ケンハモマイキングその1「そもそもどういったマイクがあるのか(種類や固定方法)」
マイクは用途別にいろんな種類があって、このトピックを書くだけで結構な分量になります。かなり長めの記事になりましたが、これを分断するとまたややこしくなるのでこのままお付き合いください。要点だけまとめると・ケンハモの場合ダイナミックマイク、コンデンサマイク、まれにピエゾピックアップがある・マイクの固定はスタンド式、管楽器用のクリップ式の他、エレアコ(内蔵)がある・楽器用マイク、ボーカルマイクといった種類のものがある。PC用マイクは使わないこと!といった感じです。◆マイクって何?正しくは「マイクロフォン」の略で、「空気の振動を電気信号に変換する装置」です。逆にヘッドホンやスピーカーは「電気信号を空気の振動に変換する装置」になります。なのでマイク自体の役割は全体の一部で、他にも楽器とかPA機器とか他の音とかいろんな要素が絡んでくるのがマイキングなのです。◆構造でみた種類〇ダイナミックマイク磁石とコイルを利用したマイクです。楽器用としては一般的です。・比較的安価・壊れにくい・コンデンサマイクに比べて感度が低いマイクの中でもベーシックなものです。とりあえずまず1本という話なら、楽器用のダイナミックマイクが1つあれば十分と思います。壊れにくいので落としてしまいがちなボーカルマイクや、ドラムなどに使うことも多いです。ちなみにハモンドのPRO-44HやPRO-24Bなどにもダイナミックマイクが採用されています。〇コンデンサマイク磁石とコイルの代わりに電子部品のコンデンサを利用したマイクです。・ダイナミックより感度が高い・湿気や振動(落とすとか)に弱い・駆動のために専用の電源(ファンタム電源)が必要ざっくりな説明ですが「ダイナミックより高価でより良い音が拾える、専用の電源が必要で取り扱いが繊細」位の認識でいいと思います。電源は大体ミキサーや、PCならオーディオインターフェイスから拾えるようになっています。もしくは専用ユニットを使用。〇圧電マイク(ピエゾピックアップ)上2つとは少し異なるタイプの装置です。昔でいうクリスタルマイクですが、楽器用としては物体(ギターのボディとか、ケンハモなら内部とか)に直接貼り付けて使用するものを指します。エレアコのケンハモが発売されるまではピエゾピックアップ内蔵によるエレアコ改造が流行しました。・楽器自体に取り付けることになるため、正常な使用のためには加工が必要・出力は小さい・ケンハモのエレアコ化が可能になる・楽器自体に取り付けるため振動音を拾いやすいなお楽器用の場合、空気ではなく物体の振動を電気信号に変換する装置を「ピックアップ」と呼ぶことが多いです。ピエゾピックアップの他、エレキギターなどに使われるマグネットピックアップがあります。楽器用に一般的に使われるのはこんな感じです。実際にはPC用マイクに使う方のコンデンサタイプやリボンマイクという高いもの(触ったこと無いです……)など色々ありますが、今回はケンハモとマイキングということで割愛します。◆形態でみた種類マイクを使うためには、マイクをどこかに固定する必要があります。そのやり方による種類です。〇スタンド式、もしくはハンドヘルド(手持ち)最も一般的で、最もよく使うものだと思います。何らかのマイクスタンドと専用のマイクホルダーを使ってマイクを固定し、その位置に従って楽器の音を拾います。よく使われるのは「ブーム式」と呼ばれるタイプで、1本のスタンドの先端からもう1本動かせる棒が付いているというものです。ブーム式の先端を外すとストレート式と呼ばれるものになります。その他にも机に置くためのミニタイプなどがあります。スタンド式のマイクには手持ちが出来るものと出来ないものがあります。ケンハモの場合手持ちマイクで音を拾うのは狙って行う以外は特殊事例だと思いますが、手持ちが出来るマイクだとMC(喋り)をやる時に兼用できたりします。会議室などPAさんがいない場合は大体兼用です。・一般的なもので世界中で入手できる・いろんな楽器を持ちまわして使える(曲によってケンハモを変えるとか、交代で別の人が演奏するとか)・ライブ、レコーディング、配信などいろんなシーンに対応可能・スタンドの持ち運びは大変・マウントに規格があるので時々面倒になる・マイクから離れると音を拾えないので楽器の位置が限定される・マイク技(あえてマイクから離れてデクレッシェンドなど)を使える基本にして究極がスタンドマイク、と言っていいでしょう。〇クリップ式管楽器(特にトランペットやサックス)の朝顔部分にクリップで取り付けるものです。それをケンハモに応用している人が多数います。・マイクが常に同じ場所を狙うため自由に動ける・音響特性はスタンドマイクに劣るものが多い・取付位置の自由度が少ない・複数楽器で使いまわす場合、マイクを取り換える手間が発生する・楽器にそのまま付けると打鍵音が発生しやすいので工夫が必要・入手性は低い「自由に動ける」という点で、ライブパフォーマンス重視の方にはおすすめです。自分はあまり使ってきませんでしたが最近興味を持っています。逆にレコーディングなどでは音質を求められるためより感度のいいコンデンサ式のスタンドマイクでじっくり録音……ということになるでしょう(何らかの事情でクリップ式を使う、ということも考えられますけど)。楽器を複数使う方はマイクを外して別のものに付け直す必要があるので、そういう場合はスタンドマイクがオススメです。〇エレアコハモンドPRO-44Hなどに採用される方式で、エレクトリック・アコースティックの略です。楽器にギターのシールドケーブルをザクっと挿すヤツですね。・取り回しが楽。自由に動ける・ワイヤレスユニットを使えば完全フリーで動ける・エフェクターや、流通量の多いギター用機材との相性がいい・音色は生音と異なる・内蔵のため打鍵音を拾いやすい傾向にある・空気の音は拾わないのでブレス音を拾わない・PAさんとしてはギターの知識で扱えてハウリングしにくく扱いやすい・小さな会場でMCマイクと楽器用マイクを兼用する、といったことが出来ない「挿せばOK」というのと、エフェクターなどが使いやすいのが魅力です。代わりにモデルが大きく制限される(もしくは自作)、音色が大味になるなどのデメリットも出てきます。いわゆる「エアー感」が無くなるので嫌う人もいます。私見ですが、音のほとんどがスピーカーから出ることになるので同じスピーカーから音の出るカラオケとの相性がいいと感じています。逆にカラオケとマイクだとマイクだけエアー感が出ておかしく感じることもあります。また、いわゆる爆音環境の中で演奏する場合はスタンドマイクだと他の音を拾ってハウリングするため、エレアコの方が有利でもあります。爆音に強い!他にもレアですが、別のマイクのご紹介を。〇ヘッドセットマイク(正直使えません)頭に掛けて口の前で固定する、ボーカルや喋り用のマイクです。これを使ってケンハモの音を拾えないか実験したことがあります。頭に固定すると低音部分に固定されるため低音以外の音が拾いづらく、また口に近いためブレス音が大きいという問題がありケンハモ用としてはふさわしくありません。自分は配信の時にMC用としてよく使っています。楽器は別に使っています。〇ラベリアマイク(工夫で使えなくはない)いわゆるタイピンマイクで、超小型のカプセル(音を拾う部分)により小型で軽量です。その小ささからダイナミック式ではなくコンデンサ式がほとんどで、別に電源ユニットが付いていることが多いです。スズキからハーモニカ用として「HMH-100」というラベリアマイクのセットが売られていて、これを使って配信したことがあります。スタンドマイクも使えない防音室のような小さな環境で役立ちます。楽器へのマウントは検討中です……。〇スマートフォンの内蔵マイク(配信なら実用OK?)配信する分には十分という認識です。スマートフォンで録音した音をレコーディングとして使うという方法もあるのですが、その場合は内蔵マイクではなくスマートフォン用のオーディオインターフェイスを使ってスタンドマイクを使う方法もあります。貸しスタジオでケンハモパートだけ録音して、帰って家のPCで編集といったことも可能です。◆用途の分類何に使うか(楽器用とか、ボーカル用とか)という分類です。〇楽器用楽器の帯域や用途に適応したマイクです。業界標準・シュアー(SHURE)社の「SM57」が有名で、どこのライブハウスやコンサート会場でも置かれているのでまずは1本というのならおススメです。・単一指向性(マイクのヘッドに向かう音だけ拾う。反対側からは拾わない)・楽器によって独自の形状を持ったものもある(打楽器用など。クリップ式も然り)〇ボーカル用ボーカルなので握って歌う時に握った時のボソボソ音(ハンドリングノイズ)を軽減したり、頭に網(風防)が付いていたりします。ケンハモなら楽器用としても使えます。・単一指向性がある・風防があるので屋外使用も比較的向いている・近接効果(至近距離で音を出すと低音が強くなる)対策のため低音域が出にくくなっているものがある低音域が出にくいと言っても、100㎐付近(バスメロディオンの一番低いソ付近)の音なので、アルトなどだと気にしなくてもいいと思います。どこにでもあるシュアーのSM58(ゴッパーと呼ばれます)はこれを採用しているそうです。基本的には、ケンハモなら楽器用として使ってもOKです。〇PC用(自宅録音でもオススメしません)PCにマイク端子があり、それに繋げるマイクがPCに付いているかもしれません。これらは喋り用がメインなので拾える周波数が狭く、感度も良くなく自宅録音としても使わない方がいいと思います。自宅録音ならオーディオインターフェイスとスタンドマイクを買うのが良いでしょう。その他楽器用として使うことはないと思いますが、演壇に付いているグースネック式の放送用マイクなどの種類があります。◆その他マイクには専用のケーブルが必要になります。「XLRケーブル」「キャノンコネクター」と一般的に言われています。繋げる相手によっても形状が違うのですが、同じキャノンコネクターでミキサーなどに繋げるか、ギター用のシールドケーブルと同じ形状のプラグで繋げる機器もあります。音質や音量でキャノンコネクター同士のものが有利です。という感じで、マイクの種類について色々書きました。簡単なQ&AとしてはQ1.マイク欲しいんですけどどれ買えばいいか分かりません!演奏会で使うなどの用途でまず1本なら、マイクはシュアーのSM57(スタンドにマイクを付けるマイクホルダーも付きます)を買います。その上で「SM57のマイクホルダーが付くスタンドください!」と楽器店に行くか、ネットで探して購入でOKです。あとはケーブルも必要になります。Q2.オーディオインターフェイスって何ですか?パソコンに音を取り込む装置で、USBで接続することが多いです。この機械にマイクやギターの接続端子が付いていて、ケーブルで接続します。自宅録音についてはまた別の機会に解説したいです。Q3.SM57高いんですけど!(現在10,000円超えるくらい)安いものもあるんですけど、「どこにでもある」「壊れにくい」「現場で使われるマイクとしては安価」「いろんな楽器に使える」「長く売られている」などいいマイクなんですよ……。「ネット配信」なんかで検索すると安いモデルで工夫している方がたくさんいるので(歌ってみた、演奏してみた動画とか)、調べてみるといいアイテムが出てくるかもしれません。Q4.ボーカル用マイクで本当に大丈夫?過去演奏してきた中では、借りるマイクとしては楽器用よりボーカル用の使用が多かったです。多分シュアーのボーカルマイク・SM58が使用率1位です。他の楽器でSM57を使っているのでSM58をMC兼用で使うとか、そういうこともたくさんありました。会議室などでは他のボーカルマイク(カラオケ用)なんかも使ってきましたね……。こんな感じでしょうか。次回は「シチュエーションによる種別 」というトピックで書いていきます。