つまり米国は、理想論を表に現実論を裏に持つ二重張りのコートをきた国である。その接着財はずる賢いシンクタンクの仕事なのだろう。最近のイスラム過激派やシリア内戦の厳しい状況、それに中国の経済的台頭などが原因で、これまでの表地では国内の不満を抑えきれなくなってきた。そこで、今回着替えることになった。
因みに、中国やロシアがあまりにも強面に見えるのは、理想であった共産主義を脱ぎ捨てたまま、表に何かを身につけるに至っていないと言えるのではないだろうか。
米国は今回、表を“民主主義の伝道によりグローバルな平和を世界に広げる”という表から、“自国の繁栄を第一と考える”という最も伝統的な「表」に着替えたように見える。トランプ氏が大統領に当選した原因について、プーチンによる反クリントン情報の暴露とか、米国の没落白人達の票を集めたとか、いろんな説がある。しかし、米国に元々存在した勢力がトランプ氏を看板に取り替えることにしたと考えるべきだと思う。米国には多くのオプション(着物)が用意されていて、今回はその一つが表に出てきただけだろう。
2)大昔、地球は広かった。それが人類にとって狭いと感じられるようになり、戦争が始まった。この70年間戦争がなかったのは、科学と技術の融合により高い生産性と省エネルギーが達成され、一時的に地球が広くなったと人類が感じただけだと思う。豊かさに慣れた人間が、三食食って家に住むだけでは満足できなくなり、再び地球の狭さ富の少なさを日常的に感じるようになったのが、現在の世界なのだろう。もちろん、貧富の格差拡大もそのおおきな要因だが、主ではないと思う。
トランプ大統領は、この経済的地理的に狭く感じられるようになって、何かを排除しなければならないと考えているだろう。最初に標的になったのがイスラム圏である。テロリズムの輸出をしているというが、その製造技術は米国製であることには言及しない。しかし、トランプ氏がもっとも大きな問題だと感じているのはアジアではないだろうか。
ロシアのプーチン大統領は既にそれを読んでいる。米露の接近は、中国を再びロシアの敵にするだろう。Youtube動画の多くに見られるように、中国は没落するように感じる。しかし、それは中国だけの問題ではないことに、日本のほとんどの人は気づいていない。中国が米国の経済的政治的攻撃目標になるとしたら、日本がその手先に使われるだろう。しかし、もし中国が没落した時には、標的は日本になる可能性が大である。