立杭焼は、日常使いの湯のみや茶碗から
芸術的なやきものに至るまで、ほとんど何でも焼いていた。
その中で、日常的に使うものではなく、
ちょっと芸術的な範疇に入れられる立杭焼のやきものの特徴としては、
やはり、その地で産する土。
もともと、その地域の土は金属を含んでいる焦げ茶色の土。
その土を成形して、釉薬を使わずに高温ののぼり窯で一気に焼き上げるのが特徴。
そのためか、金色の模様が浮かんで来たりする。
立杭焼 金色を帯びている(釉薬ではない)立杭焼の里は、山間(やまあい)の細い通りの両脇に、昔の佇まいを残したまま窯元が軒を並べている。
そのうちの一軒、亡くなって久しいが一人の陶匠を訪ねて行ったものだった。
時には、数時間にわたって話すこともあった。
彼によると、のぼり窯で焼くと、
場合によっては窯に入れていたすべてがダメになることもあるという。
それは、人間が焼き上げる三日三晩の火の加減と言うより、
人智を越えたものの働きの要素が影響するという。
その陶匠は、自分の人生で、これこそ天から与えられた恵みのように感じた
ただ一つの陶芸作品(茶碗)を、誰が求めても手放すことなく手許に置いていた。
私は、彼の工房に行っては、気に入ったものをいくつか買い求めた。
だけども作品として並べられているものよりは、窯変した陶器に興味をそそられることが多かった。
彼の失敗作と思えるものは、銘が彫られている以上、出回ることを回避する意味で、
ほとんどを叩き割っていた。
ところが、明らかな窯変と思われるのに、
幾つかが、割られずに工房の中で無造作におかれていた。
窯変作品として外には出したくないのだろうが、それらに何とも言えない魅力を感じる。
私は、時に、それを彼に望んだ。
そして、ほとんど値と言えないほどの料金で譲り受けた。
それらは今でも、私の身の回りで何とも言えない魅力を放っている。
食で知られる北大路魯山人が、自分で焼くヤキモノの
「その魅力とは?」に対して
(その陶匠と同じ言葉を発しただろうと思う言葉)
「それは、自然が助けてくれることだ」
と語ったという。
「陶芸」の道を窮めていった魯山人らしい言葉だろう。
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<了>