牛はトラックにのせられるまで、飼い主を親牛派だと信じているのだろうか?
 
1)    表の部:
中国は南沙諸島の岩礁を埋め立てて飛行場を作り、新しい軍事基地としつつある。中国が作ったこの人工島は、日本のシーレーン防衛上重要な海域にある。
それが自衛隊とフィリピン海軍が共同軍事演習し、且つ米軍がフィリピンに再駐留する理由である。
 
また、今日の朝日新聞ネット版では、米軍がこの人工島の12海里以内の航行を予定しており、それは自国の領海という中国の主張を認めず、航行の自由を行動で示す狙いがあると報じている。
この動きも、今後の歴史的混乱を防止すべく、オバマ大統領が決断したものであると考えられる。
 
中国の拡張主義的体質は、中華思想として伝統的であり、且つ、共産党という国境の無い思想を国家の中枢に持っていることと関係している(補足1)。 抗日70周年記念式典での習近平の「中国は、歴史上一貫して他国を侵略しなかった」という挨拶は、この南沙諸島での行動を誤魔化す為の言葉である(補足2)。また、“人民解放軍”が反ファシズム戦争に勝利したかの如く、歴史を作ろうとしているが、それは中国の伝統的歴史書の書き方でもある(補足3)。
 
この中国周政権の危険な企みを防止する為の、日本、フィリピン、ベトナムなどと米国の行動に対して、ヨーロッパ諸国は冷淡そのものである。英国訪問中の周近平に対して英国は最高のもてなしをし、周近平も最高の表現で中国と英国の緊密な関係を演出している。南沙諸島の件などどこ吹く風である。
 
また、ドイツも中国との関係を緊密化している。メルケル首相はほぼ毎年中国を訪問し、その結果中国での新車自動車売り上げは日本よりはるかに多いそうである。http://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2014/07/0707.html
まるで、環太平洋諸国が中国と問題を抱えていることを利用して、経済面で有利にたとうとしている様に見える。AIIB設立にも、英国やドイツは非常に協力的であった。
 
この経済最優先で、政治先送りの行動は、世界の政治的安定に責任をもつ欧州の態度としては卑怯なものと言えるだろう。米国の世界での地位が低下している現在、ヨーロッパ諸国はそれを幾らかでも補う態度をとるべきであるが、それと逆行するような姿勢である。
 
このヨーロッパのアジアに対する無関心は、そして、日本に対する冷淡な姿勢は、日本が東南アジアに親日的な国が多いという理由と同根かもしれない。
 
2)裏の部:
世界中の国が、科学技術文明とグローバル経済の中で「経済発展か、それとも国家破綻か」という選択の罠にはまっている。その罠は、どの勢力により作られたのか、それとも自然発生したのか? それについて今は考えない。
 
発展途上国は、自国の経済の弱さをどう克服するか必死に考えているだろう。先進国はデフレをどう克服するかに、全神経を使っているだろう。しかし、数十年経過し、多くの国が経済発展した後の時点では、世界中の国々や人々は地球の狭さに不満を抱くはずである。
 
そして、世界中に政治的不安定というエネルギーが充満し、再び暗い歴史の中に入るような気がする。インテリジェンスの発展している英国や、同じ文化圏にあるドイツは、その時アジアで勝利する国はどこであるかを考えている筈である。
 
つまり、この地球上で豊かに住める人口は限られ、いずれ世界は有限の地表面積をめぐって争いになるだろう。その争いがどのような形になるか、その時にどう生き残るかを、政治家たるものは長期の戦略として考えねばならないのである。英国の表に見える米国からの離反は、何を意味しているのだろうか? 時間軸を伸ばして、更に、舞台裏を覗く気持ちで見なければならない(補足4)。
 
民族はいかなる方法をとってでも生き残らなければならない。卑怯な態度も、鬼神との同盟も、滅んだ民族には非難する自由はない。そして、日本やドイツは第二次大戦の敗戦国であり、戦勝国側の歴史の捏造とそれによるいわれなき非難の対象となる。戦勝国側はその道具を用いて、具体的な形はわからないが、地球上からの締め出しに使う可能性がある(補足5)。その時の準備としてとは決して言わないだろうが、現在同盟国として存在する米国と雖も、ドイツと日本が核兵器を持つことを決して許さないだろう。

そして、ドイツは必死にそのハンディ克服を考えてきたし、考えているだろう。日本にそのような政治家はいたか?戦後しばらくはいただろう。しかし、現在その意思を感じ取っている人がリーダーになってはいるが、過去多くの能力のあるはずの人は闇に葬られた。(補足6)元外交官はそのような本を書いているが、現在活躍中の元外交官は、陰謀論としてそれを排斥している。
 
TPPであれ、安全保障条約であれ、それにとらわれすぎるのは良くない。将来の生き残りに対する投資は、分散型でなければならない。ロシアも中国も額は少なくとも、その投資先に含まれなければならないと思う。獅子身中の虫ということばはあるが、荒れ狂う獅子の中の善虫なら、獅子はおとなしく変身するかもしれない。

補足:
1)中国人は、どこの国に移住しても中国人であるという確固とした意識がある。また、現代中国では極度に変質しているとは言え、共産党思想は元々インターナショナルなものである。

2)抗日70周年記念式典での挨拶の中で、70年前の今日、中国人民は14年の長きにわたる、想像を絶する艱難辛苦に満ちた闘争を経て、抗日戦争の偉大な勝利を手にした。」更に、「平和のために、中国はずっと平和発展の道を歩んでいく。中華民族は一貫して平和を愛してきた。発展がどこまで至ろうとも、中国は永遠に覇権を唱えない。永遠に領土を拡張しようとはしない」という文章があった。
習近平が代表となって挨拶している以上、中国人民とは共産党傘下の軍人を指すはずであるが、抗日戦争に勝利したのは国民党であり、中国共産党ではない。中国より遥か南方にあり、しかもフィリピンやベトナムが領有健を主張している岩礁を埋め立てて<U>広い島</U>とし、そこに軍事基地を設置する行為は、明らかに領土を拡張しないとする上記挨拶文に矛盾する。

3)岡田英弘著、「歴史とはなにか」参照:司馬遷の「史記」は前漢武帝の正統性を、神話の時代から嘘でも何でも入れ込んで主張した物語である。その“歴史書”は、武帝の立場を正当化する武器とする為に作られた。
同様に、先月の抗日70周年式典での習近平の挨拶の中の歴史解釈は、中国共産党周政権の正統性を主張し、且つ、武器とするために作られたのである。

4)抗日70周年記念式典の写真撮影で、北朝鮮代表は端に位置した。しかし、この位置は互いに強い信頼感があることを示しているとの見方も出来る。

5)知恵のない人間3人が、狭い島に残されて飢餓に苦しんでいる。このままでは何時かは来るであろう救助の前に、全員死んでしまう。そこで狙われるのは、他の二人と明確に異なった不利な特徴を持つ一人である。

6)何故、核武装が必要だと主張した中川昭一と怪しげなThe Rape of Nanking: The ForgottenHolocaust of World War IIという本を書いたアイリス・チャンは若死したのだろうか?(https://ja.wikipedia.org/wiki/ザ・レイプ・オブ・南京

(上記は、素人による覚書です。コメント歓迎します。23日語句等小修正あり)