夜中のモスクの音も気にせず眠った。
エジプトの朝の空気は気持ちいい。
光がさしていて穏やか。
カイロと違い緑があるので、小鳥が鳴いて、鶏が泣く。
チェックアウトして、アスワンに移動。
来てからずっと気持ちも体調もいいので、足取りも軽い。
鉄道も旅行客向けバスも外国人料金が導入されてすごく高いみたい。1番安いローカルバス(ワゴン車)にしてみることに。
歩いてる途中、見たことあるジャケットの色の人が座っている、、と思ったら、なんと昨日のガイドのおっちゃんやん!
向こうも意外にも私のことはちゃんと覚えてて、笑って握手。アスワン行くなら、こことここは行け!と、ガイドらしいことを言って見送ってくれました。幸先良し。
通りすがりのこのカフェの看板超かわいい。そしてこの写ってるお兄さんとしばし立ち話。
『あなた達日本人はとても優しいから大好きです。そしてとても幸せそうな笑顔ですね。と言ってくれた。』
どの人もかならず、ウェルカムと言ってお茶に誘ってくれるが、アスワンに移動しなければ。
ところが、思った以上にこの先が簡単では無かった。
ついまた歩いて向かって、30分も歩いたのに
まず乗り場がわからなくて、鉄道挟んで反対側だった。
そして着いたのに、アスワン行きは今すぐは無いみたいで、連れ回されて終わり。値段は外国人料金で200ポンドと言う。それは思ったより安い。でも皆ほとんど英語を話せないから情報が得られない。でも誰に聞いてもアスワン行きが無いと言う。おかしい、、。
また最初に聞いた、真ん中にテーブルと台帳のある席に座ってるチケット管理してる人にもう一度聞いても無いって言う。その人は、とりあえず座りな と私に優しく椅子を差し出し、座ったはいいが、とりあえずお茶いる?と聞いてくれた。『うん!』と言いそうになったが、おい!だめだめ、私よ!のんびりしてないでアスワンに向かわなければ。
おかしいなと思いつつ、らちあかないから、鉄道で行く覚悟決めてまた15分歩いて着た道を駅に戻った。
ところがまた鉄道駅前のバス会社に話しかけられ、1時間後に出発で700ポンド。高いけど、心揺れたが、一旦目の前の鉄道まで行こうと思い、すると駅前でアスワン?と他のおやじのバス客引きにまた話しかけられ、聞くと今出発で同じ700ポンドと言う。
どこも相場は700らしい。だいぶぼったくって高いのはわかってる。だってカイロから10時間立派なバス乗って400ポンドだったのに 3時間の距離を小さなワゴン車で700ポンド。
しかしもはや鉄道もいつ出発するかわからない上におそらく同じ値段の外国人料金で700くらい取られるみたいだから ぼったくられることにした。
これから3時間を考えるとトイレに行きたい と 駅でトイレに入り、出るとすぐ トイレの人に金と言われ、小銭がなくて仕方なく10ポンドも(30円)だした
オヤジと共に乗合ミニバスで向かった先は、まさかの先ほどまで私がいたミニバスターミナル。結局ここに連れて行かれてお金700ポンドも取られるなら、最初からここで直接200ポンド払って待ってりゃよかったのに 今日はついてない。なにこの無駄。やはりぼったくりじゃんか。
オヤジは私をアスワン行きのワゴン車に乗せ、別れ際にも、700も払ってるのに自分にもチップくれと言い出す。怖い顔ではなく、あれはあわよくばって顔だ。ぼったくりのくせに、なにが更にチップだ アホ。私はちょうど残りのエジプトポンドをぴったり使い切ってしまい全くなかったが、きっとこうやって、めんどくさくなって、自国の感覚だと安いからと、ほいほいお金を渡す観光客もやっぱりいけないのだ。
その目の前のスタンドで水を買えば20ポンドだと言うから100ポンド出したら、今度はお釣りが50しかないからあとはバクシーシ(施し、チップ)と言われ 観光地のような、日本より高い150円のペットボトルになるし、アスワン行きの乗合ミニバスで1時間待機しても人が集まらず、一向に出発しないので、またトイレに行きたくなってしまった。
やばい。細かいお金全く持ってない。むしろエジプトポンドもう持ってない、、これじゃトイレも行けない。
そう思ったら、さきはどの水のお釣りの50ポンドがあった。最後のエジプトポンド。
車内にいたちゃんとしてそうな英語も喋れる信頼できそうな客に、『私トイレ行くからまだ出発しないでね』と言付けし 目の前のカフェっぽいとこに入る。カフェといっても、超ローカルカフェね。
トイレはもちろんすぐ使わせてくれだが、50ポンドに対してお釣りをくれない。だから細かいお金を持っていたいんだよ、、5払えばできるものを、また50も取られた トイレに150円 自分で行きたくて払ったとはいえ、ばからしい。
だったらこのカフェで50ポンドより安いミントティが飲みたいわよ。
さっきのペットボトル水も、トイレも、あの素晴らしく美味しかった数日前の夕飯のコシャリと同じ値段だなんて、、
私も毎度毎度交渉のやり方が下手くそすぎる。40ヵ国以上旅してるとは思えない交渉力の衰えぶり。これはむしろ性格だな。そしてまだまだエジプトの物価になりきれてない、ユーロや円で安いと思ってしまう自分がいる。
アスワン行きはバスは人気が無くて、なかなかバスが定員が集まらない。出発できない。
タチの悪い、全く可愛げの無いかわいそうな子供の物乞いもいてウザい。
金金金、そう思われながら近寄ってくる。なんとも虚しくなってくる。
ようやく催行定員に達して出発したのはワゴンに乗り込んで2時間後。なぜかそこは予約席だとか、なわけないだろって思ったが、窓側にいたのに、こっち側移動してくれる?と、真ん中席にやられた。人種差別なわけないし、女性差別?な雰囲気でも無いが、私は地元の人の10倍も料金払ってるのに。そしてなぜか頭にバンダナを巻きなさいと言われた。男性が隣だから? 初めて言われたけど。なぜか短いバンダナしかなく、ただのアジア人の掃除のおばさんみたいになってしもうた。
私以外全員男だった。ちゃんとした雰囲気の、安心感ある人たちだったから、これは安心して寝てアスワンに着けると思った。他のオンボロとは違う乗り心地の良い立派なミニバスだった。私のリュックは車の屋根に縛り付けられて、絵になる旅の感じだった。
おじさんはルーフに登るようのハシゴを取り付けて、器用に登る。
心配事は一つだけ。もう手元に現金が一切なくて、もし何かあったらどうしよう、そしてあのお金渡した最初の客引きオヤジもいないし、あとで、チケット代払って、とか何か請求されたり、そして荷物下ろす時もチップ請求されたらどうしよう と なんかもう賭けだった。あのオヤジのことを見て信頼してお金を渡したのは自分だ。
走り出してすぐに緑が見えて、やはりカイロとは違うオアシス的な雰囲気に心踊る。
ちょうど3時間ぐらいで、アスワンに着く前に皆がお金をそれぞれ出して集め始めた。
え!私にも回ってくる!? 私は700も払ったんだからね!もう1円も払わないぞ! と、寝たフリをしてみた。
すると、皆は私をスルーしてそれぞれのお金を前の乗客に集めて回し、運転手まで持っていった。(薄目で確認)
おそらく、私は外国人なことを知っているので、事前に別料金で払ってることもわかっているのだろう。
というわけでやはりお金は大丈夫そう。
そしてアスワンに着く前に、ゲストハウスのオーナーに自分の現在地の連絡をした。というのも、オーナーは事前に私に連絡をくれて、着く時間が分かれば船着場までボートで迎えにきてくれる とのことだった。今日泊まるゲストハウスは家族経営の民宿で、ナイル河の真ん中の島にあるところなのだ。
オーナーに連絡してすぐ、ちょうどそこがバスターミナルで、なんと予想以上に中心部から離れた場所に下ろされた。
げ!まじかよ!ここからタクシー乗れないじゃん!だってもう現金全く持ってない!
ほっとしたのは、降ろされた時にミニバスの荷物係のおじさんが、『ちょっと待ってて』というエジプトのジェスチャーで私を待たせて、荷物を丁寧におろしてくれて、全くチップを要求してこないどころか、バスの旅は楽しかった?というような感じで、笑顔で見送ってくれたこと。
あの『待ってて』というジェスチャーは、意味を知らなかったら、チップくれ に見えてしまうから 知ってて良かった。
それにしてもあのハンドサインを使いこなしたり、客同士でお金を回収しあって運転手に渡したり、そういう、ローカルな文化、ローカルなルールが根付いててかっこいい。
きっと昔の日本も、そうだったんだろうな。
さて、ここから船着場までが問題だ。オーナーに『現金が無くて両替しなければ船着場までタクシーで行けない』とwhatappで連絡すると『船着場にくれば代わりに自分が建て替えて払う』との神メッセージ。
まさか、そうか その手があったか!
良かった!もしこのお迎え方式じゃなかったら、1人でどうしていたことか。
こういう時のために、ちゃんと現金は残さないとダメだな、、
そしてタクシーの交渉。
まず声をかけてきたのはトゥクトゥク。200という法外な言い分に私は100だ!と言った(金持ってないけど) でも150と言うから、うーんよく考えたら、またこの車で10分の距離をトゥクトゥクはきつい。車のタクシーがいいと思い、車のタクシーを探す。するとそのタクシーも200と言う。高い!100にしてくれ!と言うが、なかなか向こうも折れず、正直私も早く帰りたい。間の150で成立し、船着場へ。
すると、降りてから『宿のオーナーが来るはずだからちょっと待ってて』とタクシーを待たせ、するとすぐに『シホ!?』と、背の高い、まさにアフリカンとエジプト系の混ざったようなお顔の、私のすごく好きな雰囲気の、優しいモーガンフリーマンぽい、背の高いおじさま登場。
whatsappのアイコンの写真でなんとなく事前にわかっていたので、全く知らないより安心感があった。
彼は運転手と軽く握手して挨拶すると、すぐに150ポンドを渡してくれた。親戚のおやじか、自分の父が迎えに来てくれたような、そんなあたたかい宿のオーナーだ。そしてすぐに、両替したいんだけど、と言うと、歩いて近くの両替所に連れてってくれた。これもめちゃくちゃ助かった。後でわかったけど、島には全く両替なんて無いし、島から市内側に戻るのも、ボートで現金がさっそく必要だからだ。
オーナーと共に船で島へ渡る。
わざわざ歩いて、ボートで渡ってチェックインの迎えに来てくれるなんて素敵すぎ。
砂漠の中にあるアスワンのナイル河は青々としていてとても綺麗で、さわやかな風が吹き、河には風力で進むボードと帆が絵画みたいに浮いている。
ボートには、私と目が合ったアジア人の女性。軽く笑顔で返すと、日本人の方ですか?と言われ、たった5分も無いボートの中で、楽しくお話をした。彼女は3週間のエジプト旅らしい。三大うざい国のモロッコもインドもまた行きたいと思ったけど、エジプトは最初の2日くらいが10日くらいに長く感じるほど大変だった と笑いながら言ってて なんか気持ちがわかってウケた。サッパリとサバサバしていそうな、面白そうな方にせっかくまた会えたのに、途中ですぐお別れとなってしまった。もっと話したかった、、。
島にあった商店を私に紹介するうちのオーナーに、『ビール売ってる?』と聞いててウケた。
彼女は市内側に泊まってて、今日アブシンベル神殿に行ってきたらしいので、残念ながら明日ツアーで一緒になることもなさそうだ。
また会いたいなー。
さて、苦労して着いたアスワンはオーナーの雰囲気でもう私は満足していた。更にはついたゲストハウスが素晴らしい! はい優しい家族経営、でもオーナー以外あまり英語話さないから素朴で超付かず離れず。子供もうざくなくて超かわいい。レストランやカフェも併設。部屋はめちゃピカピカで(汚いルクソールの宿から来たから余計に天国)なぜかカウボーイ仕様のドラえもんとのび太の毛布が超かわいい。
そして、このおうちはヌビアの伝統家屋だそうだ。そう、オーナーはヌビア人なんだって。素晴らしいわ。明らかに北部とは違う、なんか、昔の古代のエジプト要素と私の大好きなアフリカンの要素が混じってる感じがとてもかっこよくて魅力的。
優しさと厳しさを併せ持つ顔つきや、建物の色使いも素敵。もっと世界の民族や文化のこと知りたいな、勉強したくなった。
てか、こここそ3泊したかった。この宿のテラスで朝食をゆっくり取ったら、どんなに素敵だろう。
オーナーは、私を宿のリビングに座らせると、かしこまって、ウェルカム!と言い、奥様が赤いハイビスカスジュースを出してくれた。
疲れた体に、なんとも染み渡る。美味しすぎる。なにこの おもてなし。もう忘れた。午前中の疲れは ぜーんぶ忘れた。エジプト大好き!
てかほんとにここにもっといたい。アブシンベル神殿行かずに、アスワンやヌビアの村だけ堪能してもいいくらい。でもせっかくだからやはりアブシンベルは行かなきゃな。
あー まだ何も見てないけどまた来たい。私が世界一周中だったら、ここに長居して動けなくなりそう そんな場所だ。
とにかく、旅の最後に、自分の旅史に残る素敵な宿に巡り会えた。これに巡り合うためにこのスタイルの旅がやめられない。
これで一泊一部屋2000円くらい。私は1人だから、2人なら1人1000円だ。サイコーだ。
オーナーは押し売り度ゼロで、私の希望通りのツアーを用意してくれた。そして、わかりやすく、何度も明日のツアー詳細を説明してくれた。(昨日の振り回されたオヤジツアーとは大違い 笑)
オーナーの説明によると
・朝四時にホテル出発。朝食は私用にお弁当を包んでくれる。オーナーの息子のエスコートで船で対岸まで渡り、私はその先に待っている他の客とシェアのワゴン車でアブシンベルへ向かう
・移動は3時間
・現地ではまたバスから降りてアブシンベルのチケットを買う 1時間半ほど時間があるので見学し あとでまた車に戻る その時にたくさんの車があるから写真を取っておくこと
・他にも二つ寺院を周り 帰りは14時
帰ってきたらチェックアウト後だけど、またホテルのテラスでゆっくりしなさい とのこと。
なんだこの ドラクエのようなシナリオは。
私は夜行電車なので、夜まで時間がありそうだ。
本当はヌビアの観光や博物館やもっとこの街をのんびりしたい あー
そしてチェックイン後は島を少し歩いた。こんなのどかな、民族衣装をまとった人たちの島に、観光客がチラホラいるのがなんとも滑稽に見えた。自分もその1人だろうけど。
子供達は素朴でめちゃかわいい。
宿のレストランに行った。美味しそうだがちゃんとした外国人ようの値段で7ドルとかするので、よく考えて、やっぱり地元の食堂で食べようと思い、お茶だけした。こないだカフェのお客に教わった アネット茶。