第71回正倉院展 ~奈良国立博物館~ | あべしんのブログ

あべしんのブログ

京都・奈良・滋賀。寺社、古墳、花……、史跡をぶらぶら散策するおじさんの日記です。
京都市内は、ランニングしながら、ぶらぶらしていることもあります。

東大寺二月堂の舞台から、奈良盆地北部を眺める──私の“癒しのスポット”なんです。瞑想(ぼおーっと)しに行ったのですが・・。
今日は、“入れ替わり立ち替わり”修学旅行の小学生が私の前を通られて、グループ毎に記念撮影をされていました。
何か、落ち着かないので──。

奈良公園バスターミナルの屋上から、東大寺大仏殿若草山を眺めながら、瞑想。
「失敗ではないか!」と厳しい声が上がる“ココ(奈良公園バスターミナル)”ですけど──。
観光シーズンの昼間にもかかわらず、ガラガラで──。
「やっぱりアカンかったかあ」と思いつつ、逆に落ち着ける場所になってしまったと言う、皮肉なもんで・・。

あっ、話がはじめから「余談」になってしまいました。

今日は、奈良国立博物館の日になりました。

私にとりましては「年中行事」であります。第71回正倉院展を見に行って参りました。
今年は、皆さま、ご存じの通り──。
螺鈿紫檀五絃琵琶とか、白瑠璃碗などの、“歴代のスター選手”たちが、東京に出張されると言うことで、「あんまり期待できないのでは・・」と案じていたのですが。
「そんなことはない!!」
例年通り、いや例年以上に素晴らしい宝物の数々に圧倒されてしまいました。
過去、始めの部屋の“目玉商品”を見たら、あとは“しりすぼみ”にだんだん気力が無くなっていく──と言う年もありましたが、今回は“最初の部屋から出口の手前まで”ワクワクさせていただきました。

期待以上でした!❗

聖武天皇が、大仏開眼会(天平勝宝4年-752年)で履いたとされる衲御礼履(のうのごらいり)が見たかったんです。牛皮を赤く染めたのが鮮やかでしたが、真珠や水晶や色ガラスを嵌めた飾りも豪華でびっくりでした。
その興奮も冷めぬうちに、ラピスラズリで飾った紺玉帯残欠が目の前に現れ・・。このベルト、金具は金メッキを施したものらしいです。
※ラピスラズリは、アフガニスタンが主産地だそうですね。

そして、同じ並びに──。
紺玉帯残欠を入れていた螺鈿箱は、とても美しかったです。でも、これ、ヒノキ材を轆轤でひいて成形した“印籠蓋造”らしく、その上、角を面取りし、そして表面に黒漆塗布すると言う、たいへん手の混んだ逸品です!
こう言うの、「高度な工芸技術」って!

さらに、ヒノキ材の几に華やかな彩色が施された粉地彩絵八角几と、やはり華麗な装飾のが施された紫檀金鈿柄香炉が続きます。
これらは、どう見ても“スター選手”クラスです。

そして、次の部屋で、漆胡樽金銀花盤が並んでいました。
コメントしないけど、漆胡樽は素晴らしいですよ。思っていた以上の大きさで、ド迫力でした。思わず、身を乗り出し、水の注ぎ(入れ)口を覗いていました。

ここは、金銀花盤をじっくり見たいですね。六花形をした大きな銀製の皿。文様部分には鍍金が施されています。中央には、花状の角を持つ鹿、輪郭を蹴彫し、裏側から打ち出すと言う高度な製法。さらに、周縁の美しいガラス玉。
唐の皇帝の下賜品を遣唐使が持ち帰り、大仏さまにお供えしたものだそうです。その物語を想像するだけで・・。

展示室は、逆戻りしますけど──。
後半から、喋ってました。

礼服御冠残欠(らいふくおんかんむりざんけつ)の数々は、見てて飽きませんでした。
大仏開眼会で、聖武天皇(当時は太上天皇)、光明皇后孝謙天皇が着用した冠に関わるものだそうです。

それでさらに、初めの部屋に戻りますが──。

一応、今年の正倉院展の“目玉商品No.1”は、金銀平文琴(きんぎんひょうもんきん)らしいです。
主要部はキリ材で、さらに紫檀が使われているそうです。「平文」と言うのは、本体の表面に黒漆を塗り、文様の形に切った金銀の薄板を貼り付け、漆で塗り込めた後に文様部分を研ぎ出す技法。音楽や酒(!?)を楽しむ3人の人物のデザインが面白かったです。さらに、他の文様も緻密で・・。
内部から墨書が見つかって「唐の開元23年=735年」に製作されたことまで推定されるとか・・。
(↑)と言うことは、持ちかえったのは、ひょっとして、アノひと?

金銀花盤も、金銀平文琴も、「メイドイン唐」。
当時の世界最高水準の技術なんですね!

20年ぶりに全6扇そろっての公開となった鳥毛立女屏風については、もう、コメント無しで・・。

また、“目玉商品”の一つに、赤漆文欟木御厨子がありまして──。
6代の天皇が愛用した調度品として「見ておくべき物」ですが──。
個人的事情により。
私が、ちょっと・・。
まあ、詳しい話はしませんが!
赤漆欟木胡床金銅鳳形裁文金銅鎮鐸(2天皇)は、今回は“目玉商品でない物”で、“他の人々はあまり注目されなかった”と思いますが・・。
今日は目にすることができて良かった!──です。
諸般の事情で、、、。
「飾りを咥えた鳥形」のデザインは、唐で流行したものだそうです。

最後のコーナーで、私が毎年楽しみにしているのは「古文書」です。
今年は(も)、見所多し!

役人の職務上の文書あり、“例の”正税帳あり、丁寧に描かれた文様の下絵あり、人物画あり、習書(字の練習)あり。幅広く、楽しめました。
戸籍が、戸主·山部牛さんの豊後国戸籍で、ボリュームが小さかったのだけ、残念でした(?)。
最後は《お約束》の、正倉院外構見学!

今回は、たいへん満足して帰りました。
まだまだ感想は、いっぱいありますが、ここで私が書いても、何の意味も効果も無いので・・。

これから、約半月ほど──。
『月刊大和路ならら』を読んで、余韻に浸ります。

最後に、おまけの話。
博物館地下回廊で、特別企画 正倉院展ポスター 平成をふりかえる」が、開かれていました。
30回を数える平成の正倉院展を、ポスターで振り返ると言う企画でした。
懐かしいので、思わず「500円の図録」を買ってしまいました。
こく言うのを「無駄遣い」とね・・。