこの20年、明確に観測されていないと言っている。