そして、この潮の満ち引きが地球に活きる生物を育(はぐく)んでいるともいえる。
そう考えると、地球の生物たる我々は
太陽と月の恵みによって存在していると言うこともできる。
ただ、地球には大きすぎる。
「月」に相当する衛星を持つ惑星は太陽系の中にも幾つかある。
地球と同じ規模の惑星である火星には、
「フォボス」と「ダイモス」の二つの衛星がある。
「おっ、ふたつもあるのか?」というところだが、この衛星、
それぞれ直径が22キロと12キロ程度。
それに比べて、地球の衛星たる月の直径は3,474kmもある。
太陽系の惑星の中でも5番目に位置するほどの大きさ。
やはり、地球には大きすぎるのは間違いない。
大き過ぎることによってこの月の引力が地球に及び、
地震との結びつきがあるとも言われている。
阪神大震災の前夜に見た大きな月が脳裏に焼き付いている。
このたびの熊本での地震の様子を見るにつけ、あの頃の惨状が思い起こされてくる。
そして、余震に怯えていたことも。
地震が起こるたびに「今のは、震度3ぐらいだ」「4だ」などと、
身体そのものが震度計になっていた。
あれから20年以上が時が経過し、様々な記憶も薄れているのに、
この体内震度計だけは、いまだに揺れが起こるたびに正しい数値を刻んでいる。
「月」と言えば、
スペイン絵画界最大の巨匠といわれるフランシスコ・デ・ゴヤに
『魔女のサバト(集会)』と呼ばれる絵画作品がある。
黒いヤギの角の背後に、先日、あの日、夜空を照らしていたような、少し大きくなった
三日月が妖しく光っている。
そして、シェイクスピア『オセロ』の第四幕の一節、オセロの言葉、
「月の軌道が狂って、いつもよりずっと地球が近づく時は、
人に災いをもたらすと言うぞ」
外に照り輝いている「月」が記憶を呼び戻していく。
もう、こんな震災は懲り懲りだ。
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<了>