「棲家(すみか)」という漢字を当てる場合もあるが、いずれにせよ、
人生の最終を過ごす家や場所を表す言葉。
これを最近考えるようになった。
というのも、70歳を越すまでは、それほど同年代の訃報を聞くことはなかったが、
今は、ごくありふれた日常会話の一つのように、かつての同級生たちの死を耳にするようになった。
これも男女差があり、ここしばらくで聞いたのは男ばかり。
そのせいか、そろそろ準備しておいた方がいい、などという想いに駆られた。
「終の住処」として介護付きマンションなどの広告もよく入るようになった。
海や山など風光明媚な観光地を思わせる風景の中に収まっている建物が映し出され、
高級感のあるレストラン・スペースや夜景の見えるバーも完備とある。
習い事などもできたり、カラオケスペースもある。
終の住処は、こんなところがいいかも?などと思ったりする。
そこで思い起こしたのは、作家の司馬遼太郎氏。
司馬遼太郎氏「終の住処」ではないが、彼の小説が売れ、人気も得ていた頃、
「司馬さん、東京に引っ越されたらどうでしょうか?と幾人かに言われた」
と、エッセイに書いていた。
そこで、彼が返した言葉は、
「ここには、いつも行く喫茶店や散髪屋、ちょっとした小料理屋、居酒屋、バーに至るまで馴染んだ日常がある。それが、みんな東京に引っ越してくれるのなら喜んで移る」
このありふれた人たちとの日常こそ宝、
ということらしい。
介護がついた風光明媚なところで、優雅な至れり尽くせりの極楽的な境遇より、
雑多な人が交錯する人混みの中で生きる方が幸福感に溢れているのかもしれない。
そう思うと「終の住処」は至れり尽くせりの極楽よりも、いつもの娑婆(しゃば) 。
煩悩に満ちた娑婆の方に軍配!
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