「胡散臭い」人物 | BOOTS STRAP 外国語と ゆかいな哲学の館

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ありふれた日常を考察する
<芦屋・三宮>

「胡散(うさん)臭い」という表現がある。
「何か怪しい」などの意味で使われているが、この「胡散」とは何か?
これは、どうも古代ペルシャで使われていた香辛料のことであるらしい。
胡椒などという程度のものではなく、むしろ酔いを催したり、
多く摂取すればトランス状態になる香辛料と表現されている。
現代にまであるものか、あるとすればどのような名前の香辛料かと知りたいところである。
そこで、わがペルシャ語講師に訊いてみてもそれに類するものは見つからないという。
いまだに、現実的には解決しないシロモノである。

この「胡散臭い」であるが、人として出会うのであれば生理的に拒否をしてしまう。
その反面、書籍や書物文献に現れた人間として見るときに非常な関心を持ってみてしまう。
そんな一人に寺山修司がいる。
彼は劇団「天井桟敷」を主宰したり、歌人としても知られるが、
書籍においては『家出のすすめ』など、ちょっと問題児の要素を醸し出す人物であった。
彼の本を古本屋で見つけては、しばしば買ったりしたので、
いつの間にか、本棚の一列を占めるほどになっている。
手持ち無沙汰の時に、彼の著書を寝転びながら見ることがある。
そんな一つに、スタンダールについて書かれている一文を見つけた。
「私がスタンダールから学んだことは、出世のためにいかにして女性を利用するかというぐらいのものであった」
スタンダールの代表的な小説である『赤と黒』は、
ジュリアン・ソレルという頭がキレ、美貌の好青年が主人公。
彼は、出会う二人の女性によって本来の立場以上の地位に立ったのは間違いない。
一人は、レナール夫人。もう一人は、ラ・モール侯爵家令嬢のマチルド。
穿った見方をすれば、「出世のためにいかにして女性を利用」そのもの。
一方、実生活のスタンダールは、やはり、どこか一癖ある人物であったらしい。
官吏という立場ながら「胡散臭さが溢れる」女性ダンサーと浮名を流したりした。
外からよく見えるオープンな馬車で、これ見よがしにそんな女性達を誇示したり、
異常なほどに派手な生活を送ったようである。
今や小説『赤と黒』は、世界の人がその小説を知っているが、生きているうちには、
その評価を浴びることはなかった。
むしろ「胡散臭さ」が溢れる人物として見られていたようである。

フランスの諺に「泥棒は泥棒を嗅ぎ分ける」というものがある。
「胡散臭い」人間は、「胡散臭い」人間を嗅ぎ分けるようである。
寺山修司は、
スタンダールの胡散臭さを見抜いていたということらしい...

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<了>