今朝の時事放談は石破茂氏と前原誠司氏がゲストであった。大部分は北朝鮮の核開発と日本の取るべ方針の問題、後半に前原民進党が山尾氏の幹事長案が不倫疑惑で飛んでしまったことと、今後の対応についての話があった。後半には興味がないので、前半のみと前原氏の北朝鮮トラップについて少し触れる。
1)前半の議論で注目したのは、石破茂氏の核兵器持ち込み容認論であった。石破氏は先ず、「北朝鮮の核開発は金正恩の冷徹で強い意思の下に行われている。また、「日本を核攻撃で海に沈めてやる」という脅しも、彼らにはその能力があるので、笑止千万といって済ますべきではない」という認識を示した。
核持込み論議の前に、「ミサイル防衛能力について、例えば、北朝鮮の飽和攻撃に対応できるのか?国民の避難体制をどう立てるのかについて具体的な議論を進めるべき」と当面の方針に言及し、更に、「日本は唯一の被曝国であり、核保有は考えるべきではない。もし、独自開発を開始すれば、米国やカナダとの原子力協定が破棄されて、日本はエネルギー危機に見舞われる」と、彼の今後の基本的方針の説明をした。そのあと「米軍による核兵器の日本国内持ち込みも議論すべき時である」という、核の傘の拡大論を披露した。つまり、核持ち込み容認論は、単に核の傘を少し拡大するという話であった。
その結論に言及する前に、フランス、イギリス、ドイツ、スペインの核戦略について、更に、ウクライナなど旧ソ連の国々が核兵器を放棄する道を耐え忍んで歩んだという話をした。これらは、日本もいろんな選択肢があるということと、自分は一定の知識を持っている旨を、国民に向けて宣伝しているように聞こえた。
つまり、石破氏は日本の核兵器保持を強く否定し、更にヨーロッパのように核兵器のシェアリングを考えているのではなく、あくまで米国の核の傘を信じて、その核兵器を日本に置いてもらうという方向で考えているようである。
2)以下私見を述べる。石破氏の話を聞いて、日本政府はどのようなモデルで北朝鮮問題を考えているのだろうかと不安になった。もっと明確に言えば、日本政府は何も考えていないということを改めて知ったような気持になった。この北朝鮮の核開発の急速な進展など、相当な予算を必要とするが、その予算と知識をどこから入手しているのかなど、何か考えているのだろうか?
そんな中、放送局側の解説として、防衛省からの過去最大の5.2兆円の次年度防衛予算の話があり、その中で購入予定の無人偵察機「グローバルホーク」が値上げされたとの話が紹介された。これらのほか、イージスシステムのソフトや中核部分は米国製で、これも陸に置くタイプのイージスアショアとして今後購入されるだろう。儲かるのは米国の軍需産業である。
少なくとも、軍需産業が儲かるように北朝鮮問題を利用しているのは事実である。日本側としては、北朝鮮に関する最終的な着地点を米国がどのように考えているのか、そのモデルを持たなければ、本来何も議論できない筈である。石破氏の核の傘拡大論は、米国を完全に信頼するという条件がなければ成立しない。それで本当に良いのかと言いたい。
石破氏は政府内にはいないが与党自民党の幹事長であるから、米国の日本を含めた東アジア戦略について、日本政府は深く認識していないのではないかと疑う。次の投稿でこの件について少し議論するが、決して米国は日本の安全を優先して北朝鮮問題など考えていないと思うのである。
“最後に一言言いたい”のコーナーで、石破氏は北朝鮮の核からどのように国民を守るかについて、政治屋的無難案をまとめていた。一方、前原氏は、北朝鮮問題もあるがと言って、話を“働き方改革”に方に話をふりつつ、国会でしっかり議論してほしいとの一般論で話を締めくくった。
前原氏は、北朝鮮問題についてはあまり語りたくないのだろう。北朝鮮のピンクトラップ問題については、収録時には知られていた筈だが何も言及がなかった。私はこの問題に対する釈明を前原氏に期待したのだが、何もなかった。それなら、前原氏をゲストに呼んでも意味がない。北朝鮮でトラップに掛かっているのなら、民進党委員長はおろか議員の資格もないのだから。
(編集あり;午後7時)