外交問題は国家の生存や国民の生命などに拘ることであり、最終的には“見渡せる時間軸の範囲”を想定して「どちらが得か」を考えた上での判断が、“正しい”決断につながると思う。こちら側がこちら側の持つ資料だけで、法的論理的に正当性があると思っても、その主張を通す過程で例えば戦争になり、多大の損害を被るようなことになれば、その判断は間違いである。
つまり、小国は武力のある大国の前では最終的に沈黙するしかない場合もあり得る。しかし、そのような条件下でも、最大限の利益を確保できる様に交渉を行うのが正しい外交だと思う。また、限定的に戦争を行って、名誉ある出口が想定できるのなら、それも外交的選択の一つだろう。
したがって、安倍内閣の今回の慰安婦問題における合意は、米国が脅迫的に迫ったのなら、正しいだろう。なぜなら、日本は米国との国交なしには政治的にも経済的にもやっていけないからである。(補足1)また、我々国民の持つ情報は限られており、最終的には時の内閣の決断を支持する以外に道はない。
最近の投稿で、安倍内閣や米国と韓国を非難してきたのは、今回の決断の他に日本の名誉を確保する道が、安倍内閣の自由裁量の範囲にあったと仮定してのものである。(補足2)
補足:
1)例えば2014年の米国の自動車市場でのシェアは、米国ビッグ3が合計で45.6%、日系企業が37.7%、欧州系企業が9.2%、韓国系企業が8.1%である。フォードT型の量産以降、米国の基幹産業の一つである自動車において、日本メイカーに40%近くのシェアを許している事実は、自由競争という米国のポリシーだけで理解するのは間違いで、良好な日米関係があってこその結果だと思う。
私の基本的な理解は、米国は偉大な国であり、世界の中心であり、多くの人種が纏まって国家を形成しているという点で見習うべき点の多い国だと思う。
2)今でもその仮定は正しいのではないかと考えています。(つまり安倍政権は完全にミスを犯したと思う。)したがって、国会で十分議論してほしいと思います。