重粒子線治療の原理とは その2 | 眼窩腫瘍・・・ 君の名は腺様嚢胞がん

重粒子線治療の原理とは その2

生まれた炭素イオンは、
幼少の頃から、大リーグボールギブズをはめられ鍛えられます。

電気的に+のイオンにした理由は、
例えば風力で原子を高速に飛ばすことはできるか?
というと出来ないので、電気の性質を使うためです。

鍛えるためには、人間と同じで、
いきなりプロの世界に行くのではなく、リトルリーグから始めます。

まず、低速用の加速器を使って、
順々と電圧を掛けて真っ直ぐに炭素イオンを加速させます。
(RFQライナック)

更に、中速用の加速器を使って、
同様に電圧を掛けて真っ直ぐに炭素イオンを加速させます。
途中で練習が厭になり、恋に夢中になりそうな炭素イオンもいますが、
磁石の力で引き戻されてしまいます。
(アルバレライナック)

この段階で光の速さの11%まで達するそうです。

最後に電磁石のお化けのような円形の加速器に入れられ、
地獄の周回マラソンで鍛え上げられます。
(シンクロトロンⅠ、または、シンクロトロンⅡ)
1秒間に100万周も回り、
光の速さの80%まで達するようになれば一人前です。

以下は、放医研のパンフレットで説明されている加速器HIMACを図示したものです。



ただ、この状態の重粒子線は、細いビーム状です。
これでは、大きな癌細胞に当てるためには
ビームを動かさなければならないので大変です。

そこで、重粒子線を太らせる必要があります。

垂直、水平に置かれた電磁石を通すことにより、
ビームが円形に動くようにすることができます。(ワプラー電磁石)
そのビームを散乱体に通すことにより、
10cm程度の円形に一様な強度を持つ重粒子線を作り出すことができます。

しかし、この状態では進行方向に対して同じエネルギーの状態のため、
同じ場所でブラッグピークが起きてしまい、厚さのある癌細胞に対応できません。

そこで、深さ方向へブラッグピークの範囲を広げる必要があります。

そのためにアルミニウムでできた三角形のギザギザが並んだフィルタを用います。
(リッジフィルタ)

これで、重粒子線は完全体となり、
地球の平和と癌の撲滅に向かい、飛び立っていきます。

以下は、上記を説明した図です。



治療の際は、円柱形に出来上がった重粒子線を、
患者さんそれぞれの癌の形に合った形にして照射するために、
癌の形に真鍮をくり抜いた「コリメータ」と呼ばれるものと、
癌の奥行きの形にポリエチレンの塊を彫った「ボーラス」と呼ばれるものを
通して照射し、正常な組織へのダメージを最小限に抑えるようにします。



以上です。

分かり辛かったですよね・・・。