田中宇さんの今日配信の記事では、日本の外務省は米国べったりの姿勢をとるために豪州との契約に消極的であり、企業も高度なノウハウを今後どのような関係になるかわからない豪州へ渡す危険を避ける意味もあり、この件は官民共にやる気がなかったと書いている。
 

田中さんによると、オバマ大統領は最初豪州に日本と契約するようにと圧力をかけていたが、今春期限ぎりぎりのところで、それは豪州の内政問題だと言って日本側の“はしごを外した”と書いている。オバマ大統領は、豪州が日本との同盟関係を強め、米国にかわって日豪(米)同盟が中国封じ込め政策を担当することを期待し、豪州に日本と契約するように圧力をかけていたというのである。もしそうなら、オバマ大統領が豪州に圧力をかけることを止めたのは、米国の世界での覇権が弱まり、次期大統領が全く違った戦略をとる可能性を考慮したからだろうと思う。

 

トランプ氏が共和党からの大統領候補になることが確実になったのにたいして、自民党高村正彦氏はテレビで、誰が米国大統領になっても日米の同盟関係は揺るがないと言っていた。本当にそう思う根拠をこの方は持っているのだろうか? 同盟関係は相手が止めたといえば消え去ることを承知でいっているのだろうか? 自民党のベテラン政治家に対してさえ、このような不安を感じるのは私だけではないだろう。

 

一方、安倍総理は米国が懸念を表明しているにも拘らず、ロシアとの関係を深めるべく行動していることは注目すべき出来事である。米国の東アジアからの撤退を想定した行動であれば、当分は安倍さんに総理大臣の椅子に座ってもらっていた方が良い。中国との関係も当然改善して、中国から無理難題を吹っかけられることのないようにするという期待が大きくはないが、持てる唯一の人に見えるからである。

 

いずれにしても、日本は米国をあてにしなくて良い方向で戦略をとるべきだが、米国が当分、最大の軍事力を持つ国であることには変わりはない。日本は、当分高村正彦氏の様な発言をして、米国の力を利用し、その間に国際政治の現実を国民に教育し(議員たちも勉強し)、日本をまともな国家にメジャーリホームすべきである。それには、国民にノーマルな危機意識をもたせるべきであるが、憲法改正すらできない状況では遠い路かもしれない。それは自民党政権の長年の罪であり、吉田、岸、佐藤、池田、中曽根、小泉など長期政権をになった元総理たちはそのA級戦犯である。