御菱葩『川端道喜』 | 花万朶

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美味しいもの…ときどき

「花びら餅」

丸く薄く延ばしたお餅(お店によっては求肥)の真ん中に薄紅色の菱餅と白味噌の甘い餡、甘く炊かれた牛蒡を載せ半分に折ったもの

白いお餅から薄っすらしたピンクが透けて、京都では新春を寿ぐお正月の和菓子です鏡餅



関西のお雑煮は白味噌仕立てであることを理由にお雑煮に似せて作られた餅菓子という説明をよく見かけます

江戸時代、丸い餅や菱餅、ごぼう(元々は鮎)、味噌などを大量にそれぞれ別の桶に入れて御所に納めたそうで、これらが御所にお勤めの人々に配られ、それらをふたつに折ってその場で食べたり、持ち帰ったり…これを公卿など堂上方は「宮中雑煮」と呼び慣わしていたのでそのような説明になったのかもしれません


しかし、花びら餅は新年の宮中行事「歯固めの儀」として固いものを食べて長寿を願うという儀式が元になっています


その歴史は古く『延喜式』(927年)や紀貫之の『土佐日記』では大湊で過ごす元旦の記述に「芋茎、荒布、歯がためもなし」と出てくるのです

平安中期にはお正月の行事になっていたようで『源氏物語』の第二十三帖「初音」にも「歯固めの祝ひして、餅鏡をさへ取り混ぜて」と登場します



そして幕末、御所への出入りしていた裏千家の家元11代目玄々斎がこの『菱葩餅』を目にし、川端道喜と相談して裏千家の初釜の菓子としたことで明治以降裏千家の初釜では欠かせないものとなりましたお茶

その後、茶道を嗜まれる人々を通じて日本各地に広まり、和菓子屋さんでお正月のお菓子として作られるようになったのです

京都では多くの和菓子屋さんでこの時期作られるので食べ比べもおもしろいかも♪


故に原形は宮中で行われてきた「歯固め」の行事で食された菱葩(ひしはなびら)であり、葩餅として市中に出した元祖が宮中への出入りを許された証「御粽司」の称号を持つ粽・餅菓子専門の老舗 川端道喜なのですキラキラ



明治の東京遷都の際、京都に残ることを選択した川端道喜が御所に納める仕事を失うも、茶道用の主菓子を工夫しそのひとつが「御菱葩」であり、現在でも裏千家の初釜には川端道喜の『菱葩餅』は饗されています

年明けの茶会本番前の年末の数日にお試しに作った「試餅」(こころみもち)としてのみ一般に販売されています

昨年末予約が取れなかったのですが、縁あって今回購入することができましたチョキ



やたら文字ばかりでしつこいくらい説明してしまいました汗

読んでくださった方、ありがとうございますラブラブ

この文字数は…こちらの花びら餅を食べられたことが嬉しくて浮かれていたとご理解ください(笑)