昨日、軍艦島などの明治日本の産業革命遺産として世界遺産に申請した諸施設が、ユネスコの審査委員会で認められて、世界遺産に登録されることになった。この件、韓国が「戦時中に朝鮮半島からの数万人が強制労働に従事させられ、94人が死亡した」と主張し、その登録に反対していた。
 
その審査を有利にするため、ユネスコ日本代表部の大使が「多くの朝鮮半島出身者が意思に反し、厳しい環境で働かされた」と発言し、韓国の反対をそらせる事に成功し、登録が決定した。その後、外務大臣は日本国内に向けて「上記発言は、強制労働があったと言った訳ではない」と注釈している。このようなグレイ領域に話を持ち込んで誤摩化すのは、政治屋の常套手段である。
 
もっとも大切なポイントであり、且つ、ほとんど無知な西欧人(注釈1)が見落とすだろうこととして、当時韓国は日本国の一部であったことがある。つまり、ここでの朝鮮半島出身者は当時日本国民だったのである。そして、政府の命令で(つまり合法的に)半島から軍艦島のある九州へ移動させられたことを、意に反してと表現して良いのか?という点を日本政府は誤摩化しているのだ。

あの戦争の際、法令に従って徴兵され、南方の島で無惨な死をとげた多くの軍人に対して、“意に反して”兵役につかされたとは言わないのだ(注釈2)。上記ユネスコ大使の発言の“意に反して”とはどういう意味なのか、それに関与した日本政府は深く考えていないのか、誤摩化しているかのどちらかである。
 
つまり、“意に反して”は、私的な感情のレベルでの“意に反して”なのか、それとも“違法に”というレベルなのかという大きな幅がある言葉なのだ。あの発言を聞いた西欧諸国の人は、“異国の人間を違法に働かせた”つまり、シベリアで日本兵が経験したような”強制労働に従事させた”ととるだろう。それが韓国の狙いであり、その俎板の上にまざまざと乗ってしまったのである。俎板に乗った鯉が、そんな筈ではないと言っても、何の力にもならない。
 
また、特別に「朝鮮半島出身者」と限定して、「厳しい環境で働かされた」と発言したことで、同じ環境で働いていた日本人とは、労働環境も条件も全く異なるとの印象を強くあたえ、朝鮮半島出身者にだけ特別に厳しい差別的労働が与えられたと解される。軍艦島には普通の街中と同じように学校から種々の店があり、竹田恒泰さんの言葉によると、韓国人用の遊郭まであったということである。http://blog.livedoor.jp/doorkaz/archives/1030715518.html
それでもあのような発言をして世界に誤解を与えてまで、世界遺産指定が欲しいのか?本当に愚かな人々だ。

注釈:
1)ドイツのメルケル首相がドイツがナチスの罪を認めた様に、日本も韓国人に対して犯した従軍慰安婦などの罪を潔く認めて謝罪する方が良いと安倍総理に言ったと記憶している。その際、日本では相当批判が沸いた。
2)韓国もそのあたりは解っているので、徴兵された兵士の待遇に関しては何も言ってこなかった。