今月23日に英国でヨーロッパ連合から離脱するかどうかの国民投票が行われる。約半分を占めるEU向け輸出に関税が掛けられる恐れがあること、或いは、英国へ進出している外国企業がユーロ圏へ引っ越す可能性が高くなるなど、英国の経済への大きな打撃が予想されている。また、ヨーロッパ連合の他国も同様の動きが出る可能性があり、世界的な混乱の引き金を引くことになりかねない(補足1)。
 
国民投票に至る経緯は、東欧圏の加盟で増加した移民、最近問題になっているイスラム圏からの移民などをあまり受け入れたくないこと、英国の金融中枢であるシティへの規制、多額の分担金負担などを嫌ってのことの様である。http://markethack.net/archives/51999688.html
 
多くの国が参加する政治や経済の連合に参加することは、様々な自主権を無くすことになるので不自由になるが、自国の強い分野を障壁なしでユーロ圏全域に発揮できるというメリットも大きい。このような経済的損益と政治的影響を、長期的視野で判断することは素人には無理である。従って、このような国民投票は時の政権の責任放棄とも考えられる。国民投票を公約にして、総選挙に勝つなんて、何か変ではないのか?http://www.nikkei.com/article/DGXLAS0040006_Q6A220C1000000/
 
昨年は政治抜きで通貨と経済だけの統合がギリシャ危機の理由だと言われた。しかし、通貨が別でも広い地域で共同体をつくることはなかなか難しいことが証明されたようだ。TPPも同じような困難を孕んでいるだろう。
 
補足:
1)6月13日のテレビ番組モーニングサテライトでのイアン・ブレマー氏へのインタビューによる。