MIHO MUSEUM ~生誕300年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村~ | あべしんのブログ

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京都・奈良・滋賀。寺社、古墳、花……、史跡をぶらぶら散策するおじさんの日記です。
京都市内は、ランニングしながら、ぶらぶらしていることもあります。

今日、見てきました絵画は、とてもお洒落(オシャレ)でした。


正徳3年(享保元年=1716)は、尾形光琳が亡くなり、伊藤若冲与謝蕪村と言う二人の天才絵師が誕生した年だそうです。

それから300年――。
滋賀県甲賀市信楽町のMIHO MUSEUMでは、「生誕300年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村」が開催されています。
※8月30日(日)までです。

今月4日(土)から始まっていますので、すでに半月が経過しています。

展覧会の期間は、4期に分かれていまして、作品の陳列に入れ替えがあります。今日(22日)から、2期目がスタートしました。
そして、実は――。
今回の展覧会のパンフレットやポスターなどに載っていますほとんどの絵画は、今日から展示されているのです。
――今日訪れました理由です。

表紙またはポスターの右に載っていますのは、伊藤若冲『白象群獣図』です。
"奇想の画家"と呼ばれる若冲の代表的な作品ですね。「升目描き」または「モザイク画法」と呼ばれる手法で描かれた絵を見ることのできる、またとない機会です。近くからだんだん離れて、または遠くからだんだん近づいて……。絵のどこかにスポットを当てながら見ると、面白い発見があるかも……(遊んでいるだけ!)。
※残念ながら、8月9日(日)までの展示です。

表紙の左側は、与謝蕪村『維摩・龍・虎図』の中の"虎"の絵です。虎もそうですが、龍も、そして維摩居士も……。目(まなこ)が、なかなか魅力的で、思わず引き込まれてしまいました。
龍の目と言えば、伊藤若冲『雨龍図』の龍のデザイン(!?)も、"若冲らしくなくて"楽しかったです――個人的な感想です――。
※残念ながら、どちらも2期のみ(8月2日まで)の展示です。

ユーモラスな伊藤若冲の作品と言えば、『寒山拾得図』。サッサッサ……と描いたのでしょうか?

それから、与謝蕪村と言えば、山々を描いた風景と、その中に描き込まれた細かい村や人の様子です。『蜀桟道図』は、水墨画(?)なのに、微妙な色づかいがあり、それ故に、風景に奥行きが加わっていました。
※この2作品も、8月2日(日)までです。

色彩と言えば、逆に鮮やかなのが、伊藤若冲『白梅錦鶏図』でした。これぞ"若冲の動物・植物画"ですね。若冲の草花と鶏の絵は、今までたくさん見てきましたので、数日経つと忘れてしまうのでしょうが、でも鮮やかな絵は、今のところ"印象に残って"います。
※この絵も、今日から8月9日(日)までです。

そして、伊藤若冲と言えば、八百屋さん、正しくは「青物問屋」。
代表作の『果蔬涅槃図』『蔬菜図押絵貼屏風』(ともに8月2日まで)は、"野菜、野菜、野菜"で、青物のコマーシャルですね。ある意味、"若冲らしい"です。

与謝蕪村の俳画の世界も十分楽しめました。
『「学問は」自画賛』「学問は 尻からぬける ほたるかな」は、"俳句(?)"と突っ込まざるをえないような、楽しい絵ですね!
※'ほたる'の語があるから俳句なのでしょうが、私なんか季節を問わず、尻から抜けています――それは歳のせいです――。
画と賛の組み合わせでは、何故か『静御前図自画賛』も、印象に残りました。
『学問は……』は8月9日まで、『静御前……』は8月2日まで。

また、若冲蕪村の二人が共通のモチーフを描いている作品が並んでいるコーナーも見ものでした。若冲『月に叭々鳥図』蕪村『ガレージ叭々鳥図』、見比べれば、それぞれの個性を感じることができるかも……。
※ともに、今日から8月2日まで。

まだ、振り返りの半分くらいしか書けていないのですが、絵の画像も無しに言葉だけでコメントしていても、面白くないので、これくらいにしておきます。


前半で展示が終わりそうな作品ばかり、紹介していました。実際、展示替えにより、はじめ(1期)と終わり(4期)では、かなり内容が違うかも知れません。
でも、安心してください!

MIHO MUSEUM蔵の大作、伊藤若冲『象と鯨図屏風』および与謝蕪村『山水図巻』は、全期間(8月30日まで)展示されます。


で、夏はMIHO MUSEUMです。
レセプション棟が玄関ですが、そこから美術館棟まで、"ひと山&ひと谷"越えることになります。

道の両側は、庭になっていますので、季節の木々や花を楽しむことができます。
↓このトンネルの向こうが、美術館棟です。


レセプション棟と美術館棟の間は、乗り合いの電気自動車による送迎もあります↓。


高原の中の博物館(美術館)ですから、たいへん涼しいです。温度が違います。また、とても暑い日でも、この道には、心地よい風が吹いています。


建物の設計は、I.M.ベイ氏です。
パリ・ルーブル美術館のガラスのピラミッド、ワシントン・ナショナルギャラリーの東館などを設計されています。
昨今のニュースで、建築家への逆風、マイナスイメージもありますが……。
「土地・建物・景観の調和」「日本人の心、文化、伝統」を大切に――と言うコンセプトで、建てられたそうです。


で今年、、、これまでとは違う風景なんですが――。
外国からのお客さまが、たいへん多かったです。何かの書物、またはガイド本で、紹介されているのでしょうか?



また――。
奇しくも、NHK・Eテレの『日曜美術館』で、先週の土曜日(18日)、「与謝蕪村 無限の想像力 西洋美術とあう?!」
との内容の番組が放送されました。
スポットは、与謝蕪村に当たっていました。
絵と俳句、二つを極めた与謝蕪村生誕300年を迎えた今年、その魅力に新しい視点から迫ろうという、新しい試みの紹介でした。
「菜の花や 月は東に 日は西に」など、蕪村の俳句には、"絵画的な魅力"があると言われています。そこで、「蕪村の俳句の風景を、もし"西洋美術の中に探してみたらどうなるか?」と言うお題で、蕪村の俳句にマッチする西洋美術の名品を選ぶと言う《お遊び》から、蕪村に迫っておられました。
地域によって、放送日が異なるかも知れませんが、再放送は、7月26日(日)の午後8時からです。


また、MIHO MUSEUMでは、展示期間中の日曜日に、教育関連のイベントなども行われますので、良い子の皆さんはどうぞ!


話を「若冲と蕪村」に戻します。
私は、個人的な興味で、今日(7月22日)からの展示替えに合わせて、鑑賞させていただきました。
与謝蕪村の国宝・『夜色楼台図』は、既に見させていただいているからです。
でも、この作品をメインに……と考えておられる場合は、最後の4期目――8月18日~30日――も面白いかも知れません。
与謝蕪村『峨嵋露頂図巻』『富嶽列松図』などの重要文化財も、この時にみることができます。
重要文化財と言えば、与謝蕪村『奥の細道図巻』も後半の展示です。「奥の細道」と言えば、伊藤若冲『松尾芭蕉図』も最終期の展示です。
また、伊藤若冲が描いて、高遊外が賛を付けた『髑髏図』『売茶翁像』も、最終期に見ることができるようですね。絵と詞と言えば、蕪村の俳画も後半に入れ替わりがあります。先に書きました『日曜美術館』の中で取り上げられていた『「鳥羽殿の」自画賛』は、やはり最終期に見られるようです。

こうして見てくると、8月にもう1回、MIHO MUSEUMで避暑――と言うのもありかも!
その時は、また報告します。

でも、またMUSEUMショップで面白い物を見つけてしまって、財布の中がさびしくなりそうです!