1)近畿財務局が20166月、安倍総理夫人が名誉校長になっている森友学園に対して、豊中市の敷地を破格の価格(地下埋蔵物の存在などの理由で8億円値引き)で、随意契約で売却したことを、朝日新聞が報じたのが2017年2月9日である。この土地は20121月に大阪音大が7億円で購入申し込みをしたが、時価9億円を下回るとして拒絶された(20127月)経緯がある。(補足1)
 
その売却の背後に、森友学園経営者が日本会議のメンバーであり、安倍総理または総理夫人との関係を利用して不正に廉価で取得したとの疑いがある。日本の国会がこの一年、もう一つの加計学園問題とともに占拠された感じである。両方共、自民党は必死に火消し役に回るが、煙は消えることが無かった。安倍総理の関与が極めて濃厚だと言うのが国民一般の理解である。
 
その審議の際に、森友学園との契約時に財務省理財局長だった佐川宣寿氏は、「契約満了を以て関係書類の必要性が消えるため、関係文書(追補1)は廃棄され残っていない」との主旨の発言をしたと記憶する。森友学園問題の経緯が複雑であり、後々問題になることを見越して、廃棄したのだろうと思うのが普通の感覚である。何故なら、正当な理由があって8億円の値引きをする様な場合、後で問題になった時の証拠書類として、契約交渉関係書類は保存するのが普通だからである。
 
しかし、その後文書が残っていて開示されたのだが、その時点で既に佐川氏は偽証したことになる。この件の決裁文書が、今回オリジナルなものから数百カ所改竄されていたことが明らかになった。また、森友学園側との値引き交渉を思わせる音声テープがあらわれたりして、現在大きな事件となっている。証拠はないが、この森友問題の経緯は全て、財務大臣も内閣総理大臣も知っていることだろうと思う。
 
2)その価格交渉に用いられたのが敷地内にゴミが埋まっているという話である。最初のゴミ処理で全て終わった筈だったが、その後更に深くにゴミが存在するとデッチ上げ、その処理費用が8億円値引きの根拠の大部分である。正にその問題でゴミ処理に関与したと言われる田中造園土木という会社の社長が、昨年春に自殺した。
 
そして、先日森友学園問題で二人目の自殺者がでた。財務省近畿財務局金融監督第三課上席調査官の赤木俊夫と言う方で、森友学園用地の売却を担当したそうである。地検の聞き取りを受けた晩のことだったという。
 
遺書には森友問題の記述はなかったと言うが、それは当たり前である。口に出して言えるのなら、死にはしない。それについては以前簡単にブログに書いた。
 
麻生財務大臣は、佐川理財局長の国会答弁に矛盾しない形に決済書類の書き換えを行ったと説明している。しかし報道されたような国家の枠組みを破壊するような書類の改竄行為を、一局長のためにする筈がない。責任者でありながら、その取引に関して国会で偽証した当時関西財務局長の佐川氏は、当然偽証罪で告発されるべきである。退職金をもらって無事でいることは許されない。
 
その動機を明らかにすれば、理財局で話が終わるはずがない。理財局だけの話なら、そのような大胆なことをする動機として不十分である。こんなところで足踏みするなら、日本が法治国家でないことを例証することになる。
 
 加計問題や森友問題は、安全保障などの問題に比べて小さい問題である。しかし、日本国の政治のあり方(安倍政治のあり方)という、根本に関する問題である。この件、優れた政治評論家である馬渕睦夫氏などでも、大きな問題に目が眩むのか、何の疑念もないと言い放っていた。
 
どんな大きな装置でも、ネジの規格が合わなければうまく組み立てられない。日本においても、公平性は政治と日本国民全との間を繋ぐネジのようなものである。森友問題と加計問題は、その国民と政治を繋ぐネジが中世アジア的なコネなのか、日本や欧米のような法令に基づく公平性なのかに疑念を抱かせる問題である。ネジが混在していては、大きな装置である国家全体の政治が組み立てられなくなると思う。
 
最高裁は、行政のすることに違法性や違憲性の判断をすることのない、サラリーマン的判事が構成しているので、この国では司法は正常に機能していない。それも、最も近い国とよく似ている。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43453611.html従って、国会で追求するしか方法がないのかもしれない。
 
安全保障という大問題を持ちながら、くだらない議論をしなければならないのはこの国の不幸である。
 
追補:
1)最初決裁文書と書いたが、交渉関係書類の間違い。決裁文書は相当期間保存される。http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/gaido_1.html(3/16)
 2)事案の終了を持って、決裁文書も廃棄すると佐川氏は証言している。佐川氏は事案の終了を契約の終了と主張しているが、白真勲議員の「事案の終了とは、延払い代金の支払い終了ではないのか?」という質問には、十分答えられていない。https://www.youtube.com/watch?v=plLuY9ykEA0 (3/25)
 
 
補足:
1)2012年1月に大阪音大が同じ土地を買い入れたいと大阪航空局に申込み、3月に大阪航空局から近畿財務局に大阪音大への売り払いを内容とする処分を依頼した。価格面での折り合いがつかず、大阪音大は買受要望書を7月に取り下げた。http://barelo.hatenablog.com/entry/2017/04/29/065343