今日のテーマは、安倍政権下の金融政策批判であった。同志社大の浜氏と元鳥取県知事の片山氏がゲストである。今回批判の対象となったのは、10/31に発表された厚労省による年金資金の運用に於ける日本及び外国株への配分増加決定と、日銀の国債や株価連動型の投資信託(ETF)の買い付け量の増加による更なる金融緩和の発表である。同時発表になったのは、厚労省が売るであろう国債を日銀が引き受けざるをえないからである。
前の日銀総裁が円高に関わらず、国債引き受けなどを大量に出来なかったのは、通貨価値を一定に保つという日銀の最も大切な役割を強く意識していたからであると思う。財政法の第5条には、公債の日本銀行による引き受けと、日本銀行からの直接借金を禁止すると書かれている。これには但し書き:“但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない”があるが、これは大災害や世界恐慌などの特別な歴史的出来事を念頭においたものだろう。
日銀総裁には、米国や欧州同様、先進国病の国の中央銀行がやっていたことを、日銀もやり始めただけだという抗弁は用意されている。ただし、日本国はGDPの倍の国債残高を持つ赤字大国であるから、その抗弁は通らないかもしれない。最終的には借金は返さざるをえないのだから、国の財政支出を如何に減らすかという問題を政府や議会が議論すべきである。金融政策で急性症状は凌ぐという今回の日銀の決定はそれなりに意味があると思うが、その前提は、根本治療法である財政再建策や規制撤廃などの法令上の対策と、教育や研究への投資のあり方、などの政治課題を議論し実行するということである。
日銀の更なる金融緩和や厚労省の今回の政策に対する両ゲストの批判は、誰でも思い付く程度のもの以外は何もなかった。時間の制約もあるのだから、原発問題まで話を広げないで、深い議論をしてもらいたいと思った。