進化心理学だったかと思いますが、
ヒトの心も進化の結果である
とあった気がします。
でもヒトの性質の中にはそんな風には進化しないんじゃないかと思われるものがたくさんあります。
たとえば利他行動ですね。
自分とその家族の利益しか考えない人の集団の中に、突然自分の食料を他の困っている人に分け与える心優しい人がいたとします。
この時、この心優しい人はきっと生きていけませんよね。みんな自分の食料を得るのに必死な時、せっかく得た自分の食料を他の人に与えてしまったら自分の分がなくなってしまいます。
でも、周囲の人たちがみんな心優しい人ばかりになった後なら、みんなで生きていけますね。少なくとも自分の利益しか考えない集団よりは。
そして、現在の人類は災害での助け合いやボランティアなど、たくさんの利他行動をしていることも事実です。
利他行動のような、この理屈に合わない進化はいつ起きたのでしょうか。
生物学者の言葉によると、
「大量絶滅の後には
爆発的な進化が約束されている」
とのことでした。
地球上の歴史では過去5回の大量絶滅があって、そのたびに生命の進化が爆発的に進んだのでした。
たとえば地殻変動でマグマが地上何キロもの高さに大量に噴き出して灼熱地獄になったこととか、
陸地からの塩分が海に大量に流れ込んだので、海に住む生物が大量に絶滅したとか、
そしてそれをきっかけに動物が陸上に進出したとかがありました。
最後の大量絶滅は、かの有名な
巨大隕石が地球に衝突した
というもので、これによって映画「ダイナソー」にもあるように巨大恐竜が絶滅したのですね。
でも巨大恐竜が絶滅した中で、小さな恐竜は生き残ったのでした。生き残った小さな恐竜は現在
「鳥」
として繁栄を遂げています。
ところで、日本の歴史でも江戸時代に徳川吉宗の享保の改革をはじめ、いろいろと改革の努力が重ねられましたが、結局は政治の基本的な仕組みは本当には変わりませんでした。
でもある時、巨大隕石の衝突に匹敵するような事態が日本に起こったのですよね。つまり
「黒船の来航」
のことです。
これによって、それまでの体勢がガラッと変わるような大きな変化が日本に起こったことは誰もが知っているところです。
そんな風に考えると、人に利他行動の性質が登場するような大きな出来事が人類にはあったのでしょうか。
と思ってみると、何となくそれらしい出来事がありました。
今から5万年前の氷期、北京原人だったりジャワ原人だったりと、この世に登場したたくさんの人類が次々と絶滅する中で、私たちの祖先ホモサピエンスも絶滅の危機を迎えていました。
テレビでの放送によると、アフリカ南端のピナクルポイントという場所にわずか1万人が残るだけ、哀れホモサピエンスももはや風前の灯の状態でした。
ところがところが、何故かこのわずかに残ったホモサピエンスの集団が徐々に増え始め、その後世界中に広まって現在に至る繁栄につながったと言われています。
DNA鑑定によると、現在地球上の人類はみなこの時のホモサピエンスの子孫とのことです。
とすると、普通なら進化するはずのない心の大きな変化は、この時に起きたのではないかという気がします。それは
誰かの役に立ちたい
という本能だけでなく、同時に
尊敬する心、感謝する心、称賛する心、憎む心、罪悪感、裏切り者、好奇心…
などのたくさんの本能が産まれて、ホモサピエンス躍進の原動力になったのではないかと感じています。
ただ、現在はこれが行き過ぎてしまって、自分で自分の首を絞める結果になっているのかな、という気もしています。