長編であることのみならず、名文なれども一文一文が複雑に絡みあい極めて長い。
それ相当の覚悟をもって読んでいかなければ、
とてもではないが読み切れない。
この小説は、少年時代を過ごしたイリエの街(小説の中ではコンブレーという名で出ている)、
そこからはじまり、パリでの社交界のあやしい人間模様などが描かれている。
そして自分の生涯の意味などをたどっていく話。
プルーストのように、少年時代を懐かしむ人もいれば、
「過去」など思い出したくもないという人もいる。
私は、幾分後者に入る。
だけども、今回、案内が来ていた同窓会に、思い切って顔を出してみた。
今の時期は、同窓会シーズンなのか、少し前に、同年代とおぼしき女性が、
「先日、同窓会に行ってきたんです。女性も変わってしまっているけど、
男性って、もっとですね。アハハハハ」と、笑い声をたてながら話していた。
その時の女性の視線の先には、
すっかり変わってしまった同級生たちを思い浮かべているようでもあった。
今回、同窓会に行ってみると、かつての同級生たちの頭髪は一様に白いものが混じり、
身体つきも明らかに初老のそれになっていた。
そして名前を名乗らない限りは、わからないほどに変わった者もいた。
上に挙げた小説『失われた時を求めて』の最後に「見出された時」という章があり、
さらに、その章の中に「仮装パーティ」と呼ばれている箇所がある。
主人公であるマルセルが青年時代から、長い間在籍していた社交界のサロンを
長期の療養のあと訪ねて行くくだりがある。
そこで見たものは、あの矍鑠(かくしゃく)としていたゲルマント侯爵の頬には
付け髭のように白いヒゲが覆っていて、深いシワが畳まれている。
そして、社交界をならしていた他の人たちも一様に老い、
女性たちもすっかり変わってしまっている。
それらが、まるで「仮装パーティ」のように見える。
「それもとびきり成功した仮装パーティ」と表現している。
同窓会という名の「仮装パーティ」は終わったが、
つけて行った「仮面」は、
更なる細工を施しながら、これからもつけ続ける事になるようだ...
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<了>