関西は私にとって故郷のようなものだ。子供の頃から半年に一回は大阪(現・堺市)のおばあちゃんちに帰省。短大の時は初めて訪れた京都に魅せられ、そこで、我が家と言いたいくらいホッとできる民宿にも出会った。その後、煌びやかな京都とは違ってひっそりと佇む日本のはじまり、奈良の魅力も知った。
最後に京都を訪れたのが2015年、大阪だと2013年。信じられないことに10年経ってしまった。
コロナ騒動最中の丸3年間、国内外ともに以前のようなスタイルの『旅』に出てなくて、トレッキング目的の山旅のみであった。それ以外は心から呼ばれないというか、パッションの波が来ないというか、つまりは気が向かなかったのである。旅がアイデンティティと自覚していた私が、行ってたことよりも、行かないことが普通になりつつあり、どこか寂しさを感じていたこの頃、姉が関西に行くと言い出した。そのタイミングで臨時ボーナスも入り、自然と、行こうという気がおこった。
まず、休みを取る。その後、だいたいの拠点を決める。京都も奈良も行きたいが、一向に決められなさそうなので、間をとって大阪に4泊にしてみた。カプセルホテルを調べたら、快適そうな場所がいくつも出てきた。どうせならいろいろ試すのも楽しいと思い、梅田で3泊、心斎橋で1泊にした。
往路はぷらっとこだまにした。目覚ましのかけ忘れで出る時間に起き、バタバタとJR東海の発券機で手続きし、私より30分後ののぞみに乗る姉と子供達にも偶然出会えて先に出発した。ドリンク券を引き換え忘れたので関西で使うことにしよう。
途中姉達に抜かされたが、向こうチームは京都駅で叔母に出迎えられて、そのまま昼食となったらしい。終わった頃に私が到着、合流したが、とにかく京都駅のごった返しカオスっぷり。春休み、桜満開、好天気。バスもタクシーも長蛇の列で、子供3人と80代の叔母を連れて歩くのは至難の業。今思えば電車で清水五条まで行けばよかったかもしれないが、天気がいいからというのと、全員前回のディズニーでの実績があったのでいけるかなと思い、京都駅から清水まで歩くことにした。最後まで元気だったのは私と80代の叔母、さすがに子供達は疲れていてかわいそうなことした。反省。
清水坂の入口はこれまでの経験で1番、引くほど混んでいた。歩けない。そのまま舞台に傾れ込む。坂に比べて中の方がマシに感じる。
そこから八坂神社まで歩き、帰りもバスが乗れずに仕方なく電車で京都駅へ。風情も懐かしさも感じる暇なく人に揉まれた滞在となった。
これでまだ終わらず、ホテルのある梅田まで戻るのもJR激混みで立ちっぱなし。私はいいけど、叔母と子供達は座らせてあげたかった。
梅田では、私は疲れててすぐにでも座りたいのに姉が全国旅行支援クーポンが使える場所にこだわるのでレストラン探しが大変だった。駅ビル最上階に行くもお目当ての串カツ屋は長蛇の列、お好み焼き屋はどうやら対象外、気乗りしない台湾料理にするかとなったとき、姉がわざわざ通り過ぎた寿司屋に戻ってクーポンを使えるか確認しにいった。あまり食欲がなかった私には結果的に重いものより寿司屋は有り難かった。そのまま入ることとなり、空いていて、お店の方もよくしてくれた。冷水とあったかいお茶を両方出してくれ、板前さんの握りたて寿司をおいしく食べることができた。疲れていた体にこの日初めてのまともな食事が染み渡る。
喉もお腹も満たして英気を養い、叔母以外全員不機嫌になってたのも回復。
たまたま梅田にホテルをとっておいて大正解だった。
私のこの日のメインイベントは、夜20時からのフランス語教室だ。先生にも同じクラスの生徒さんたちにも行くことは行っていなかったので、どんな反応するか楽しみだった。
時間まで少し余裕があったので、姉達のホテルに立ち寄った。子供らは田舎の子状態で、普通のビジネスホテルなのに部屋から見えるビルに大興奮。これで感動できるって羨ましいやら、微笑ましいやら。
梅田はすごく便利な場所で、北浜までも歩けそうだった。朝から最高の春の気候に恵まれ、夜の川沿いも心地よい。どこへ行っても桜は満開で穏やかな夜。
レトロビルの階段を息を切らして上がると、教室内から先生の声が聞こえてきた。
時間をすぎても前の授業の生徒さんと話し込んでおり、なかなか出てこない。そのまま私のクラス開始の時刻になってもクラスメイトは誰も現れず、まさかの今日と言う日に一人だけ!? 仕方なくこちらからドアを開けてみた。
出ていく生徒さん、入る私。びっくりする先生。その後間もなく、もう一人の生徒が来た。ほっとしたけど、全員ではないので 焦る。
と、遅刻して一人、そして話していると、また一人、何と久しぶりに全員が出席した。
コロナ禍で始めたフランス語教室、いつか必ず直接行こうと思っていたのが叶った。ずっと画面上だけで見てきたみんなに生で会うのは、テレビで見ていた芸能人に会うような感動があった。授業もやっぱり生が良い。
せっかくの記念だからと授業中は全員マスクも外し、コロナ を乗り越えた喜びをかみしめた。
あっという間の楽しい時間。全員で教室を出て、地下鉄まで話しながら また来週〜!と別れた。
ホテルは梅田よりも中崎町の方が近かったので、降りてすぐチェックイン。
レディス用の共用設備は大変清潔な上にアメニティがこれでもかと言うくらい充実。
寝るところとは別に、部屋番号と統一された専用靴箱とロッカー。着替え室、談話室的な飲食可能ワークスペースには無料のコーヒーマシン、しかも会社と同じ機種で、ココアやモカも飲める。良心的価格で洗剤もついた洗濯機。ピカピカでたくさんあるトイレとパウダールーム、何より気に入ったのは、地下にある、昔ながらの昭和感漂う、でも清潔に管理されたサウナとお風呂だ。フィンランド 式、ミスト、3つのサウナを代わる代わる堪能し、至福の時間を過ごして床に就く。カプセル内だけでなく地下にも漫画、テレビが見れるスペースやレストランがあったらしいが、そこまで使い切れなかった。
ロビーは何時でも常にサラリーマンやOL、旅行者の出入りで賑わっていた。日帰りのサウナだけで利用する人も多いようだ。
カプセル内の寝具もエアウィーブで、連泊でもシーツは毎日きれいにメイキングしてくれ、至れり尽くせりだった。ネゴゴチ サイコー。
元々一人だから節約のためにカプセルにしたのに、お風呂の狭いビジネスホテルの個室に泊まるよりずーっと贅沢で快適。
都会版山小屋のようで、プライベート空間と他人との良い距離感が絶妙である。
カプセルホテル 大東洋 お気に入りに決定。