何とも怖い話だが、これを小説のテーマにし、
20世紀の文学に新風を巻き起こしたのは、フランスの小説家アンドレ・ジッドだった。
彼は自分の作品を「ロマン(=本格的な小説)」「レシ(=物語)」「ソチ(=茶番劇)」の
大きく三つに分けていた。
その中で彼が、一番軽い物語「ソチ」に分類した作品『法王庁の抜け穴』は、
意外な意欲作。
この小説は、全5章からなり、第一章は、フリーメイソンを絡めた話、
第三章にはローマ法王が幽閉されているという話など、一章ごとに、
実験的な設定を行ない物語を展開した小説集となっている。
特に、第五章には、ラフカディオという若者が、偶然同じ列車に乗り合わせた
見知らぬ男を無目的に (いわゆる無償の行為"acte gratuit")で
突き落とし、殺害してしまう話が出てくる。
まさに「何の関わりのないものに対する殺害」。
殺害後、物語は、ラフカディオの内面に展開していく。
殺害を隠しておきたい心理。進展する彼女との愛情。
無実の者が逮捕され動揺する心などが描かれている。
この作品構成が、刺激的でもあるが、「あってはならないことを作品に著すこと」
の是非などが問われたりもした。
これが書かれた20世紀の初頭には、まず、ありえなかったことだが、
現代という時代はこんな問題を多く抱えている。
今日のニュースに 米連邦捜査局(FBI) が発表したところによると、
エア・カナダの旅客機内でブラジル人サッカー選手が、
が後ろの席に座っていた見知らぬ男に突如コードのようなもので
首を絞められかける事件があった。
大事には至らなかったが、一歩間違えば大変なことになった問題。
1928年に『新フランス評論』6月号で、ジッドは、
こんな「無償の行為("acte gratuit")は厳密にはありえない」と語っているが、
どっこい、今の時代、そこらじゅうに転がっているとも言える。
困った時代になりましたな~!?
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<了>